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「クラウス、早かったじゃないか。今日の仕事は昼からでいいんだぞ?」

 

仕事場である畑に行くと、既に仕事に取り掛かっていたクラウスの父親は顔を上げて息子を見た。

 

「ん…おばさんが、テオは体調崩してるから今日は練習できないって。だから今から俺も仕事するよ」

 

「そうか…そういえば昨日の夜は冷えたもんなぁ」

 

納得したように頷く父親の隣に立ち、「この種を撒けばいい?」とポケットから野菜の種を取り出す。

 

「嗚呼、それが終わったら、小麦を刈らないとな。手伝ってくれ」

 

「わかった」

 

今頃ベッドの中で唸っているであろう親友の事を心配に思いながら、クラウスは自分の仕事に取り掛かった。

 

 

 

 

 

 

その夜。

 

日課である日記を書き終えたクラウスは、眠る前に夜空を見に行こうと部屋を後にした。

 

「今夜も冷えるな」

 

外に出てくると、冷気がクラウスを包んだ。

 

自分の身体を抱いて空を見上げようとしたとき、微かに何かが焦げるような臭いが漂い、辺りを見回す。

 

「……どうして空が赤いんだ?」

 

西の空が燃えるように赤く、臭いはあちらから流れているようだった。

 

胸騒ぎを覚え、急いで寝室にいる父親と母親を起こしに行く。

 

「父さん!母さん!」

 

「……どうしたの、クラウス?」

 

「ちょっと来てくれ!外の様子が変なんだ、火事かもしれない!」

 

「なんだって!?」

 

両親を連れてもう一度外に出ると、先程よりも空が赤く染まっているように見えた。

 

クラウスと同じように空を見た二人は顔を見合わせる。

 

「あなた、あれ…火事にしてはおかしくないかしら…」

 

「確かに。燃えている範囲が広いようだし、短時間でとなると…それに、火事なら誰かしらが知らせに来るはずだ。暗くてよく見えないが、誰かがこっちに走ってくる気配が全くない」

 

「…まさか盗賊に」

 

盗賊に襲われて?と言う前にクラウスははっとし、口を閉じる。

 

あっちは、テオの家がある方向ではなかっただろうか。

 

「あ、おい!どこへ行くんだクラウス!」

 

「戻ってきなさい!」

 

制止の声を振り切って、クラウスは親友の家へと駆けて行った。