三章

 

 

 

季節は巡って、木々の葉が赤や黄色に色付いてきた頃。

 

二人の練習の様子を見掛けた村の人々は

 

「お、前よりうまくなってるんじゃないか?」

 

「頑張れ、あとちょっとだ!」

 

口々に応援の言葉を掛けて行った。

 

皆の応援のおかげか、最初はクラウスの支えがあっても逆さまになることが出来なかったというのに、いまでは壁で身体を支えながら少しずつ逆立ちが出来るようになってきたテーオドル。

 

逆立ちの練習を始めて約半年、運動をあまりしてこなかった彼としては大きな成長だろうとクラウスは自分のことのように嬉しく思い、今日は仕事前に彼の練習に付き合おうと鼻歌を歌いながら彼の家へと向かっていた。

 

 

 

 

 

 

「ごめんなさいね、クラウス。昨日の夜、寒かったでしょう?身体を冷やしてしまったみたいで、体調崩して寝込んでいるのよ」

 

テーオドルの家の扉をノックすると、彼の母親が出てきて申し訳なさそうにそう言った。

 

季節の変わり目でいつも体調を崩していることを知っていたクラウスは、「ゆっくり休むよう、伝えてください」と告げる。

 

「ええ、伝えておくわ。クラウス、いつもテオの練習に付き合ってくれてありがとう。あの子、食事のときに楽しそうに練習のことをはなしてくれるのよ」

 

家にこもりがちだった息子の楽しそうな様子は、母親として見ていて嬉しいようだ。

 

テーオドルの母親は「体調が良くなったら、またよろしくね」と微笑んだ。