12月31日、午後23時54分。
夕方からブログ神の家に集まり、食事やゲームをしてわいわい騒いでいた神々は、年が変わる時刻が近付くにつれて各々どこかそわそわとしながらテレビ画面の前でその瞬間を待っていた。
「ねぇ、皆でさ。日付が変わる瞬間…あれやらない?」
「ま、まさかあれを…!?」
カス神の提案に神々が首を傾げる中、クズ神だけは“あれ”が何なのかわかっているようだ。
ユカ神は不思議そうに「あれって何ですか?」と他の神々に代わって訊ねるが、直ぐにはっとして「まさかクラッカーを一斉に鳴らすんですか!?」と双子の肩を揺さぶった。
「違う違う。ほら、あれだよ!ジャンプして“俺は日付変わる瞬間地球にはいなかった!”ってやつ!」
揺さぶられながらも子供のようにきらきらと目を輝かせているクズ神を見て、紅茶神はふふ、と笑う。
「いいんじゃない?折角だし、皆で手を繋いでやってみましょう?」
「手を繋ぐ必要性がよくわかりませんが…まぁいいですよ。子供の遊びに付き合って差し上げましょう」
仕方ない、というように肩を竦めるとゲドウ神は誰にともなく差し出すように両手を広げた。
「あと2分しかありませんよ。やるなら早く準備なさい」
「そうだね、皆、手を繋ごう」
ゲドウ神とサカダチ神の言葉を聞くと、他の神も手を繋ぎ横に並ぶ。
そんな中、リピート神は内心で頭を抱えていた。
(あああ先輩と手繋ぎたいけど、俺なんかが触っていいんだろうか…いやでも他の奴に取られるのもなぁ…だからって先輩と手なんか繋いだら俺多分嬉し恥ずかしで気絶する自信しかないッス、ああでもなぁ…!!)
「リピート神、何やってるんだ。もう時間ないんだから早く来いって」
彼が何を考えているのかなど、お見通しなのだろう。
ブログ神の呆れたような声にリピート神は顔を上げると、既に、右からクズ神、カス神、紅茶神、エンド神、サカダチ神、ブログ神、ユカ神、そしてゲドウ神が手を繋いで並んでいた。
「ほら、おいで」
ゲドウ神は空いた右手をリピート神に差し出し、他の神たちは若干ニヤケ顔で彼を見ている。
(まさか皆、先輩と俺が手を繋ぐようにわざと片方の手を空けておいてくれたんスかね…?)
テレビの向こう側で、ライブ会場にいるアイドルや観客たちが30秒前のカウントダウンをし始める声が聞こえる。
「し、失礼しますッス」
照れるのは後だ、とリピート神は恐る恐るゲドウ神の手を握ると、テレビ画面を見つめて年が変わる瞬間を待った。
あと5秒。
「皆、」
4秒。
「準備はいいかしら?」
3秒。
「ええ、勿論です」
2秒。
「いきますよ~!」
1秒。
「「せーの!」」
クズ神、カス神の合図で、神々は同時にジャンプすると
「Happy New Year!」
ふわりと、一瞬だけ宙に浮き、地面に着地する前に年を越した。
――今年も愉快な一年になりそうだ。
歓声を上げ、ワインを開けて飲み始めた神々を眺めながら、ゲドウ神は可笑しそうにクスリと笑った。