「確かそのあと…夕方だったか、また戦神に絡まれたんですよねぇ」
***
時は遡り、再び約四百年前の天上界。
今朝の一件から、今度は別の意味でゲドウ神のことが気になる戦神は、どうにかして彼女と仲良くなれないかと考え――ゲドウ神行きつけの紅茶専門店まで来ていた。
すると、タイミング良く店からゲドウ神が出てくるのが見え、声を掛ける。
「ゲドウ神」
「おや?また貴方ですか」
「その…今朝は済まなかった。いや、今朝だけでなく、今まで色々と済まなかった。お詫びと言ってはなんだが…今夜、良ければ夕食を御馳走させてほしい」
「……。はい?」
急に自分に対する態度が変わったので思わず聞き返してしまったゲドウ神。
そんな彼女の反応に、若干頬を赤らめつつ戦神は続ける。
「べ、別に深い意味はない!ただ…御前の言葉で目が覚めた。もし御前がああ言ってくれなかったら、俺は武人として恥ずかしいことをし続けていたかもしれない。だから…」
「左様ですか。まぁ、貴方が私と食事をするのが嫌でないなら、別に構いませんよ」
「本当か!?ならば行こう」
***
「で、その後も“人間界に赴く用があるんだが、一緒に来て案内を頼めないか”とか“良い茶葉を貰ったんだが良ければ一緒にお茶しないか”とか、何かと理由をつけては私のいるところに現れて。…まぁ、それがあったから今友人になっているのかもしれませんね」
「!」
友人、というワードに反応し、ぱっと顔を上げる戦神を見てクズ神とカス神は笑った。
「あはは、ゲドウ神に友人って言ってもらえて良かったね、お兄さん」
「良かった良かった」
(全然良くないッス)
ゲドウ神の隣でずっと黙ったまま、静かに紅茶を啜っているリピート神は声には出さずに呟いた。
すると、ゲドウ神は何かを察したのかふいに立ち上がり
「さてと、私たちは行くところがありますのでこれで失礼します。戦神、装飾銃は大切に使わせていただきますね。行きますよ、リピート神」
その場を後にした。
「先輩、本当は行くとこなんて特にないのに良いんスか?」
ふわふわと飛ぶゲドウ神の少し後ろを飛びながらリピート神が首を傾げると「構いません。それに、ずっとあそこにいても君が退屈するだけでは?」と笑った。
「……」
(先輩、俺のこと気にしてくれてたんスね)
いつだって些細な変化に気付いてくれるゲドウ神。
一年程前までは今の状態が一番居心地良くていいし、関係性を進めなくても十分幸せだと、穏やかな気持ちでゲドウ神の傍にいたリピート神だったが。
ここ最近、急速に彼女に対する想いが膨らんできていた。
そんなときに突然ライバルが現れ、正直余裕なんてないしもう現状維持なんて言ってられない。
「先輩、ありがとうッス」
リピート神はいつもの調子でへらりと笑って言うと
(…絶対誰にも渡さねぇ)
内心で、そっと呟いた。
――嗚呼、きっとこの感情を人は、