ある日の御茶会。

「壁ドン、やってみない?」

クッキーを一枚摘みながら、カス神は神々達に訊ねた。

「唐突だね、急にどうしたんだ?」

不思議そうにサカダチ神は首を傾げる。

その問いに答えたのはカス神ではなく、クズ神だった。

「最近私達暇を持て余してるのよね。で、この面子で人間界で一時期流行った壁ドンやったら面白そうだし、良い暇つぶしになるかなって」

「いや、何でそこで壁ドンを選んだんだよ」

ブログ神がツッコむも、それに反応する神はいなかった。






こうして、暇を持て余した神々のお遊びが始まったのだった。


***


「さぁ始まりました、神々による壁ドン選手権!実況はこの俺カス神と」

「クズ神と!」

「リピート神でお送りするッス!」

御茶会会場を出てエンド神の住居へと移動した神々は

リビングでそれぞれ好きな場所に腰を下ろし寛いでいた。

長テーブルを実況席に見立てて挨拶をしているカス神、クズ神、リピート神は今回の選手権の説明をし始める。

「この二つのボックスには皆の名前が書かれた紙が一枚ずつ入っています」

「壁ドンする人をボックスから選ぶのは私、ドンされる人はカス神が選びます」

「皆はどきどきしながら自分の出番を待っててくださいッス」

「それじゃあトップバッター行ってみよう!」

クズ神が元気良く言うと、上に丸い穴があいているボックスに腕を突っ込んで紙を一枚選んだ。

カス神も同じように紙を選び取る。

そして一組目が発表された。
 

 

 

 

 


①ブログ神×サカダチ神


「うわ、いきなり俺か…しかも相手はサカダチ神さん…詰んだ」

逆立ちして自分を見上げているサカダチ神に、ブログ神は天を仰ぎたくなった。

他の神々はその様子を愉快そうに眺めている。

サカダチ神は申し訳なさそうに「すまない」と眉を下げた。

「サカダチ神さんは何も悪くありませんよ。…本来の壁ドンとは違うけど仕方ない、ちょっと壁際に移動してもらっていいですか?」

「ん?嗚呼、分かった」

ブログ神に言われた通りに壁際までサカダチのままで移動する。

移動し終えると、ブログ神はサカダチ神と向き合うように逆立ちをし、トン、と両足を壁についた。

「好きです。このままずっと、貴方と同じ世界を隣で見ていたい」

「ありがとう、ブログ神。ずっと隣にいておくれ」

 


 


「>>>このままずっと、貴方と同じ世界を隣で見ていたい<<<」

「ブログ神、見事難関をクリアしたね」

「壁ドンとはちょっと言い難いけど、男の俺でも惚れそうになったからOKってことで」

実況席の三人を横目に、ブログ神はやりきった顔でソファーに座った。


***


「さぁ、二組目いくッスよ~!」

二組目に選ばれたのは…

 

 

 

 

②エンド神×サカダチ神


「おおっと、難関再びッス!」

「この難関、エンド神はどうやって乗り切るんでしょうか、クズ神さん」

「そうですね、多分エンド神は逆立ちが出来ないと思うので…いやでも、もしかしたら出来るのかな?二人のコンビネーションに期待です」

 

実況席の三人を横目に、エンド神は静かにサカダチ神に近付いてしゃがみ込み、耳打ちをした。

 

サカダチ神は神妙な面持ちで頷くと…

 

「「サ、サカダチ神が立ったああああああ」」

 

クズ神、カス神は声を揃え、某アニメの少女を思わせる台詞を叫んだ。

 

ドン。

 

「…ハッピーエンドを望むなら、我の想いに応えるがいい」

 

「君の気持ちはよくわかった。だがすまない、私にはブログ神がいるんだ…」

 

 

 

 

 

「ぶはっ…>>>ハッピーエンドを望むなら、我の想いに応えるがいい<<<」

 

「そしてまさかの玉砕!嗚呼、クズ神が笑い過ぎて呼吸困難に!クズ神ンンンン」

 

神々がお腹を抱えて笑っている中、エンド神とサカダチ神は何事もなかったかのように席に戻った。

 

 

***

 

 

「さぁ、どんどん行くッスよ!」

 

 

 

 

 

③紅茶神×クズ神

 

 

「遂に!実況者から犠牲が!」

 

「えええええええ」

 

ニヤニヤ笑っている姉の隣で頭を抱えながら叫ぶクズ神を哀れに思いながら、「ほらほら、さっさと終わらせてくるッスよ」とリピート神は肩を軽く叩いた。

 

渋々壁際まで行くと、紅茶神に壁ドンされるのを静かに待つ。

 

ドン。

 

「前から言おうと思ってたんだけど…クズちゃん、私の好みなのよね~。だから付き合ってほしいわ、なんて」

 

「………」

 

 

 

独特の圧があり、返答しようにも言葉が出てこない。

 

真顔で立ち尽くしたまま何も言わないクズ神にカス神は首を傾げ

 

「おーい、クズ神?…んー、これは暫く駄目かも。次いって」

 

とりあえず席まで引きずりながらリピート神に次を促した。