夜明が若干混乱状態にあるまま、次の組み合わせをクジ引きで決める。
「おや、赤が来ました」
「お、深夜たんどっちやるの?」
「ドンされる側、ですね」
「………」
「夜明兄さん、どうしたの…?」
クジを握りしめ黙りこむ夜明を不思議そうに日暮が見ると
「兄さんをドンする側になった…どうしたらいいんだこれ」
その場に両膝をつき、頭を抱えてしまった。
②夜明×深夜
「それじゃあ二人とも頑張って~!」
(他人事だと思って…)
真昼の声援を聞いて内心で呟くと、夜明は何とか腹をくくったようで
兄の顔の横にドン、と軽く手をついた。
「…兄弟でこんなこと、いけないのは分かってる」
「だけど、もう兄さんを好きな気持ちが抑えられないんだ」
「……。はい、いただきましたぁ!」
「…うぅ、恥ずか死ぬ」
両手で顔を覆う夜明の頭を深夜が撫でながら笑う。
「ふふ、格好良かったですよ。僕が女性なら落ちてたかもしれませんねぇ」
「夜明兄さん、お疲れ様…」
***
夜明と深夜の壁ドンの後も、何度かクジで組み合わせを決めてやったが、真昼がふと壁に掛けてある時計に視線をやると針は午後三時過ぎを指していた。
「夕食の買い物に行かなきゃだから、次で最後にしよっか~」
「ん、そうですね」
深夜の後に続いて夜明と日暮も同意すると四人は最後のクジを同時に引いた。
「あ…僕、される側だ…」
「僕はする側ですね」
「兄さんと日暮か、頑張れ」
③深夜×日暮
「んん…宜しく、御願いします…」
「こちらこそ」
「二人とも真面目だねぇ」
若干呆れたように肩を竦める真昼を横目に、深夜は壁に手をつき、自分を見上げる日暮に少し顔を近付けて微笑んだ。
「愛してます、日暮。ずっと養ってあげるので僕と一緒に暮らしましょうね」
「…ん、ずっと養われる…四人で、仲良く暮らそ…」
「何か違う気がするけどぉ、まぁ深夜たんと日暮たんだからオッケーってことで」
「嗚呼、因みに真昼と夜明も家族として愛してますよ」
日暮から離れると、二人の方を振り返って言った。
突然の兄の言葉に二人は驚いたような表情を浮かべたが
「さて、買い物に行きましょうか」と玄関へ向かった深夜と日暮の後を慌てて追った。
ガチャリ、と扉の鍵が閉められる音が家の中に響き、霧谷家壁ドン選手権の終わりを告げた。