「完全に見失った…」

リピート神は公園の片隅で溜め息を吐くと、夕陽を背にしブランコに座った。


***


遡ること十二時間前。

ゲドウ神と同じ家に棲んでいるリピート神は、朝目覚めると何時ものように彼女を起こすため寝室へと向かった。

「ゲドウ先輩、おはよーございます…って、あれ?」

本来ならばまだ眠っている時間帯にもかかわらず、寝室にはこの家の住人しかいなかった。

因みに住人達は人間で、姿は見えないようにしているためゲドウ神とリピート神が棲みついていることは知らない。

「先輩ー?どこ行ったんだろ…」

首を傾げると、リピート神はゲドウ神を探すために外へ出た。


***


「あ、いたいた。ゲドウ先ぱ…んんん!?」

朝食用の紅茶の茶葉を受け取りに行ったのかもしれないと、まず最初に紅茶神、クズ神、カス神が住んでいるマンションに来たリピート神は彼等の部屋の窓から室内を覗いて固まった。

あのゲドウ神が、サカダチ神と並んで逆立ちをしているではないか。

「やべぇ…不意打ち過ぎて何も言えない。…ていうか逆立ち出来たんスね、先輩」

衝撃的過ぎて声を掛けようにも中々あの状態の彼女に近付く勇気はなく…

 

 

リピート神はマンションから出て来るのを待つことにした。

一時間後、マンションの出入り口から出て来たゲドウ神を呼び止めようと口を開いたとき、全速力で彼女に駆け寄り抱き付く影が見え、眉を顰めた。

「げっ、お孫様…」

影----ユカ神はリピート神に気付くとにんまりと笑い、ゲドウ神の手を取って何処かに連れて行ってしまった。

 

 

 

 


「お孫様に誘拐された…!」

ユカ神とゲドウ神の後を追ったがユカ神に播かれてしまい、ブログ神の家を訪ねた。

「誘拐って、大袈裟な奴だな」

「あのお孫様ならやりかねないッスよ。あああゲドウ先輩どうか御無事で…!」

「あのな…ゲドウ神さんが大好きなのは分かるが、心配し過ぎ。つか後を追いかけすぎだ」

「いやだって…!」

「だって、じゃない。御前は常に行動を把握しておきたい系の面倒くさい彼氏か」

彼氏、という単語にピクリと反応をすると

「>>>彼氏か<<<」

前の部分はすっ飛ばしてリピートした。

(駄目だ此奴重症だ。面倒くさいからゲドウ神さんがユカ神と出掛けた理由は黙っておこう)

「俺そろそろ洗濯物干したいから帰ってくれ」


***


「結局見つからなかったな…はぁ…」

夕暮れ色に染まる公園にまた一つ、溜め息が落とされる。

ブログ神と別れた後、心当たりのある場所を探したが全然見つからず、今に至る。

「………」

ぼんやりとまだ遊んでいる子ども達を眺めていると、母親らしき女性達が我が子を迎えに来たようで。

一人、また一人と子どもが手を引かれて帰って行き、気がつけば公園にはリピート神だけしかいなくなっていた。

取り残されたような感覚に、俯きかけたその時。

「迷子みたいな顔して、どうしました?」

「………!」

声が聞こえぱっと顔を上げる。

目の前にいたのは、今日一日ずっと探していたゲドウ神だった。

「ほら、帰りますよ」

ゲドウ神は彼の頭をわしゃわしゃと撫でると手を差し出した。

「…はいッス!」

その手を握って立ち上がると、ゲドウ神と共に家に帰った。


***


「これを俺に?」

「えぇ、何時も食事を用意してくれているので、そのお礼に」

夜、ゲドウ神が日頃の感謝を込めリピート神に十字架のイヤリングを渡すと、リピート神は嬉しそうに笑ってイヤリングを耳に付けた。

「因みに、私とお揃いです」

「ふぁっ!?」