都内某所にあるゴシック・ロリータショップ内。
「きゃ~、そのお洋服もお人形さんみたいで可愛いですよ~」
試着室から出てきた青いゴシック調のワンピースを纏ったアルビノの少女----日暮は、一時間程前から店員の女性と真昼の着せかえ人形にされていた。
「ロゼたん超可愛い~」
ロゼ、というのは日暮がこういった洋服を身に着けるときの名前だ。
真昼に青薔薇の造花をあしらったミニハットを被せられ、若干照れながらも鏡に映る自分の姿を満足げに眺めた。
***
「うんうん、やっぱロゼたんこういうお洋服着てるときが一番きらきらしてていいねぇ」
先程試着したワンピースを着て隣に座り、クレープを食べている妹の姿を眺めながら真昼は笑った。
「ふふ,Thanks」
昔から、遺伝子による色素の薄さのせいで周囲に気味悪がられていた妹。
しかし、ロゼとして外を歩けば、擦れ違う人々は彼女の洗練された美しさ、または少女のような可憐さに、好奇よりも憧れの眼差しを向ける。
ロゼでいる時だけは自信を持って“そこにいる”彼女を、兄達も自分も否定しない。
(でも、“日暮たん”にも自信持ってもらいたいなぁ)
「日暮たんのクレープ美味しそ~、一口ちょうだい!」
あえて日暮、と呼んだ姉の意図を何となく理解した日暮はこくりと頷くと
「真昼のも、美味しそう…一口、ちょーだい…」
ロゼのものではなくいつもの口調で答え、自分のクレープを差し出した。
「ありがと~。あ!ねぇねぇ、食べ終わったらプリクラ撮ろっか~」
「…撮る」
「やったぁ!夜明たん、羨ましがるだろうな~」
「兄さん達とも…また、一緒に撮ろ…」
姉妹のデートは、まだ終わらない。