-リピート神的前回のあらすじ-

ゲドウ先輩をお孫様(ユカ神)に取られたッス。





「ユカ神とゲドウ神さんって数十年前に出会ったんだよな?」

取り残されたブログ神とリピート神は、ゲドウ神とユカ神が戻ってくるのを部屋で待ちながら雑談をしていた。

「出会いはどんな感じだったんだろう…」

「知りたいッスか?」

「何だ知ってるのか、凄く知りたい」

「仕方ないッスね~、あれは今日みたいな暑い日のこと…」

リピート神は遠い目をして、あの日のことを語り始めた。


***


某国のとある宮殿。

「ゲドウ先輩、そこ立ち入り禁止ッスよ?」

宮殿の奥にある、関係者以外立ち入り禁止のエリアを悠々と歩いていくゲドウ神の後を、リピート神が一歩後ろから追い掛けていた。

「大丈夫ですよ、人に私達の姿は見えていない」

「それもそうッスね。あ、玉座に誰か座ってますよ」

広い空間に出た二人は、玉座に腰をかけこちらをじっと見ている少女を捉えた。

まるで童話に出てくるお姫様のような、レースとフリルを沢山あしらった華やかなワンピースを纏う少女は可愛らしく小首を傾げ、二人を玉座から見下ろした。

「お兄さん達、人間さんじゃないですね」

ゲドウ神は軽く会釈をすると微笑んで挨拶をする。

「こんにちは、Lady。私はゲドウ神と申します。彼はリピート神です」

「宜しくッス」

「私はユカ神、床の神でここ百年程はこの宮殿に棲んでいます。それで、ここには何の御用で?」

「この辺りを観光していたら神の気配がしたものですから、ちょっと御挨拶に」

「ふむふむ、そうでしたか。…っは!ゲ、ゲドウ神さん…それ!」

ユカ神はゲドウ神の足元を見るなり、彼女の元に駆け寄って這いつくばりソレに釘付けになった。

「………」

ゲドウ神は直感的に察すると、口元を歪め加虐的な微笑を浮かべる。

そして、すっと片足を上げて…

「っ…!」

ピンヒールで床を思いっきり踏んだ。

その瞬間、ユカ神は這いつくばったままびくりと体を震わせ、次第に呼吸が荒くなっていく。

「おや、どうしました?」

「うっ…」

「ふふ、もしかしてピンヒールで踏まれたのが床ではなく自分だという想像でもしたんですか?」

「そ、そんなわけっ…」

「んー?」

(先輩、凄く良い顔してるッスね…)

先程、自分達を玉座から見下ろしていたユカ神に内心苛立っていたゲドウ神。

そのことに気付いていたリピート神は

楽しそうに床を踏んでいる彼女を見てほっとした。

「あっ…ありがとうございまぁぁぁぁす!」

「>>>ありがとうございまぁぁぁぁす!<<<」

必死に理性と戦っていたユカ神は、何度もピンヒールで床ではなく自分が踏まれている想像をし

ついに本能のままに叫んでしまった。

それをリピート神が見逃すはずもなく…案の定、真顔でリピートされてしまう。

「そこリピートしたら君までドMみたいですよ?」

「ゲドウ先輩限定でドMですが何か」

「あ、そう」

どちらかと言うとS寄りのリピート神も、ゲドウ神に素っ気なく言葉を返されると心がざわつくらしい。

小さな興奮を隠すようにへらりと笑いながらいつもの調子で「とぅんく」とゲドウ神を見た。

「あう…何だか凄くドキドキします…ま、まさかこれが恋?私今初恋中…?」

ゲドウ神とリピート神のやり取りを眺めながら、ユカ神は誰にともなく呟いた。


***


「という感じッスかね~」

大まかにユカ神との出会いを話し終えると彼は「いやー、懐かしいな」と笑った。

(……ゲドウ神さんの周りにやばい奴が多いわけ、わかった気がする)

口にすると面倒なことになりそうだと判断したブログ神は、幸せそうにゲドウ神について語り出した友人を眺めながら胸の内で呟いた。