むかしむかし、あるところに小さな箱庭の王国がありました。

箱庭の王国には二人の王子様と、国民である動物や花、精霊たちが幸せに暮らしていました。

これは、二人の王子様の美しい日々の御伽噺...







「兄さん」

深い森の奥。

ひっそりと佇む大木の太い枝に腰掛け、本のページを捲る兄の姿を見付けたルカは、驚かせないように柔らかい声音で下から声を掛けた。

「うん?」

弟の声が突然近くで響き、兄----ルトは小首を傾げると枝の上から飛び、魔法の力でゆるゆると下りて行くと弟に微笑んだ。

「どうしたの?」

「特に用事がある訳じゃないんだけど…兄さんと御話したくて」

「ふふ、そうなの」

ルトは幾つになっても自分を慕ってくれる弟を愛おしく思い、頭を撫でた。

「えへへ、兄さんに撫でられるの大好き」

「それじゃあたくさん撫でてあげるね」

「うん。でも摩擦で禿げないかな?」

「禿げないよう優しく撫でてあげる」

「流石兄さんだね!」

先程から側で姿が見えないよう透明な状態でいる大木の精は

(あの二人、会う都度やってるよ)

幸福の双子、と王国内で呼ばれている二人の王子のやり取りが終わるまでずっと、静かに微笑みながら眺めていた。