ある日の昼下がり。
ゲドウ神が住み着いている家で神々の御茶会が開かれるから参加するようにと言われて来たエンド神は、誰かの部屋でチェスに興じていたリピート神とゲドウ神に訊ねた。
「……他の神達はどうした?」
すると、先程まで和やかに雑談を交わしていた二人はぴくりと肩を一瞬揺らし、ゲドウ神は悲しげな表情を浮かべ答える。
「彼等は…っ、惜しい神達を亡くした…」
「待て、奴らに何があった……」
異様な雰囲気を感じ取ったエンド神は、何か事情を知っているのではとリピート神の方を見た。
リピート神は居心地悪そうにエンド神から視線を逸らして
「俺の口からは何も言えないッス…」
と俯く。
一体何があったのだろうと暫く考えていたエンド神だったが、はっとした表情で二人を見た。
「……御前達、まさか奴らを…」
-----本当に、この神は自分の想像通りに喋ってくれる。
ゲドウ神は“シナリオ”通りの反応をするエンド神に内心笑ってしまいそうになる気持ちを抑えて、自らの台本に沿って台詞を言っていく。
「……ふっ、気付いてしまったようですね。そのまさかです」
「なんて奴だ…神を手にかけるなんて…」
「この楽園に、神は七人もいりません」
その名に相応しく外道の笑みを浮かべるゲドウ神。
そしていつの間にかゲドウ神の傍らでにやにやと笑っているリピート神。
彼等に怒りのようなものを覚え殴りかかろうとしたその時…部屋の扉が開いた。
「エンド神…にげて…」
赤く染まった左胸を押さえて部屋に入ってきたクズ神は苦痛に顔を歪め、ゆっくりと前のめりに倒れていった。
「……死ぬな、クズ神ンンンンンン!」
エンド神は慌ててクズ神に駆け寄ると、体を抱き叫んだ。
それを見ていたリピート神は堪えきれず
「……ぶはっ…!くくっ…ゲドウ先輩、そろそろ俺っ…げ、限界なんですけどっ…!」
盛大に吹き出し、ゲドウ神に助けを求めた。
「ふふ…っくく、もう良いですよ、存分にリピートしていただいて」
「……は?」
突然笑い出したリピート神とゲドウ神に戸惑うエンド神。
それはそうだ、知り合いの神が瀕死だというのにも関わらず、二人の様子は今の状況に全くそぐわないのだから。
「…あはははっ、私死んでないよ!ふふっ…勝手に殺さないで欲しいなぁ」
「………ええ?」
倒れていたクズ神もリピート神につられ、エンド神の腕から離れると床をばんばんと叩きながら笑い出す。
エンド神はいよいよ訳が分からず、その場で頭を抱えた。
「はいはい、そこまでよ~。もう、三人ともあまりエンドちゃんを困らせないの」
扉からひょっこりと顔を出した紅茶神は肩を竦めてゲドウ神達を窘めた。
***
「つまり、エンドちゃんはゲドウちゃん達に遊ばれてたのよ」
紅茶神はショートケーキの苺をフォークでつつきながらエンド神を見た。
「>>>死ぬな、クズ神ンンンンンン!<<<」
「ぶっ…いきなりリピートしないでよ、紅茶噴いちゃったじゃん!」
先程エンド神が叫んでいたことをリピート神がリピートすると、カス神とクズ神は口に含んだ紅茶を噴き出してしまった。
そんなやり取りを、紅茶神の声を聞きながら死んだ魚のような目で眺め、エンド神は誰にともなくぽつりと呟く。
「Bad End:外道のシナリオ」