「やぁ、紅茶神」
英国貴族のティーパーティーに招待されて来た紅茶神は、声を掛けてきた人物に驚いた。
「あら、ゲドウちゃんじゃない。こんなところで会えるなんて思っていなかったから、吃驚したわ」
「このティーパーティーの主催者とは所謂茶飲み友達というやつでね。今回私も招待されたんですよ」
「へぇ、ゲドウちゃんにも人間のお友達がいたのねぇ」
優雅な動作でティーカップを持ち上げ紅茶を口に含むゲドウ神の姿に、紅茶神はふと浮かんできた疑問を口にした。
「ゲドウちゃんって、もしかして貴族の家の出だったりする?」
ゲドウ神はソーサーにティーカップを置くと、ゆるりと首を傾げる。
「どうして、そう思うのです?」
「うーん、ゲドウちゃんの所作や身だしなみ、雰囲気が貴族か王族っぽいなって時々思うのよ」
「成る程。残念ながら私はただの紅茶好きの腐れ外道ですよ」
そう言うと、ゲドウ神は
「私はこれで失礼します。嗚呼、また良い茶葉が手に入ったら売ってくださいね」
軽く会釈をしてどこかに行ってしまった。
紅茶神はそんな彼女の後ろ姿を見送りながら、一口マカロンをかじる。
「ゲドウちゃんって、謎だらけよね。自分のこと全然話したがらないし」
一緒にティータイムを過ごすほどには仲が良いものの、彼女のことは分からないことだらけだった。
「今よりもっと仲良くなったら、中身を見せてくれるようになるのかしらね」
焦ることはない。
彼女も自分も、永い時を生きる存在なのだ。
相手を知るための時間なら、沢山ある。
既に立ち去った彼女に微笑みかけ
紅茶神は今年の夏に摘まれたダージリンティーを味わった。