これは人生を語る言葉なんかではない。夫がドライブの途中に言った言葉だ。

ずいぶん前の事だけれど、夫のスペイン領カナリア諸島のグランカナリーへの出張に同行している時、会議の合間に島をレンタカーで半周することになった。車を借りる時の手続きや地図によるナビは夫、私は運転。島の中央を通る道は奇抜な形の岩山があったり、古代人の遺跡があって、なかなか面白かった。ところが遺跡の駐車場から出ようとした時、バックギアが入らない!知っている限りのバックギアを入れる方法を試してみたけれどダメだった。駐車場で出会った人たちに聞いてみたが皆分からない。レンタカーを借りてから遺跡の駐車場に来るまでバックギアを使う事がなかったのだけれど、なんと恐ろしい!あれこれ試してダメだった時点で夫は諦めたように「ギアをニュートラルにしてサイドブレーキを外したら俺が車の後ろから押して向きを変える。『前にだけ進んで行こう!』」と。私は呆れた!とんでもないと思われた。知らないうちはともかく、バックできない車なんて怖くて運転などできない!そのうちに駐車場に現れたドイツ人の男性がチェンジレバーの裏にある小さなボタンを押せばバックギアに入る事を教えてくれた。ドイツ車だったのだ。

この後、全て夫任せで、運転だけをしていた私も「車の動かし方」は一緒に説明を受ける事にしている。バックできない車なんてトンデモナイ!