今年3月に泊めて頂いたお寺の部屋に、この句と笠を被った旅の僧が描かれた軸がかかっていた。句には「曾良」そして軸の下の方に「砂丘画」とあった。あの「小松砂丘?」石川県にはたくさんの書画があると聞いていたけれど、特に趣味のない私は初めて目にした。そして、さっそく写真を撮った。夕食の時、奥様に聞いてみるとやはり「小松砂丘」作とのことで、軸はいつもご住職が探してこられて部屋にかけているのだとか。何だか得した気分だった。

句を正確に知りたいと思い、自宅に帰ってからネット検索してみると、この句は「奥の細道」東北・北陸で師匠松尾芭蕉と共に旅をして来た曾良が身体を壊してしまい、山中温泉で師匠と別れる時の句。芭蕉は曾良のこの句に「今日よりや 書付けさん 笠の露」と返して別れを共に悲しんだと。山中温泉にはふたりの別れの場面を描いた像もあるという。石川県では有名な句だったのだ。お寺のご住職が泊り客のために飾って下さった事に遅ればせながら感謝!

テニスの友人にこの話をした時、砂丘の事を「香林坊に句碑がある人ね!」と言われた。そう、金沢望郷歌「春の風ふく 香林坊に 小松砂丘の 句(ことば)がのこる~♪」。五木寛之さんの本と、この歌がなければ「小松砂丘」の名は知らないままだったろう。