『あの子が、お前が前言ってた彼女さんか』

「ああ………森田ひかるっていうんだ」

『可愛い子じゃないか。会えないと辛いだろ』

「それはお前もだろ」

『いい所だな、お前の地元』


今浩介たちは、裕之の実家に一番近いバス停に向かうバスの中にいる。浩介はバスの車窓から広がる景色を眺めていた。


「そうか?中心部を離れたら何にもねえぞ?


『少なくとも、俺は都会よりはいいと思う。空気も澄んでるし』


「それもそうか」


『唯衣のやつ、誰とでも仲良くなれるんだなあ。うらやましい』


前を見ると、唯衣がひかると喋っているのが見える。コミュニケーション能力に長けているのは彼女の強みだ。


「お前の彼女とも仲良くなるの早かったんだって?


『ああ。明里っていうんだけどさ、すげー喜んでたよ』


「そうか」


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バスを降りると、周りには田んぼが広がっていた。浩介の地元や乃木坂地区でもあまり見ない光景だ。


『いいな、こういう田園風景』


「何もないけどな」


拓「本当にこんな田んぼばっかの中にお前の家があんのか?」


裕「歩けば分かるよ。ポツンと建ってるから」


唯「ポツンと一軒家………」


ひ「おぉ!上手いこと言うねぇちゅけもん!」


拓「ちゅけもん?」


唯「私のあだ名やって。るんちゃんがいきなり言ったんよ」


拓「るんちゃん………ひかるちゃんのことか」


ひ「そう!うち、みんなからるんちゃんって呼ばれてるの」


『面白い子だな、ひかるちゃん』


「面白い?」


『面白いと思う。少なくとも、俺の友達にはいないタイプだよ』


「わかってるやん!君、名前は?」


『西川浩介』


「浩介言うんや。私森田ひかる、よろしくね!」


『うん。よろしく』