金「やんなっちゃう!なんなのあいつ!」
明「落ち着いてよ、かねむー」
金村美玖と丹生明里は、校内の食堂で昼食を食べていた。だが、先ほどの件もあって明里はほとんど口にしていない。
金「山下、って呼ばれていたよね」
明「…………あの子」
金「えっ?」
明「ストレッチしてた時、わたしのこと見てたの、あの子」
金「……………」
明「かねむー、早く食べちゃおう。次はアクションの授業だから、エネルギー補給しとかないと」
金「うん…………」
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それはアクションの授業中のことだった。
「じゃあ山下、この動きやってみて」
「はい」
講師が見せた簡単なアクションの動きを、生徒に実践させるという指導。最初に指名されたのは山下だった。誰もが視線を山下に注いでいる。
「ハッ‼︎」
…………見事なまでに華麗に、そして軽々とその動きをこなして見せた。講師がその動きを見せたのはたった1度きり、あの瞬間で全て覚えたというのか。
「山下…………思い出した…………」
隣に座っていた美玖が呟いた。
明「えっ?」
金「演劇科に、この学園が開校して以来の逸材が入学したらしいって講師の方が言っていたの。その人の名前は、」
山下美月……………
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明「山下さん!」
授業終了後、明里は美月のところへ行った。
山「何」
明「すごいね。ダンスもアクションも、あんなに簡単にこなしちゃうなんて」
山「別に、あんなの普通よ。みんなが出来なさすぎるんじゃないの?」
明「………わたしはそうかもしれないけど、でも、」
山「もういい?これから、デートなの」
明「デート⁉︎」
明里の言葉に返事することなく、美月は部屋を出ていった。