建築材料で特に外壁部分では鉄とステンレスは接触させてはならないとされています。今回はその解説に挑戦してみます。
ステンレスは錆びないといわれますが、錆びないわけではありません。錆びた部分が溶け出して酸化するのは鉄と同じですが、錆びが金属表面をを覆い、皮膜となってぴったりくっついて酸素と水の浸入を防ぐため錆が進行しないだけです。
ステンレスは鉄に比べてイオン化傾向が低い(イオン化されにくい=錆びにくい 鉄に比べて貴金属)金属でもあります。
異種金属による電食
異種の金属が電解液中でイオン化するときに電気が流れるそうです。卑金属である亜鉛と貴金属の銅がイオン化しやすい希硫酸の中で電気が発生する化学電池をボルタ電池といいます。
このボルタ電池と同じ原理で異種の金属が接触し、電解液中では電気が発生します。
鉄とステンレスでは電位差が亜鉛と銅より小さく、希硫酸と水では電解の度合いが小さく、発生する電気は小さいですが化学電池状態になります。
電食による腐食促進
前述のように金属に電気が流れるとイオン化が促進されます。鉄の場合はイオン化した鉄イオンが水中の水や酸素と結合し、酸化鉄となります。
鉄は空気中でもただでさえ酸化しやすい上に電食作用まで加われば酸化(錆)が劇的に進行します。
場合によっては数年でボロボロになることもあります。
鉄とステンレスの接触の可能性
普通では鉄とステンレスが接触した建材はありませんが、錆を気にするあまり
鉄の部材にわざわざステンレスのボルトを採用して激しく錆びた例もあるそうです。
ということで、ステンレスを使うなら鉄と接触しないようにしましょう。