気を取り直し、アヤが部屋に入ろうとその重い扉を開けた瞬間
“ズガガガガッー!! ドドドドドォーンッ!!” 耳をつんざく轟音が鳴り響いた
「えーっ、えーーっ??ナニーーーーッ???」
すると黒い箱の影から真が顔を出した
「ん?アヤ?なにやってんだよー、音が外に漏れちゃうだろっ、早くドア閉めてくれよ!」
「ちょっと、あんたこそナニやってんのよっ?教授はいないの?」
「ああ、教授ならいねーよ、今この実験室はオレ様の貸切なんだ」
「へー、天才クンは特別扱いってワケだ」
「まーそんなとこかな、へへ・・・オレ様の秘密研究所へようこそ!ってか?ハハハ」
「そんなことより、ずっと家にも帰らないでナニしてんのさ?ヒロちゃんがちゃんとゴハン食べてんのかって心配してたぞ!・・・アタシのこともほったらかしだし・・・」
「あれっ?アヤひょっとしてオレ様がいなくって寂しくって夜も眠れないのかぁ?」
「・・・寂しい行為をこんなとこでまでシてたのはどこのどなたかしら?」
「え?・・あ、あれは・・その・・・・そ、そんなことより、なにしにきたんだ?」
「なにしにって、ヒロちゃんがあんたのこと様子見てきてくれないかって言うからちょっと顔見によってみたんだよ!週に一度くらいは家に帰ってゴハン食べなさいってさ」
「そうか・・・今日って何曜日だ?」 「え?金曜だけど・・」
「じゃあ明日は土曜か・・・じゃあ今日帰るわ、アヤ一緒に帰ろうぜ!」
真は色々な計器の電源を落とすとアヤに近寄った
「ウッ、クッサーイッ!あんたずっと風呂入ってないでしょっ?」
「え?そんな臭うか?オレ様気になんねーけどなぁ」
「臭うか?って、チョー臭いよっ!アタシ先に帰ってるからあんたもちゃんと家に帰るんだよ!今夜あんたんち行くからさ、風呂入ってその臭いを落としときなよ!あ、あとなるべく交通機関使わずに帰った方がいいよ、周りの人にメーワクだからさっ!」
「・・・そんなに臭いのか・・・」

20時過ぎ 真の家
「真!帰ってるかーい」
「アヤちゃん!真帰ってきたよ、今風呂入ってんだ、すごい臭いだったんだよあのコ・・」
「知ってます、今お風呂って、いつ帰ってきたんですかあいつ?」
「15分くらい前かなぁ、なんかさメーワクかかるから歩いて帰ってきたんだって」
「そ、そうですか・・アタシが交通機関使うなって言ったからだ・・悪かったかなぁ・・」
「そうなの?あの子そういうの無頓着だからその方が良かったよ、アレは殺人的な臭いだったからね~!ありがとねアヤちゃん忠告してやってくれて、それにたまにはウチに帰れって言ってくれたんでしょ?」
「ええ、まあ・・」
真が風呂から出て来た
「アヤ、来てたのか、アヤの言ったとおり交通機関は使わずに歩いて帰ってきたぜ。そういえばさ、なんか道に迷っちゃって、途中腹減ってコンビニに食い物買いによったんだけどな、店にいた女子高生が影でオレ様を指さしてヒソヒソ話してんだよ、オレ様って意識しなくてもフェロモン出まくりで注目の的になっちまうんだよな!ガハハハハ!」
「ねっ、なんも気付いてないでしょ?アヤちゃんが忠告してくれて正解だったんだよ!」
「そ、そうみたいですね・・ははは・・でもなんで道に迷うのかなぁ・・はは・・」
「真!せっかくアヤちゃんが来てくれたんだし、オジャマ虫のわたしはアヤちゃんちに行ってハルちゃんと飲んでるからさ、ヨロシクやんなよ!うふふ・・」
真の母はそう言うとワインを片手に玄関から出て行った
「・・・ヒロちゃんって、ある意味すごいお母さんだね・・・」
「あ、ああ確かに・・・と、とりあえずオレの部屋上がるか・・」
二人は真の部屋へ
「ところでさ、あんたアノ実験室でナニやってんのさ?しかもアタシが入った時のチョーウルサイ音ってなんだったのよ?」
「ああ、うーん・・あの音はさ、録音したものをただ再生してただけで、アレをさ・・・おっと、ここから先は成功するまでは絵空事だから秘密なんだ・・ただ、将来はオフクロやアヤのためになるハズさ、それにゴールは見えかけてきてるんだ」
そう言うと真は笑った。アヤにはその笑顔が少し寂しそうに見えた
「秘密か、想像つかないや・・まあ何をしようが構わないけど、週に一回はヒロちゃんに顔見せに帰ってあげなよ・・・で、アタシの相手も・・・たまには・・・」
「そうだ!明日は久々にデートしようぜっ、オフクロに車借りて海とか行ってさ!」
「それいいね!海行きたーい!アタシ冬の海見るの好きなんだ、寒いけどね、ハハハ」
「アヤ・・」真はふいにアヤを抱きしめてきた、アヤは少し驚いたが拒まなかった、さらに真は激しくアヤを求めた、そしてアヤは真の欲求をすべて受け止めた、アヤは真の頬が濡れているのを肌に感じたが、その時は自身が真を求める気持ちが昂ぶっていたためその理由を深く考えることができなかった。
翌日土曜日
真とアヤは約束通り海へとドライブに出掛けた
「やっぱ、冬の海沿いは寒いなー!」真は言った
「そうだね、もうすぐ12月だもんね・・アタシももうすぐ二十歳か・・」
「あー、それにしても自然ってヤツはスゴイよなー・・人間にとってはすごく大変だと思うようなことがあっても、何事もなかったように朝になれば太陽は昇るし、海はいつだって波立っている、人間の悩みなんてちっぽけなもんだな・・・・・」
「なーんか真、感傷的になってるなぁ、なんか悩みでもあんの?アヤ様が聞いてあげるから言ってみなっ」
「ん・・別にそんなんじゃねーよ・・・ただ海見てたらさ、改めて海ってデッケーなって思っただけさ・・・あっ、でもオレ様の哀愁ただようカンジもまたいいだろっ?へへ」
「なーに言ってんだか・・・まあ言いたくないんだったらいいけど・・でもさ無理はしないでよね!あんたミョーに抱え込んじゃうトコあるからさ、アタシちょっと心配なんだ・・・」
「だーかーらー、なんともないって!オレはただ海に感動しただけなんだって、あっそうだ、この前のアヤの『太陽の鍵』なかなかカッコいいカンジだったぜ、今度はオレが対抗してセルフお題ゴールドスロットにちょっと似たたぐいの『博徒』でも書こうかな、いいか?」
「でも、あんたなんか忙しそうにしてるし時間ないんじゃないの?」
「この、杉山真様に出来ないことはないさ!明日は日曜だし、なんとか書けるさ!」
パラパラと雨が降ってきた
「うわっ、冷たーい」アヤは叫んだ
「海が風邪引くからそろそろ帰れって言ってんのかな・・よし、じゃあ帰るか・・」
 
〔博徒〕 杉山 真
 
俺こと大野弘幸は、貧しい下宿住まいの大学三年生。
手元には一万円。これで後一ヶ月、生活しなければならない。ふぅー。ため息が出た。九万円は足りないな。
色々と生活費がかかるもんな。実家には頼ることはできない。実家は実家で暮らし、大変だもんな。
バイトは首になったばかり。俺は人間関係、付き合いに難がある。むしょうに孤独になりたい時がある。
それに加えて、放浪癖もある。そう語れば、奇才、天才系かと思う人がいるかもしれないが、大学の成績は最低線である。
いわゆる何のとりえもない男である。ただ博打は大好きだ。ボートに競馬、競輪、パチンコ、賭けマージャン。
今日も博打で金策に走ろうと思っている。
俺は布団から出て、起き上がり、オンボロ下宿のシャワーを浴びた。
シャワー室を出て、素早くラフなカッコウに着替えた。外に出ると真夏の太陽がさんさんと照っていた。
実家のある大阪の夏は暑いと幼い頃から思っていたが、ここ広島の夏も、かなり暑い。もう額から汗が流れ出した。
急に別れた大阪の彼女のことを思った。
やはり、離れ離れになるとダメだな。遠距離恋愛を、ヨロシクやっている恋人達が羨ましい。
そろそろ、俺も大学で新しい彼女を作らないとな。
孤独、放浪癖の男にも、女は必要なのだ。この世は男と女から成り立っているのだ。
さーて、どこへ行こうか?そうだ、今日の新聞のチラシに入っていたパチンコ店にでも行ってみるか。
俺は自分の博才を常に信じている。
確か『ジャッカル』という名のパチンコ店だったな。ひと勝負『ジャッカル』でしてみるか。
『ジャッカル』といえば、フレデリック・フォーサイス作の『ジャッカルの日』は、小説でも映画でも、面白かったな。
 波乱万丈の一生に憧れる。でも、最後に失敗してはダメだ。『ジャッカル』でひと稼ぎしたら、新しいバイト先を探さないと。
 どーも、居酒屋とか喫茶店とか接客業は苦手だ。『笑顔』とか『元気』とかというヤツが苦手なのだ。
 といって、家庭教師ができる能力もない。やはり、肉体労働か?でも、虚弱体質なのだ。さてさて、イエローブックでも買うか。
 あーあ、イケメンなら、どこかの女のヒモにでもなるのにな。つくづく最低の男よ、俺って奴は。
 ふーっ、やっと着いたぜ、『ジャッカル』。そうか、パチンコ店のアルバイトはどうかなぁ。案外、向いているかもな。
 俺は自動ドアから、『ジャッカル』に入った。凄い人。凄い音。人を掻き分けて、掻き分けて奥に行った。
 すでに、満員。空いている台はない。俺は両替機の前に立ち、財布から全財産の一万円札を取り出した。さて、パチンコをするか、スロットをするか。
 一万円札に『強い幸せの願い』を込めて、両替機の上部に挿入した。両替機の下から十枚の札が出てきた。
 千円札が十枚、いや違う、なんと一万円札が十枚出てきた。俺はアッと驚いた。一瞬、回りをパッと見回す。大丈夫。右手の中指と人差し指で十枚の札をサッと挟んで、胸のポケットに突っ込む。まいどあり。奇跡が起こった。これで今月暮らしてゆけるぜ。

                     FIN

日曜15時 真の部屋
「真って、スロットものが好きなのね。見た感じ『博打』には縁遠いようだけれど。アヤもまだまだ、真のことを知ってないな」
「よし、俺も、アヤのこともっと知るためのお題出しちゃおーかなぁ・・・・・よし、『憧れ』ってのはどお?アヤの憧れを知りたいんだ・・・」
「ガッテンショーチノスケッ!・・・エヘヘ」
「・・なんだそれ??・・・・大丈夫かアヤ・・・・」
(・・・・・なんだと?このヤロウ・・・・・コレモケイサンカ?・・・・・)
「わ、わかったってことだよ、じゃあアタシ今日は帰るわ!憧れについて色々考えたいからさ、あんた明日からまた、研究室通いなんだよね?ナニしてんのかわかんないけど頑張ってね、またのぞきに行くからさ、じゃーねー!」

〔憧れ〕  林 アヤ

あいかわらずね 「何が」
そのまぬけそうな顔よ 「そういうおまえは」
美人よ 「ふーん、あいかわらずかわいくないね」
それは、あなたでしょ 「俺がかわいくないって?
何もおまえに言われる筋合いはない」
あるわよ 「へーぇ、どんな理由」
昔のあなたは今のあなたじゃなかったわ 
「それは、誰だってそうだろう」
違うわ・・昔のあなたは輝いていた
・・あなたは・・・・私の憧れだったのよ

12日後の金曜日 真の実験室の前
アヤは扉の横に置いてあるゴミ袋を見つめていたが、軽く息を吸い込むと意を決したかのように扉に手をかけ、体重を乗せて扉を開けた「真いるかーい、アヤだよー!」
アヤが入ると真は実験室の中央の床に座って口をもぐもぐさせていた。その横にはアノ黒い箱が置いてあった。よく見ると床には赤いテープが貼られていた、それは真を中心として一辺5メートルほどの四角形になっていた、そしてその四角形の四隅には小さな“く”の字型をしたカステラの箱のような物が置かれていた。真はアヤに気がついていないようだったが、ふいに立ち上がり四角いテープの囲いから一歩外に出た。
「真っ!なにやってんのぉー?」
「うわぁっ!・・・・あっ、アヤか・・脅かすなよ!」
「さっきも呼びましたけどぉ?あんたが無視したんでしょっ!それよかあんたなんでティッシュなんか口入れてんのさ?そんなにおなか減ってんの?」 
「えっ?ああ、なんだずっといたのか・・ティッシュがどうしたって?・・・・ん?・・・アレ?・・・おお、おおおっ!やったぞ!やったんだよっ!!アヤ!オレとうとうやったぞっ!!」真は口の中のティッシュを飲み込んでしまった
真は興奮してアヤの手を握ってきた
「ナニをやったってんだ?それよかあんたダイジョーブ?ヒロちゃんが心配してたとおりゴハン食べてないの?ティッシュなんか食べちゃって・・まさか使用済みのヤツじゃないだろね?・・・ってか・・あんたまたかなり臭うんですけど・・・」
「そんなこと今は気にすんなって、世紀の大発明誕生の瞬間に立ち会えたんだからさ!」
「・・・・世紀の大発明?いったいなにがさ?」
「ちょっと、この中に入ってみな」真はアヤを赤いテープの内側へ入るよう促した
「はいはい、入ればいいん・・キャァッ!!」アヤは耳を押さえテープの外へ飛び出した
「アレ?・・え?・・どうなってんのコレ?・・この線越えたら・・あんたなんかしたの?」
「なんもしてねぇよ、あの真ん中の四角い箱あんだろ、あれが音出してんだよ、こないだと同じ音をな、そして今この瞬間もな!」
「今もって?なんも聞こえないじゃん・・・」
「ここはエリア外だからな、もう一回あの中に入ってみなよ」
アヤはもう一度テープで囲まれた中に入った、そしてすぐにまた飛び出した
「あのテープの外に出た途端に音が聞こえなくなるんだ・・・あの黒い箱になんか秘密があるの?・・・小範囲にしか音が広がらないスピーカーとか??」
「アレはただの再生機さ、四隅に“く”の字型した箱があるだろ、あれがオレ様が発明した画期的なマシン、名付けて!『シンレンサー』さ!!」
「しんれんさぁ?なんか“ぷよぷよ”の三連鎖みたいだな・・」
「シンレンサーだよ!オレ様のシンとサイレンサーを融合させたのさカッコイイだろ!」
「・・・そ、そうなんだ・・で?そのシンレンサーはどういうもんなの?」
「きっかけは旧校舎の解体工事の音さ、うるさくて落ち着いて昼寝できなかったからな。で、オレ様の安眠を妨害するあの音をなんとか消すことは出来ないかって思ってたんだ。それでまずオレは、どうやったらそれが出来るのかを考えた、そしてついにシンレンサーの原理『シンレンスシステム』を完成させた!」
「シンレンサーのシステムだからね・・・ハイハイ・・・で?」
「後は試験機を作っては実験をしデータを取り、システムの見直しを繰り返した、そして今日やっとその実験が成功したんだ!」
「だからさー、アタシはそれの性能を聞きたいんだよー」
「アヤもさっき体験しただろ!よし、じゃあ・・」
真はシンレンサーから伸びているコードの一本を抜いて見せた、その瞬間
ズガガガガッー!! ドドドドドォーンッ!!
実験室は轟音に包まれ、驚いたアヤは「キャアッ」と叫んだ。真はそれを見るとまたコードをつないだ。
「わかったかい?シンレンサーは囲んだ空間の音をほぼ完全に遮断することが出来るんだ、でも実は、似たようなものは既存であるんだ、理屈も少し似てるし・・でもな、ほぼ完全に遮断できるってのはコイツだけなんだ!でさ、空間内の音がすべて消されるんじゃなくて中は中で音は聞こえるんだ。更に、囲まれた空間からの音は外にはもれないけど、外の音は内側には聞こえるようにしたり、逆に外の音を中に入れないように切り替えも出来るんだぜ!なっ、スゲーだろっ!」
「うーん・・・・なんかややこしいなぁ、そうだったらどうしてスゴイの?」
「簡単に言うとさ、例えば最初にオレが消したいと考えた工事の騒音だけどさ、工事現場をシンレンサーで囲ってその中のすべての音が消されてしまったとしたらどうなる?その空間内にいる人達はコミュニケーションが取れなくなっちまうだろ、そうなったら安全性に問題が起きてしまうからな。で、外からの音が聞こえるってのもさ、そうだなぁ、夫婦の寝室に設置したとしようか、寝ている子供や親とかを気にすることなくエロエロできるからな、ぐふふ・・・でもさ、もし外で火事やその他の危険が迫っていたとして外部の音が遮断されてたとしたら、その危険を察知し遅れて危険な目にあう可能性があるだろ、そこまで考えてあるモノ、そしてそれが出来るモノって、このっ、シンレンサーをおいて他にはないんだぜ!」
「なるほど・・確かにそのとおりだ・・・真、スッゲーじゃん!ホントにスゴイ!!」
「だろ~!用途の応用はまだまだ無限にあるからな!今のはプロトタイプで範囲が狭いけど少し改良すれば、もっともっと広い範囲にも使えるようになる。一番のウリはコストさ、オレ様の計算では現代社会が抱える音対策にかかる費用はその対象によって様々だけど平均で20分の1以下にはなるハズさ!」
「カクメイテキじゃん・・・あんたやっぱ天才だわ・・・マジで見直したよ!」
「あ、ああ・・・・まあな・・まは・・・まだ・・・・だけ・・・ど・・」
急に真の声にハリが無くなる
「ん?どしたぁ?急に元気なくなったなぁ・・具合でも悪くなったの?そういえばあんたちょっと顔色悪いね、ずっとこんなとこにこもってたからかな?」
「ああ、いやなんともないさ、今日は久々に家に帰るぜ!なんせオレ様の目的は今日で達成されたんだからな、へへへ・・・おっと、最後の仕上げがあるんだった、ちょっと待っててくれよ、終わったら一緒に帰ろうぜ!」
真は、そう言うとパソコンに向かい、いくつかのフォルダをUSBメモリに移し、シンレンサーに関するデータを全て消去した後、パソコンの電源を落とした。それからプロトタイプのシンレンサーをバッグに無造作に突っ込んだ
「よしっ、帰るか!」真はそう言うとアヤの手を引いて重い扉を開けた
「ちょっとぉ、あんた臭いんだけどぉ」
アヤは嬉しそうな顔で笑いながら言った、そしてアヤは何かを思い出し少し不機嫌そうに真に聞いた「そういえばさ、今日はなんの日か覚えてる?」
「え?」真はわからないという顔をした。アヤは少しスネた表情で
「アタシの二十歳の誕生日だよっ!」
「おお!そうか、そうだったなっ!いやーゴメン、うっかりしてた・・・でもさシンレンサーが完成した日とアヤの二十歳の誕生日が一緒って、こりゃあメデテーなぁ、あっはっはっはっはっ・・じゃあ、ウチ帰ってお祝いしなきゃな!またシャンパンでも買って帰るか?そんでオレ様の誕生日んときみたいにさ・・ぐふふ・・・」
「なに調子のいいこと言ってんだか、このエロエロ大王め・・」
そして二人は家路についた、交通機関は使わずに歩いてだ。ただ、前回と違うのは歩いているのが真独りではなくアヤも一緒だということ・・・二人の家まであと10分くらいの川沿いの堤防道路を歩いていた時だった、アヤが「あのね・・真・・」と何かを話そうとした時、ふいに真がヨロめいた、アヤが「あっ・・」と声を発すると同時に真は堤防道路の斜面を転がり落ちていった・・・・・

50分後 搬送先の病院
「アヤちゃんっ!真はっ?」真の母ヒロがアヤからの連絡を受け病院に駆け付けた
「ごめんなさい・・アタシが歩いて帰ろうって・・真、疲れてたのに、顔色も悪かったのに・・・タクシーにでも乗って帰れば良かったんだ・・・アタシが・・アタシが・・・ごめんなさいっ・・ううぅぅっ・・・」アヤの瞳からは涙が溢れている
「アヤちゃんのせいじゃないって、きっと大丈夫だよ、それに、わたしだってきっとアヤちゃんと同じようにしたと思うよ」ヒロはアヤの背中をさすりながら言った
「で・・でも、真、落ちたときに頭打っちゃって、意識も朦朧としてるみたいで・・・今検査してるらしいんだけど・・・ヒロちゃん、真死んじゃったらアタシどうしよう・・ああぁっ・・ううぅっ・・・・」アヤは嗚咽を漏らして泣いた
「大丈夫よ、あの子は殺したって死にゃしないよ!」ヒロの目からも涙がこぼれている
「杉山さんのお母様ですか?」二人が見上げると医師が目の前に立っていた
「ワタクシ息子さんの担当をいたしました常国と申します。息子さんの傷の処置と検査は無事終了いたしました。このたびの転落事故では、軽い打ち身はあるものの外傷もたいしたことありませんし、脳内出血も見受けられませんでした。軽い脳震盪だったようで意識もはっきりしていますし、今、傷の処置をしているところです・・・」
「そ、そうですか・・ありがとうございました・・」とヒロが言うと
「ただ・・・今回の事故とは関係ないのですが・・・ここではちょっと・・別室でお話したいことがありまして・・そちらの女性はどういったご関係で・・・」
「この子は真の・・息子の彼女です、一緒に話を聞いてもかまいませんか?」
「お母様がいいとおっしゃるのなら、私共はかまいませんが・・・」
そう言うと、その常国という医師は二人を別室へ案内した
「あのっ、真になにか問題でも?」ヒロは常国にたずねた
「・・・ええ・・実は、真さんの脳のCTを撮りましたところ、気になるコトがありまして・・真さんの脳に萎縮が見受けられるのです・・・」
「それって・・どういうことなんですか?」アヤが聞いた
「年齢的にかなり稀ですが若年性認知症であると思われます。いずれなんらかの障害が出てくるかと思われます・・・他にも色々と異常が出る可能性があります、今日の事故もそれが原因なのかもしれません、ひょっとしたら他にもすでに兆候が出ているのではないでしょうか・・・」
アヤとヒロは医師の言っていることがすぐには理解出来ずにいた
「兆候って・・どんなものがあるんですか」アヤは不安そうな顔でたずねた
「そうですね、例えば・・言葉がうまく喋れない、会話が成り立たない、急に怒り出す、人格の変化、記憶の喪失、社会的抑制の喪失、不衛生になる、異常行動、抽象的思考・洞察力・判断力の低下、異様な固執、異常な性欲・なんでも口に入れる、文章がうまく書けない等・・・ほかにも様々な症状がありますが、何か思い当たるようなことがありますか?」
アヤは絶句した、ここ最近の真の行動を考えるといくつも思いあたる事があったからだ、そして、ひょっとしたら真は自分の異常に気付いていたのではないかとも思った。
「あ、あります・・・いくつか思いあたることは・・確かにあります・・・アタシ、薬のせいなのかなぁって思ったこともありました」
「それはなんの薬ですか?」
「名前は知りませんけど、昔“うつ”になったときから安定剤みたいなのを飲んでました」
「そうですか、だったらその薬はすぐにやめた方がよいですね、坑うつ剤は認知症を悪化させることがありますので・・・」
「そ、そうなんですか・・それで、もし真が本当にその認知症だとしたら、真は・・真は、どうなるんでしょうか・・」
「断言はできませんが、いずれ日常生活も一人ではままならなくなり、場合によっては寝たきりとなって最悪の場合、数年後には・・・・ですが、認知症にも色々ありまして、例えば、映画等にもなったアルツハイマー性のものであれば投薬やリハビリによって進行を抑えたりすることも可能です。真さんの場合まだ原因が特定できておりませんので経過を観察していただき、機会をみて詳しく検査させていただければと思います」
ヒロは下を向いたまま震えていた
「けどっ・・・でも、真はIQ200以上の天才なんですっ・・・そうっ、しかも今日だってシンレンサーっていうスゴイ装置を完成させたし・・・それに、それに、アタシ達いつもお題を言い合って、詩とか小説みたいなものを書いたりしてるんです・・・確かにあんまり上手な文章ではないけど、真の書く話にはすごく心があって・・そんな・・そんな、真が認知症だなんて・・アタシ信じられませんっ・・ううぅっ・・」
アヤは涙をぼろぼろと瞳から溢れさせながら医師に訴えた
「・・申し訳ありません、私どもは検査結果を客観的にみて診断を下さねばならないものですから・・・・しかし、お題を言い合って詩や小説を・・ですか・・もしかしたらそういったやりとりがリハビリのような効果をもたらしているのかもしれませんね、今後も積極的に続けていかれた方がよろしいかと思います。そろそろ真さんの傷の手当も終わる頃ですので今日のところは家に帰られてゆっくり休ませてあげて下さい。認知症には周囲の方のケアが重要ですので、なるべく誰かが近くにいてあげるようにして下さい。
もしまた何かありましたらいつでもご連絡下さい。」そう言うと常国は部屋を出た
しばらく二人は黙ったままうつむいていた、アヤなりに、ヒロなりに、さっきの常国という医師の言葉を理解しようと、受け入れようとしていた。どのくらい時間がたったのだろうか「よし、真を迎えに行こうか」とヒロが立ち上がった。「ハイ」とアヤも立ち上がり部屋を出た。二人が受付の前まで行くと、何列かに並べられた長椅子の一番後ろに真が座っていた。顔にはガーゼが貼られており、アヤ達が常国医師の話を聞いているうちに治療を終えた真は看護師に促され、そこで待っていたようだ。
「なーにしてたんだよー、ケガしたのはオレだぜぇ、待ちくたびれて寝ちまうとこだったじゃねぇか。それよりこの顔見てくれよ、オレ様の顔が台無しだっての!」
真は二人に気付くとケロっとした顔で言った
「ごめんごめん、道が混んでたもんだからさ、それにちょっと道に迷っちゃってわたしが来るの遅れちゃって、アヤちゃんずっとわたしがくるの外で待ってくれてたから、それにしてもこんなに早く帰れるなんて、あんたのケガもたいしたことなかったんだねぇ、急いで車トバして来て損したよ」とヒロは言った
「なんだよ、オフクロ今ついたってことかよ?ヒッデーなぁ・・息子の一大事だってときによぉ・・・全然オセェーんだよ・・・」
「なーにが一大事なのよ、ちょこっと顔すりむいたくらいで!ずっとウチに帰ってこないで好き勝手やってて、勝手に転んでケガしたクセに、そんだけ悪態つけるんなら心配ないねっ、よし帰るわよ!」
そう言ってくるりと向きを変えたヒロの目からは涙が溢れていた

30分後、ヒロの車で3人は真の家に着いた
「アヤちゃん今日は色々ありがとね」ヒロが言った
「いえ、なんかすいませんでした。アタシがついていながら・・・」
「なに言ってんのよ、アヤちゃんがいたから真だってたいしたことなかったんだからさ、真ひとりだったらそのまま川で溺れて死んじゃってたかもしれないしね、なんせこの子、カナヅチだから・・ホントに感謝してんだよ、だから全然気にしないで」
「ヒデーなぁ、オレ、犬カキぐらいならできるんだぜ!」と真
「そんなの自慢にならないだろっ!」アヤは思わずツッコんだ
「あ、やっぱそうか・・」三人は顔を見合わせて笑った
アヤは少し心が和んだ気がした・・だが常国医師の言葉が頭から離れなかった
「アヤ、ちょっと後でまたオレの部屋来てくんねーかな」と真が言った
アヤは少し緊張して「わかった」とだけ言い、一旦自分の家に帰った。
「ただいま・・」アヤが家の玄関を開けるとアヤの母ハルが出迎えた
「おかえり、真ちゃんは大丈夫だったの?ヒロちゃんがさ青い顔して出て行こうとしてたからさ、どうしたのって聞いたら救急車で運ばれたってアヤから電話があったって言うもんだからさ、アタシずっと気になってたのよ・・・」 
「あ、うん・・怪我は大したことなかったよ・・でもね・・でも・・お母さんっ、ううっ」
アヤはハルにしがみつき泣き出した
「どうしたの?」ハルはアヤを抱きしめ優しく聞いた
「あのね、真が・・・真がね・・・・」
アヤは泣きながら病院でのやりとりについてハルに話した
「そお・・そうなんだ・・・ヒロちゃん、旦那さんだけじゃなく真ちゃんまで・・・
あのねアヤ、今からアタシが話すことは、ヒロちゃんが自分からあなたに話すまで知らなかったことにしといて欲しいんだ、いい?」とハルが言うとアヤはうなずいた
「ヒロちゃんの旦那さん、真ちゃんのお父さんが若くして亡くなったのは知ってるわよね、ヒロちゃんの五つ上だったから28歳で亡くなったんだけど、その旦那さんの亡くなった原因も脳の萎縮によるものだったんだ・・・最後の頃は旦那さん、ヒロちゃんのこともわからなくなっちゃってさ、可哀想で見てられないくらいだったんだ・・・それが、息子の真ちゃんまで同じ病気だなんて・・・・」
アヤは黙ってハルの話を聞いていたが、やがて
「お母さん、もういいよっ、今はそんな話聞きたくないよっ!」
アヤはそう言うと二階の自分の部屋へとかけ上がった
「・・アヤ・・せっかくの二十歳の誕生日なのに・・なんでこんな・・」
ハルは呟いた
部屋に上がったアヤはカーテンを閉めベッドに倒れこむと、隣の家の真に泣き声が聞こえないように、嗚咽が漏れないように、ベッドに伏したまま声を殺してまた泣いた、父が事故で亡くなった時のように・・・泣いても、泣いても、涙が尽きることはなかった・・・それでもやがて、泣き疲れたアヤはそのまま少しだけ眠ってしまった。それはほんの数分の間であったが、アヤは夢を見た。いつも優しかった、大好きだった父の夢を・・・・・夢の中には、もう一人見覚えのある男性が出てきた。誰だったかな・・アヤはその時どうしても思い出せなかった。その男性はアヤの父と親しげに話していた。
アヤは「お父さんっ!」と呼んだ。
すると父はアヤの近くに来てアヤの頭を撫でながらこう言った
「アヤ、真君はまだ生きているんだ。そんな悲しい顔をするんじゃないよ。真君のためにお前にしか出来ないことがあるだろ?それにアヤには強く生きていかなければならない責任があるだろ・・・」
そして傍らに立っていたもう一人の男性が
「私達の命の連鎖をよろしくお願いしますね」と言った。
ハッ!とアヤは目を覚ました
「そうだ、あれは真の・・じゃあアタシやっぱり・・」と呟いた、そしてベッドから這い出し階段を降りて仏壇に手をあわせた後、洗面所に行くとジャブジャブと顔を洗いだした。ハルはアヤが部屋から降りてきたことに気づき
「アヤ、大丈夫かい?」と声をかけた。
アヤは顔を拭き終わると
「うん、お母さん、さっきはごめんなさい。アタシ今から真の家に行ってくるね」
と玄関に向かった。
「ちょっと待って」とハルが引き止めた
アヤは玄関で立ち止まった
「なーに、お母さん?」
ハルは笑顔でこう言った
「二十歳の誕生日おめでとう、あなたはもう大人の女よ。今まで厳しいことも言ってきたけど、これからは、真ちゃんとのことや、あなた自身のことは、あなた自身でよく考えて、責任を持ってあなたの好きなようにしなさい。あなたの人生はあなたのためのものなんだから」
アヤは母の目をまっすぐ見つめ
「ハイッ、ありがとうお母さん。じゃあ行ってきます」と言うと玄関のドアを開け、真の家に歩いて行った。
その後ろ姿を見ながら
「これでいいんだよね、お父さん・・」とハルは呟いた。

真の家
「ヒロちゃん、お邪魔します。真、上ですか?」
「あ、うん、そうだよ。どうぞ上がってやって」ヒロは仏壇の上の写真を見つめていた。
(・・・・・やっぱりそうだった・・・・・オジャマシマスネ、オジーチャン・・・・)
アヤは勢いよく真の部屋のドアを開けた「あんたのお姫様が来てやったぞぉー」アヤが部屋に入ると真は着替えていた。どうやら風呂にも入ったようで臭いもしなくなっていた。部屋の中はしばらく真が帰ってきていなかったのでキレイに片付けられていたが、ゴミ箱にはまさに今さっき使われたばかりのフレッシュな白くて柔らかい紙が入れられていた。
「ふぅー、あんたホント元気だねぇ・・」
「え、なにが?」真はとぼける。
(・・・・・異常な性欲か・・・・・・・ビョウキノセイナノカナ・・・・・・)
「あんたが来いって言ってたから来てやったんだけどー、なんかハナシあるんじゃないの?それとも誕生日忘れたってのはフリでサプライズなプレゼントでもくれるっての?」
「確かに誕生日のことはうっかりしてたよ、ゴメン。それと今日はありがとな、確かにオフクロが言うとおりオレひとりだったらどうなってたか・・・」真は素直に謝った。
「や、やだ、なによ、あらたまって・・誕生日のことはさ、ア、アタシも真の時に忘れてたし、今日のことだって、アタシが歩いて帰ろうなんて言わなかったら、あんたもケガしなくてすんだかもしれないんだし・・・アイコだよ、だから・・・・」
「そっか、アイコか、そうだな・・でもなんか前もこんなことあったかな・・ま、いいか」
「・・・でさ、あんたが後で来てくれって言ってたのってなんなの?」
「ああ、誕生日はさ、うっかりしてたけど実はオレ、アヤへのプレゼントのためにずっと頑張ってたんだぜ!そしてそれは奇跡的にアヤの誕生日に完成したんだ」
「え・・ひょっとしてプレゼントって・・・シンレンサーなの?」アヤは戸惑った。
「だ~いせ~いか~いっ!どうだ?スッゲープレゼントだろ!」
真は誇らしげに言った
「えーと、アレをアタシにどうしろと?静かに眠りたい時に使えとでも言うのかい?」
「違うよ、オレがアヤにプレゼントするのはシンレンスシステム自体のことだよ!」
「え?それってどういうこと?」アヤはよくわからない様子
「だからさー、シンレンスシステムの権利ってこと。オレは近いうちにアヤの名前でシンレンスシステムとシンレンサーの特許を出願するつもりさ。そして笹木教授を通じて教授のツテのある企業に売り込むんだ、プロトタイプもあるし、目の前で見せられりゃどんな大企業だって飛びついてくるはずさ。アヤは一生、生活に困ることはない!笹木教授にも世話になったから利益の5%くらいはやらねーとな、オフクロが20%であとはアヤのもんだ。笹木教授のことは信頼してっけど、利益配分については正式に書面をかいてもらって公証役場に届けといた方がいいかもしれないな・・・」
「なに言ってんのかよくわかんないけど、真が発明したんでしょ、真は何にもいらないっていうの?そんなの・・・・・」
「オレは、“シン”って名前が入ってるだろ、それだけでいいんだ・・・アヤが幸せになってくれればそれで・・・オレは金なんて・・それに、いずれ・・・・」
アヤは思い切って聞いた
「・・・いずれってなにさ?」
真は困った顔で
「・・いや、なんでもないよ・・・」
「やっぱり真、知ってたんだね・・・自分の体のこと・・・」
「え・・やっぱりって・・そっか、CT撮られたからな・・・あの医者が言ったんだ・・・だから遅かったんだな・・ってことはオフクロも知ってるってことか・・・」
「いつ頃から知ってたの・・・」アヤは小さな声で聞いた
「・・・前に一週間くらい消えてたときあっただろ・・あのとき四日目に頭が痛くなって病院行ったんだ、その頃よく頭痛があったからそう言ったら、念のためCT撮って見ましょうってなって・・・そしたらさ、オレ様の脳が萎縮してるって言いやがって・・・このままじゃ・・・オレ、自分が何者かもわからなくなるかもしれないって・・死んじまうかもしれないって・・・」真は必死で涙をこらえながら話した。
アヤもまた泣いてしまいそうだった。
だが
「何言ってんのよ!あんたIQ200超の超天才でしょ?
ちょっとくらい脳が縮んだって丁度いいハンデじゃない!そんな状態なのにシンレンサーとか作っちゃうなんて、今でもとんでもない天才じゃない!
そんなあんたが、そんなオレ様がっ!
そう簡単に死ぬワケないじゃないっ!!」
そう言っているうちに、アヤは段々と腹が立ってきた。
真にではない、病気にでもない、真の苦しみに気づいてやれなかった自分自身に。
すると真が
「そ、そうだな・・グスッ・・えへ・・このオレ様がちょっとぐらい脳が縮んだぐらいで死んじまうなんて、ジョーシキじゃ考えられないからなっ!・ンッ・・へへへ・・」
    アヤも合せて「ジョーシキじゃ考えられないからなっ!・・フフフッ・・・・」
二人は、しばらくの間笑っていた。そして真が喋りだした
「ありがとなアヤ、オレなんか、重荷が取れてスーっとしたカンジだよ・・・・・あのさ、シンレンサーのことだけどさ、データのメモリとプロトタイプはしばらくアヤが持っといてくれねーかな・・教授と話もしとかねえといけねえし、整理しといた方がいいこともあるしさ・・その途中で、もしオレが倒れたりしたらさ、後はアヤに任せるから・・」
「・・わかったよ、じゃあ一応それはアタシが預かっとくよ、でも言っとくけど預るだけだからね! アタシ、メンドクサイこと嫌いだから、あんた倒れたりするんじゃないよ!」
「おう、任せとけって!念のためだよっ」
「そうだ、今日ね病院の先生が言ってたんだけどさ、アタシ達がやってるお題のやりとりがあるでしょ、それがね真のリハビリにもつながってるんじゃないかって言ってたんだ。だからさこれからもずっと続けていこうね!」
「そうなのか、うんそうだな、ずっと続けような!」
「よーし、じゃあお題ですっ!ズバリ!『家族の絆』でよろしくね、天才くん♪」
「合点承知之助!」