バッチィーーーン!!
「バッカヤローーッ!」
アヤは泣きながら真の頬をぶった
「あんた、なに考えてんだよっ!ガキじゃあるまいし!いい加減にしてよっ!ホントにホントに心配してたんだからねっ!・・もしあんたがいなくなっちゃたら、ヒロちゃんは・・あ、あたし、あたしだって・・・・」
「・・アヤ・・・・」
「・・あたしは・・・あたしは、まだいい、ヒロちゃ・・お母さんにちゃんと謝れよ!」
「わ、わかったよ、あとでちゃんと謝るから・・」
「・・・・でも、なんで今回みたいなことしようって思いついたのさ?」
「え?なんでって?なんでって?なんでかな・・自分でもよくわかんねぇけど・・・オレの存在意義の確認とか・・あっ、アヤはさ、オレに、もし何かあったり、いなくなったらって思ったら、もっと色々、エロエロ、サービスしてあげても良かったかな~って思った一瞬ってあったでしょ?」
「ちょっ、ちょっと待った・・あんた・・そんなフザケた理由で・・・」
「ああ、オレ様のことが心配でたまらなかったんだろ?・・こっち来いよアヤ!」
「・・・な・・な、な・・な・・・・なにがこっち来いよアヤだぁー!」
アレ・・・オ、オレ様・・なんかマズイこと言った・・?」
「・・・アタシゃ、情けなくって、涙も出やしないよ・・帰るっ」
ドスンドスンと階段を降りてくアヤ
「ヒロちゃーん、お邪魔しましたー。真、いつもの気紛れだったみたいです、ゼンゼン大丈夫みたいですからご心配なく、明日の朝また来ますねぇ~、おやすみなさーい!」
真は呟いた
「・・・コレでいい・・まだ・・・・・」

翌朝8時 真の家
「ヒロちゃん、おはようございます!今日は真、起きてる?」
奥から声だけが
「おはよー、アヤちゃん!わたしちょっと今、手が離せないからさー、とりあえず上がってみてきてくれる~?さっきバタバタ音がしてたから多分、起きてるとは思うんだー」
「はーい、お邪魔しまーす」
アヤはバタバタと階段をかけ上がった
「真っ!起きてるかー?」
「オウ、アヤ、おはよーさん!今日も朝からビューチフルだなっ、マイハニー!」
「あ、あんたもね・・ふぅ、今日はいつもどおりだな・・これっ、後で読んでみてよ!」
アヤは四つに折った紙を渡した

〔パンの耳〕  林 アヤ

パンの耳は、はしっこだけど
お菓子にすればとても美味しい
そのようなことが
たくさんあると思うんだ
ムダのようで
とても有効なもの
結局、私が何が言いたいかって
それは、この人生は
意味があるってこと
一人一人の人生に
それぞれ意味があるのさ
ブルーな時も生きて行こうよ
揚げたての砂糖をまぶした
パンの耳はとても美味しいよ

「ん?オレ様はいつもオレ様のままだぜ!なんだコレ?ラブレターっすか?」
(・・・・・こいつわざとやってんのか?・・・・・・ホットコウカナ・・・・)
「あーっ、今は見なくていいからっ、あんたがさぁ、自分の存在意義が、どうのって・・実験だのなんだのってツマンナイこと言ってたからさ、ちょっと書いてみたんだよ!感想とかはいいからさ、とにかく後で読んでよね」
「え?アヤなに言ってんの?オレが?このオレ様が?自分の存在意義について悩んでるみたいな?そんなことあるわけねぇ~じゃねぇか!ガッハハハ~」
「あの~、アナタ様が昨日そのようなことをおっしゃっておられたのですが・・・それにあんた・・・」
「んん?そうかっ、わかった!!アヤっオメーちょっと疲れてんだ!うんうん、まあこのパーヘクトなオレ様と付き合うってことは、気持ち的に負い目みたいのがあって知らないうちにストレスとか溜め込んじまってたんだなぁ、スマンっ!オレ様、気が付いてやれなくって、コレも後で必ず読ませてもらうからさっ!」
「・・・い、いや・・・え?え、え・・・と・・・・」
「ダイジョーブ!ダイジョーブ!オレ様がついてるからな!」
「だーかーらーっ、アタシはおかしくないし大丈夫なのよっ!変なのはあんたの方!」
部屋の隅のゴミ箱がアヤの視界に入った
「まー、体だけは元気が有り余ってるみたいね・・たった一晩であんな・・」
ゴミ箱には白く柔らかい紙が半分ほど詰め込まれていた
「な、なに勝手に決めつけてんだよっ!アレは夕べからなんか鼻の調子が悪くなったせいだよっ!そうだ、なんなら今からアヤが濃度を調べてくれたっていいんだぜ!」
「あー、あー、もういいよっ、それ以上さえずるな、エロガッパ!今日は大学行くんだろ?早く着替えなって、下行こうよ、ヒロちゃん朝ごはん作って待ってるぞ!」
「わかったよ、でっ?アヤもウチでメシ食ってくのか?」
「アタシは軽く食べてきたからコーヒーでもいただきながら待ってるわよ」
「あ、そうなんだ、でもさ昨日オフクロ『明日も朝、アヤちゃんくるって言ってたからウチで朝ごはん食べて行ってもらおうかなぁ、ちょっと頑張っちゃおうかなっ』ってはりきってたぞ」
「ええっ?そりゃ、断れないじゃん・・アタシ、朝そんな食べれるヒトじゃないんだよね」
「なんだよ、ダイエットしてんのか?全然必要ないと思うけどなぁ、っていうかオレ様は多少ポッチャリしてた方がソソられるかなぁ・・こぅ、やなぎ腰っての?フワッっと腰の辺りから柔らかな流れるようなラインがたまんねぇんだよな・・ぐふふ」
「なーに言ってんだか・・アタシはね、朝はあんまり食べられないからさ、でも、折角ヒロちゃんが作ってくれてるんだとしたらいりませんとも言えないじゃない」
「そうか、要は腹が減ればいいんだろ?じゃあ今から激しいの一発カマそうぜっ」
「アホタレ!・・あーあ、こんなとき、机の引き出しから青色の猫型ロボットが現れて、アンタの頭の中身を書き換えられるような道具だしてくれないかなぁ・・」
「・・・?・・なんだそれ?」
「へっ?いや、あの・・説明すんのも、躊躇されるけど・・“ドラえもん”だよっ!」
「なんだ、そうならそうとハッキリ言えよ!」
「いや・・・普通わかるだろ?推してはかってちょうだいよ、こういうのってイチイチ説明するのってサムいんだから・・・」
(・・・・・天才のくせにそういうの鈍すぎ・・・・・センスノモンダイカ・・・)
「へー、そういうもんなのか、ベンキョーになったよ、でもさぁオレ様、ドラえもんの道具って色々矛盾があると思ってたんだ・・マンガだっていってもだよ、例えばタイム風呂敷ってあるじゃん、あれってさ・・で・・・だから・・・人類は・・・アレって究極のアイテムだよな・・で更に・・」
「あーーーっ、もういいよっ!!とりあえずさ、ドラえもんから離れようよ!」
「いや、なんてったって、最強の道具はつまるところタイムマシンだよな、のび太とかも簡単そうに扱ってるけど、あれはさ、人類の夢っていうか、究極の反則・・・」
「あー、だからぁー、もういいって言ってんじゃんっ!そんなにタイムマシンが究極なら、今度のあんたへのお題は『タイムマシン』ね!ってことで、そろそろ下に行って朝ごはん頂きましょうよ!」
「あれっ?アヤ腹減ってないって言ってたよな?」
「あんたとバカ話してたらなんだか食べられそうな気になってきたのっ!」

〔サファイアの指輪〕  杉山 真

今日は、なんとなく朝から変な気分がする。朝食もとらず、あわてて駅にダッシュ、昨夜はめずらしく目がさえて徹夜してしまった。列車に駆け込む、これに間に合わないと遅刻だ、珍しく、ひとつ席が、空いていたので、座り込んだ。うとうとしていたら、いつのまにか寝入ってしまったらしい。

「おい、貴之」と声がする。
「おい、貴之、今から出す問題に答えられたら、百万円やるよ!どうだ、やってみるかい?」
「いつもの気まぐれか、広。やけに自信満々だな、じゃあ、俺が答えられなかったらどうなるんだ?」
「一万円くれよ」
「やけに困ってるんだな、で、どんな問題だ?」
「問題を出してしまったら、やめたはナシだぞ、いいか」
「OK!」
広は一本のビデオテープを持ってきた「実はこのテープ三回録画してんだ」
「二回目にダビングした映画は何かっていうのが問題さ」
「・・・」
「怒ったか?」
「・・・・・」
「わかった、悪かったよ、冗談さ」
「・・・面白いな!もしかしたら、わかるかもしれないぜ」
「えっ?」
「いや、かもしれないと言っただけさ、あれを使わせてくれればね」
「あれって?」
「この前、広が見せてくれた、お母さんの形見だよ」
「確かに変な問題を出したのは僕だが、答えを知っているのは僕以外にいないんだぞ」
「差し障りなければ指輪をかしてくれよ」
「わかったよ、いや、よくわからないけど・・でも、間違えたら一万円だぞ」
広は、母の形見のサファイアの指輪を渡した。貴之は、じいっと指輪を見続けている。
「何してんだ?」
「感激しているのさ」
「何に?」
「この輝きの美しさ、見ろよ、この色を」
「でも、問題とは無関係だぜ」
「まァ、見てろって」
俺は宝石の持つ魅力に心底、感激した。そして、感激と感動は、大きく膨らんで広の部屋をぐるりと丸く包み、時間が少しずつ狂い始めた・・・チック・タック、チック・タック・・・・ 広はテレビでお笑い番組を見て、腹を抱えている自分を見た。次にテレビから映画『愛と青春の旅立ち』が流れ出した。主人公が、しごかれて、しごかれて、叫んだ言葉「行くところがないんだ、俺にはここしか行くところがないんだ」広は思った、あァ、確かに今、時をさかのぼっている。広は何とも不思議な気持ちになった。次は、最初に録画した映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』映画を見ている自分を自分が見ている。広は我に返った。俺は広にこう言った「答えは『愛と青春の旅立ち』だな」
「どうして?」広はまだ、ぼーっとしている
「俺は物事に胸に打たれることが多くてさ、小さい頃には、虹をはじめて見た時、高校生の頃は、天文学部のキャンプで流星群を見た時とかね、感激して深い感動を覚えたとき、時間の感覚が麻痺するというか、違ってくるんだ時間の感覚ってやつが、その時その時で何が起こるか自分でもわからないんだけど・・この前、指輪を見せてもらった時、これはと心が震えたんだ、それでひょっとしたらもう一度よく見せてもらえればなにか起こるんじゃないかと思ってさ」
「それで、さっきの現象が?」
「信じてないな、俺だって何が起こるかわからないのさ、俺もビックリしている」
広は、不思議そうに指輪を見つめている。俺は広にこう言った
「古い映画だったけど楽しかったよ、百万円はオフクロさんに預けといてくれよ」

列車がガタンと停まり目が覚めた。すっかり寝過ごしてしまった、終点だ。昨日の徹夜がこたえたのか、それにしても不思議な夢を見たもんだ。今日は、これといった予定は入っていないし、仕事は休んでしまおう、さて、トンボ返りして久し振りに墓参りに行って見よう。俺もオヤジの前で何かをそろそろ真剣に考えて見よう。今、いつもと違う風が、心の中で吹いている。
FIN

翌週 月曜日大学の昼休み
「あんたこれって・・・」
「ん、あれっ、ひょっとして気がついちゃった?」
「ひょっとしてじゃないわよっ!アタシだって馬鹿じゃないんだから、これって夢の部分は、昔アタシがあんたに『指輪』ってお題で出したヤツそのまんまじゃないっ!」
「・・やっぱ、バレちまったか・・ふぅ・・さすがアヤ姫、出し抜けねぇなぁ」
「ふぅ、ってどういうつもりさっ?完璧に手抜きじゃないっ!?お題が場当たりだったからお答えもテキトーってこと?」
「いやいや、入りと締めは加筆してあるだろ、あえて、あえてさっ!」
「あえて手を抜いたってワケ?じゃあそのあえての理由を教えてよ!」
「正直言うと、ちょっといいのが浮かばなかったってのもあるんだ、だけど時間を越えるなにかってのがどうしても昔書いた『指輪』と重なっちまって、ついつい足し算しちゃったんだ」
「ふーん、じゃあさ、まあ足し算はいいとして、文末で足し算してるとこの、主人公がお父さんの墓の前で何かを真剣に考えてみよう、ってのはあんたの最近の心境なのかしら?」
真は何かを考えている様子で
「・・まあなっ、自分の未来のこともだけど、オフクロのこととか色々さ、勿論アヤとの未来のことも色々そりゃもう、エロエロ考えてるから心配すんなって!」
「このオトコは・・・あんたのアタマん中でアタシがどんだけ陵辱されてんだろって考えたら、ちょっと複雑な気がするよ・・・」
「そうだっ!なんか映画でも見に行きてぇなぁ・・最近面白そうなのやってるっけ?」
「は?はいっ??あんた、アタシの言ってることちゃんと聞いてたかい?」
「アヤ!映画でも見に行きてぇなぁ・・・アクション系がいいなぁ・・」
「ハイッ、あんたそれ何回言うつもりっすか?」
「なんかオモロイ映画見たいよなぁ・・・」
「はいはい、参りました・・じゃあさ、バイオハザードの新作でも見にいきますか?実はアタシも見てみたかったんだ」
「え?アヤ映画見たいのか?バイオハザードか、面白そうだなっ、いいぜ!そうだ、ついでに次のお題は『映画』ってことでOKだよな、アヤ!なんせお前から振ってきたんだからさっ!」
「ちょっと待ちたまえ、最初に映画ふってきたのはチミですけど・・・・」
「え?なんだって?いいからさ、次の上映何時からだよ?オレ様すでにシネマモード入ってんだ!アヤのエッチモードみたいに簡単には抜けねぇけど、早く見に行っちまおーぜっ!」
 映画を見終わって・・
「なかなか面白かったね、でもゼッタイまた続編ありそうな終わり方だったね」
「うん、そうだな、中島美嘉ってもっと出番あるのかと思ってた・・・」
「ああ、確かにそうだったね・・あのヒト咬まれた・・」
「中島美嘉ってもっと出番あるのかと思ってた・・中島美嘉って・・・」
「アンタそんなに中島美嘉にコダワリがあんの?・・」

〔ローマの休日〕  林 アヤ

映画『ローマの休日』が彼女は大好きだった
「私の№1は『ローマの休日』よ」
彼女の口癖だった、ある時、彼女は
『プリティ・ウーマン』という映画にもハマった
俺はいたずらっぽく聞いた
「『ローマの休日』とどっちが好き?」
彼女は即答しなかった、うーん、と彼女は唸った
そして、迷って『プリティ・ウーマン』と答えた

数日後 大学
「やっぱりアヤはハッピーエンドが好きなんだな!」
「もちろんよ!だって、映画の中くらい愛する二人が一緒になれないとね」
「そうか、まぁ実はオレ様もそう思ってるクチだけどね」
「そうだよね、やっぱ愛する二人が一緒になってくれないとスッキリしないよね、あのさ手法としてあえて別れざるを得ない状況に持っていく監督っているじゃない?あれって乙女心を踏みにじる行為だと思うんだ」
「そ、そうかな、それはわかんないけど、盛り上げる手法の一つとして使ってんじゃないのか?それに原作とかあったら尚更、話を曲げすぎると原作のファンがうるさかったりするんじゃねぇーの?」
「そんなのカンケーないんだって、見てるアタシが気持ち良くなれればイーの!とにかくアタシはハッピーエンドが好きなんだよぉ」
「普段はリアルを追及してんのに映画だとナンデモアリなんだな・・」
「そりゃ、そうよ!だって映画は非現実が通常なのよっ!夢が通常の世界としてまかり通る世界なんだから!」
「わかった、わかったよ!アヤは夢見る少女でいたいんだよなっ」
「そう!そのとおりっ!よしっ、あんたの次のお題は『二人が一つになる夢物語』に決定っ!!」
「ガッテン、承知之助でぇい!!」
(・・・・・何だよ、それ・・・・・・・・・・・ショウチノスケ?・・・・・)