「ダメッ、ダーァメッ、今更、謝ったって、マジあったまキタんだからっ」
「えぇ~~、もぉ~、機嫌直してよ~ん、ねぇ~ん、アヤ姫さま~ん、う~ん、も~お・・・このぉ~、つんつん、キャイ・・・うぉっと・・ああっ・・な、なしなし・今のなしっ・・ヤ、ヤメます、ヤメます・・」
「クククッ・・ゥ・・・ぶぷっ・・・ぎゃーはっはっはっはっはっはぁーー!!・・・・ちょっ・・ちょっと、あんたウケるんっすけど・・あー、もーいいよ、許すよっ、許すけどぉ、もうちょっと考えて行動しなさいよね」
ホッとした顔で
「ハイッわかりました! あ~よかった・・・ありがとアヤ・・・へへっ、愛してるぜ、マイスイートハニー、じゃあさ、これからどうする?エッチは無しなんだよな・・あっ、そうだっ!久し振りに、お題なんて出しちゃお~かなぁ~」

真は、小学校高学年の頃から文学に興味を持ち、自分で小説のようなものを書き始めた。ギフテッドの特徴“興味を持ったものに集中する”という一面を発揮し、学校の授業もそっちのけで(とはいっても、勉強しなくとも成績はいつもトップクラスであったが)ものを書くという行為に没頭していた。
そして、いつも傍にいたアヤも真に影響され、いつしかお互いに『お題』を言いあって、真はそれをテーマに短編小説(フラッシュフィクション)を書き、アヤは詩を書くようになっていた。
二人の間ではまるでそれが自然で当たり前のことであるかのように・・・・・ 

アヤは目を閉じて首を何度も左右に振りながら
「あんたってば、ほんっと立ち直りというか、切り替えというか、早すぎっ!しかも、お題って・・いつもながら唐突すぎるんですけどぉ・・・あんたのお題は時々、訳わかんないからなぁ・・ん~でも気分転換に、まあいいよ
よしっ、じゃあ出してみれ!ホレッ、ホレッ!はよ出さんか~いっ!」
「うぉっ、なかなか挑発的だな、よ~し・・・・・さーて、何にするかな・・・・・う~ん・・よ~し、はっちゃけ~~~はっちゃけぇ~~~・・・はっちゃけ~・・はっちゃけ~・・はっちゃけぇぇぇぇぇっ・・・・うぇっ・・・・・」
(・・・・・な、なんだ?はっちゃけぇ~って・・・デモナンカカッコイイカモ・・・・)
「・・・・はっちゃけたぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああっ!」
「うわっ!・・もおっ、びっくりするなぁ、急にデッカイ声出すんじゃねーっての!で? オレ様のジーニアスな頭脳はなんかすごいの思いついたのかい?」
「モチロンさ・・んんっ『カレイ』なんてのはどうだい!?」
「・・・・・・え?・・・ええぇっ?あんた、あんだけ時間かけて“はっちゃかした”のがカレイって訳わかんないや」
(・・・・・“はっちゃかした”って言っちゃった・・・イミワカンナイケド・・・・)
「いやいや、なかなか深いと思いますけど~“アヤの彼は華麗だ!”なんつってね~」
「・・・・・また始まった、オヤジギャグ炸裂、そういうセンスってIQじゃないのね、サムッ・・う~ん、まあいいや、いまはカレイ以外、“はっちゃけ”ないんでしょ」
「そうそう、今回はカレイ以外、このっオレ様が認めないよん!今晩ゆっくり考えなよ、どうせいっつもこのオレ様のことばっか考えてんだろ?たまには違うこと考えてもいいぜ~、このオレ様が許可する!」
「ったく、また調子に乗ってー」
「あっ!そーいえば、アヤも“あばれはっちゃく”知ってんの?」
「えっ・・な、な、なんで?」
「いや、さっき“はっちゃかして”とか言ってたじゃん?オレ様さ、最近レンタルして見たんだけど、これが結構オレの感性にアレなのよ」
「へ、へーそうなんだ・・・・ん・・ま、まあいいじゃん・・と、ところでさ、あんた最近始めたギターはどうなのよ?」 
「いや~、それがさ指が痛くてたまんねーのよ、それになんか集中できなくてさぁ」
「ね、今度アタシに、なんか弾いて聞かせてよ
そうねぇ、曲は『なごり雪』がいいんだけど覚えてる?」
「それって、中学ん時習った曲だよな、どうして『なごり雪』なんだよ」
(・・・・・よしっ!ごまかしたっ!・・・カエッテググラナキャ・・・・・)
「歌詞覚えてる?いま春が来て君はきれいになった・・って、女はね、いつもきれいでいたいし。きれいと言われたいもんなの」
「アヤ姫はいつもきれいだよー、世界一、いや宇宙一だ!」
「真!あんた世界一の正直者だ、素直でよろしいっ、よっ天才!ギフテッドッ!でもまぁ、宇宙一は言い過ぎだけどね」
「あのさ、あんまりIQバカみたいに言わないでくんねぇかな・・・・あっ、でさ、アヤって、あばれはっちゃ・・く・」
「よ、よーし、明日までにカレイな詩をひねり出すからあんたはギターの練習でもしてなさーい、じゃあねー」
走り出すアヤに真が叫んだ。
「このオレ様に愛されてんだからさぁーー、宇宙一に決まってんだろーーっ!」
(・・・・・なんかイラッとくるんですけど・・・・ヨシッソッコーググルゾ・・・・)
翌日
「これっ!」とアヤはA4の紙一枚を真に手渡した。
「あれ?これなんか検索したのか? え~と、ナニナニ・・・ん?・・あばれはっちゃくは・・1979年からテレビ放送・・・」真っ赤な顔でアヤが紙を奪い取る
「あっ、間違えたっ・・・ヤ、ヤダ、アタシったらお母さんが印刷してたの一緒に持ってきちゃった・・・・はは・・ははは・・・・・」
奪い取った紙をぐちゃぐちゃに丸めながら
「ごめん、ごめん、こっちよこっち!」
バッグの中からもう一枚の紙を取り出し真に手渡した
その紙には『カレイ談義』というタイトルの詩が書かれてあった。
「カレイ談義?ふーん・・・ほー・・・あ、さっきの紙って、あばれはっちゃくの・・・」
「いいから、いいから、これ、これっ、早く読んで見てよ!ねっ!ねっ!」
(・・・・・あっぶねー・・・・・シッタカブッテゴメンナサイ・・・・)

 

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