幻の愛の鳥
「透さん」明美は透の腕に自分の腕をからませる。
「何だよ」透は明美の腕を振り払い、言う。
「だって、今日の透さん、凄くカッコイイんだもん」
「珍しい。明美が変なことを言ってら」
「透さん、今までの人生で本気で人を好きになったことある?」
「あるさ、・・・・・・・・・・・・・見事にフラれたけどな」
「ふーん、どんな女性?」
「おまえと同じ夜の店の娘。あの娘にゃ、手も足も出なかったなぁ。夜の星座のように輝いて。あまりにも輝いて銀河系かと思ったぜ」
「透さん、大袈裟よ。でも、そこまで褒める女性がいたのか」
「明美、人を本気で好きになるってこと、どういうことかわかるか」
「よく、わからないから聞いたのよ」
「まっ、こいつは俺の思いだが、その娘の一生も責任持つってことかな。ちょっとヘビーな話になってきたが。簡単に言えば、単に夢中になるってことだが。俺流に言わせたら、『鳥に気配をとられる』、わかるか、明美?」
「全然、わかんなくなってきた。なんなの、『鳥に気配をとられる』って?」
「普通、鳥は人間の気配を感じて、逃げる。その鳥が恋に夢中になっている人間を観察して、逆に気配をとられ逃げる、それが俺の恋、俺の愛。それだけ女性に夢中になって、その姿が鳥に面白がられるんだ。そして、うっかり鳥は人間に気配をとられてしまう。そのくらい、鳥が人に夢中になるくらい人が女性を好きになる」
「なんか、少し、わかてきた。ぞっこんラブね。で、勿論、プロポーズしたんでしょ?」
「あたぼーよ。俺の愛の幻の鳥になってくれってね」
「あーあ、その鳥、どっかに飛んで逃げて行かなかった?」
「なんで、わかった。オイラの幻の鳥よ」