あれは俺が若かりし日のこと。その時、俺はある娘と付き合っていた。ある日、彼女と色々ドライブした。俺の車は、新車で、買ったばかりだった。彼女が、運転したいというので、彼女にハンドルを預けた。一日中、走りまわった。そして、夕方、美味しそうな店で食事をしていたら、彼女に「いい加減に運転してよ。疲れたわ」と怒られた。えぇーと思いながら、俺は謝った。急に雨が降ってきた。豪雨だ。彼女を送っていく道中で、道路の端に結構でかい石があり、アッと思った瞬間、左のタイヤから変な音がして、こりゃ、・・・・・・・・・パンクだね、どうしょうか、と思いながら、ある弁当屋の隣に空きスペースがあったのでなんとか車を止めた。止めたはいいものを、俺はタイヤ交換のやり方を知っていなかった。不審に弁当屋がきて、事情を話した。ふーん、と弁当屋のおやじさんは、親切にもスペヤタイヤと交換してくれた。「俺もも、客商売だからね」とおやじさんは言って店に戻っていった。俺は、その後ろ姿に深く頭を下げた。そして、彼女に一万円を渡し、これでタクシーで帰ってくれと言った。凄くみじめだった。一週間が過ぎ、俺は弁当屋に行って、弁当を五個買った。おやじさんの目は、刺すような目で、それがどうしたと言っていた。俺は頭を下げ、逃げるようにその場を去った。・・・・・・・・・・・そして、一年が過ぎ、急にあの弁当屋のおやじさんのことが脳裏によぎった。俺は、何かにとりつかれたように、弁当屋にいった。すると・・・・・・・・・・弁当屋はつぶれていた。あの時の彼女とも別れていた。すべてが中途半端にむなしく思えた。俺はいまだにタイヤ交換ができない。