サヨナラネックレス

 

 俺は有志で北海道旅行に行っていた。その中の一人が年齢で退職することになり、仲の良い有志で、北海道に行こうということになった。北海道だけでなく旅行プランは三プランくらいあったのだが多数決で北海道旅行となった。

小型バスを貸切り、ガイドさん付きで移動した。そのガイドさんが、話上手で中々面白く、容姿もよく、これ以上言うことがない楽しい愉快な旅行であった。土、日を利用して四泊五日ぐらいだったと思う。

 裕次郎記念館に行ったり、その近くの市場でタラバガニ等を見てまわり、オルゴール館で心を清め、函館の夜景に感嘆し、ススキノを一人ぶらつき、五稜郭で歴史を彷徨い、最後にバスガイドさんといっしょに写真を撮った。順番はメチャクチャ(はっきり覚えてない)に羅列したけど、最後だけはあっている。心に残る感動的な旅だった。

 無事帰り、俺は広島空港でバックの中から服を取り出し整理していた。厚手のオーバーの内ポケットから、あるレシートを発見した。内訳はネックレス代金、約三万円だ。ネックレスは大好きだった女性への一年前の誕生日プレゼントだった。

 俺は、発見したレシートを見ながら、ある詩を創作した。かなり作り物の適当な詩だが真実もかなりある。心の中で色んな思いがじわーっと渦巻いた。彼女は今、何をしているのかな。ある時、彼女は真面目な顔で質問した。

なぜ私といっしょにいたいの?と訊かれたことがある。彼女はとても美人だった。「君といっしょに街を歩くと、みんなが振り向くからな」と俺は言った。その言葉はかなり彼女には面白くなかったみたいだ。『美人だったら誰でもいいの?』そんな感じだった。しばらく、彼女に無視された。彼女はかなり気が強かった。

 

〔一年前の誕生日〕

 

空港で厚手の冬服の

ポケットからレシート

日にちを見ると君の誕生日

確か誕生石入りのネックレス

君にプレゼントしたね

一年前のあの日を思い出す

微笑み満面の君の笑顔

「ありがとう!」

ホントに嬉しそうだった

そんな思いを胸に秘め

雪の降りしきる北国にフライト

一年間色々なことがあったね

サヨナラだね

窓から見える景色の中に

きっと君がいるんだね

思い出をありがとう

サヨナラ、サヨナラ・・・・・・・・

 

 彼女は俺が人生の中で、一番激しく惚れた女性である。何度かプレゼントをあげていたが、その年の思い入れは凄かった。金額はいつもたいしたことはないが中身で勝負だ。デパートで何にしようか考えていたが、考えれば考えるほど空回りして、結局、安易なネックレスにしてしまったが。品を絞ったら、これは!というものが二品出てきた。両方約三万円だ。俺は二ヶ所の売り場を行ったり来たりした。店の女性の説明を熱心に聞いた。迷いに迷った。どちらも素敵だ。どっちにしようかな。でも、俺はようやく片方のネックレスに決めた。 決め手は、そのネックレスに彼女の誕生石がちりばめられていたからだ。綺麗だし記念になると思った。そっちのネックレスを購入し、彼女にプレゼントした時の嬉しそうな顔は今でも覚えている。次の日、車を運転していたら、何回も携帯が鳴った。車なので出る訳にもいかず、電話は切れ、俺は近くのコンビニの駐車場に車を止めた。彼女からだった。俺は彼女に電話し、用件を聞くと、「昨日はありがとう!」とお礼の電話だった。ふーん、珍しい電話だ、よっぽど気に入ったらしい。

結局の話、当たり前だが、彼女は他の誰かと結婚した。俺はというと、その頃何をしていたかな。そうだ、飲みに出ていて、知り合いから聞かされたのだ、彼女の結婚を。流石にしばらく思考が止まった。そうか、ついに結婚したのか・・・・・・・。そうなるとはわかっていたが。かなり、追い回したな。この頃、俺は毎年毎年、年を取るのが早く感じられる。まったく女性と付き合ったりしない。いいなっていう女性は何人かいる。でも、彼女のようなことはないな。俺はこのまま何歳になるのだ? ふと人生について考える。人との出会い別れ。その連続だ。何か意味があるのか。ないのか。もし、ないのなら、自分で理由付けすればいい。君と出会って良かった。君にフラレて良かった。そういう人の感情を理解できたじゃないか。俺自身、少しは成長できたかもしれない。青春を体験できたかもしれない。最近、よく使われているフレーズ。『今が一番若い時』。俺って一生若いんだな。そして、年も取れる。わからないからこそ人生なのだ。人生悟れば、おしまいなんだよ。

なんて、言い訳だね。むなしいよ。なぜか、人生むなしいよ。でも、旅行もできるし、まだまだ、恋することもある。何度でも、人生をフライトしよう。あの日の空に向かうように、明日に向かって!空に向かって、恋に向かって!

 

窓から見える景色の中に

きっと君がいるんだね

思い出をありがとう

サヨナラ、サヨナラ・・・・・・・・