えにし
ある年の大晦日
俺とオフクロは晩に宮島口に
車を駐車しフェリーで宮島に渡った
まだ、人も疎らで出店もあいてない
数時間耐えて時を待った
徐々に時が過ぎ周りに活気が満ちてきた
気づくと新年を祝う人でいっぱいで
出店もずらりと開店していた
俺達は除夜の鐘を鳴らす階段の長い列に並んでいた
吐息が白く寒いある年の大晦日
まもなく24時だ
除夜の鐘を鳴らしお詣りをし一体何を願ったのか
亡きオヤジのことか?
今はハッキリ覚えていない
おそらく最初で最後の宮島でのオフクロとの初詣
家族が最後にそろって食事した宮島………
二度と忘れない思い出だ
過去と現在がオーバーラップ
オフクロと帰りのフェリー
暗い海に希望の光
駐車場に行き、それから家まで真夜中のドライブ
アッという間に家に着いた
それがその年の俺とオフクロのゆく年くる年であった
縁って何って読むか知っている? とオフクロ
「えん」じゃないと俺
それも正解とオフクロは微笑む
「私達は深い『えにし』で結ばれているのよ」
人は必ず死ぬ、当たり前だ
誰でもだ
だが、人は誰でも産まれるとは限らない
大切にしよう、何を? 生とか、様々なことだよ