サファイア12 藍子一人旅

 

赤木大河は、一人暮らしである。フィアンセの川島藍子が憧れのヨーロッパ旅行に旅立って、3ヶ月が過ぎようとしていた。この頃、イライラして、よく眠れない。ある日曜日、近所の公園で黄昏ていた。ボーッとしていた。誰もいない公園。俺、たった一人の公園。すると、雨も降らないのに雷がド・ドーンと落ちた。

『雷落とし』か?大河は、仙人デュパンを連想した。だが、違った。………ルビーギリスがいた。大河を見て、不敵に笑っている。手には機関銃。アッと思ったら、機関銃から銃弾の嵐。連弾だ。赤木大河ことサファイア12は、百発は食らったか?油断していた。

ルビーギリスは、サファイア12の死を確信して、どこかに消え去った。

サファイア12は、まだ生きていた。だが、虫の息。

最後の力を振り絞り、中条律子の部屋にテレポテーション。

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大河はベッドの上で目覚める。胸にはアンモナイト。

中条律子が心配で見つめている。

「……………ふぅー、ありがとう、律子さん。また、アンモナイトと律子さんに助けられたようだ」と赤木大河。

「もう、大河さん、こんな生活してちゃ、命がいくらあっても足りないわよ。ホントに死んじゃうわ」

「…………そうだね。サファイア12は、みんなに助けられてギリギリ生きてる。反省するよ」

「別に大河さんが悪い訳じゃないのよ。正義を貫いている。正義を生きるから、狙われるのよ。ホントにこの世の矛盾ね」

「悪いが、律子さん、もう2、3日横にならせてくれ。そしたら、完治するはずだ」

「勿論、二十一世紀の正義の使者さん」と言って律子はふふっと笑った。

………………………………………………………赤木大河は身体を治し、律子の家から自宅に帰っていた。のんびりテレビを見ていたら、部屋に何かを感じた。

一人の男が現れた。凄い気迫を身体から発している。男は不敵に笑い言った。

「おまえが、サファイア12か」

「おまえこそ、誰だ」とサファイア12。

「赤木大河君、殺し屋ブランコを覚えているか?」

「ブランコ…………あァ、忘れもしないよ。俺がこの手で殺した男」

「それなら、話が早い。私の手下がそのブランコだった。赤木大河ことサファイア12君」

「…………もしかして、あんた、モリアーティ教授?」

「ほほう、私をご存知とは………。そこでだ、私と手を組み、ホームズをこの世から抹殺しないか?」

なんと、モリアーティ教授はシャーロック・ホームズを抹殺するために異次元トンネルを通りぬけ、この俺サファイア12に会いにきたのか…………?

「さぁ、どうする、サファイア12君」

俺は当然の答えを言った。

「断る!」

「……では、この手で死んでもらうしかないな」

モリアーティ教授はサファイア12をじっと見据えた。

その物凄い眼力にサファイア12は金縛りにあったように身動きがとれなくなった。

気づくとモリアーティ教授の大きな両手がサファイア12の首をしめていた。

化け物のような腕力・握力だ。

あァ、サファイア12は柔道の技でされたように、落ちていた。

……………俺は死んだ?生きている?

「サファイア12、しっかりしなさい」

ぼんやり人影が見えた。どこかで見覚えがある。

「あなたは………シャーロック・ホームズ………」

「その通り、モリアーティ教授を追ってここに来た。すると、君が殺されそうで………。私とモリアーティ教授は戦った。また、引き分けだった。彼は異次元トンネルでもとの世界へ戻って行った………」

…………ルビー・ギリスからモリアーティ教授、モリアーティ教授からシャーロック・ホームズ………とんでもない1日だ……

「さて、君も息を吹き返えしたことだし、私ももとの世界へ帰るよ。では、サファイア12、ごきげんよう………」

名探偵シャーロック・ホームズは去って行った………………………………………

…………………もう、訳わからん。知らぬ間に赤木大河はグーグーといびきをかいて爆睡した。キャイン、キャイン………キャイン、キャイン………声がする。

「大河、こんなところで寝たら、風邪引くよ」

………藍子の声だ……キャイン、キャインと左手の人差し指で俺の頬っぺたを突いている。夢じゃない現実だ。

「藍子!」と俺は叫び藍子を抱き締める。

「やめて、苦しい、窒息するわ」

「ゴメン、ゴメン。あまりに嬉しくて」

「相変わらずね。ヨーロッパのお土産、たくさん買ってきたわよ。ウィーンが自分には一番よかった。新婚旅行はウィーンにしましょう。大河、旅行の間、変わったこと何かなかった?」

「………うーん、これといって、別になかったよ。ウィーンの新婚旅行とても楽しみだね」