一、出会い
歩夢の知り合いの40過ぎたあんちゃん山田章雄はよく歩夢が新車で買ったトヨタのレビン86に一緒に乗り仕事帰りに喫茶店に行ったり章雄の行きつけのスナック、キャバレーに連れていってくれた。
章雄は独身で土かたの仕事もあまり真面目ではなく、出たりでなかったりで、その日くらしの気ままなやつだった。
ただ章雄は歩夢の父政夫が営んでいる雑貨屋の昔からのお客さんだった。歩夢がおしめをしてた頃から知ってるわけで、何かと親身になってくれるイイあんちゃんだった。
その章雄が勤めていた会社の社長(親方)が
焼肉屋を始めたので、そこで働くようになった。歩夢はたまに食べにいっていた。味はたいして美味しくなく、免許をかりて開業してるわけで家庭料理に毛がはえたくらいのお店だった。
そんな二月のまだ雪が降り積もっている冬のある日、章雄から電話があり、今日今から食べに来いと言うので、焼肉屋まで歩夢は愛車レビン86で出掛けた。
十分ぐらい車を走らせ着いてから店に入った。
章雄は
「歩夢待ってたよ。まあそこ座ってゆっくりしてきな。」
と、にっこり笑ってビールをついでくれた。
店には、五、六人の客がいて、
じいさん二人組と私とそう年が変わらない太った若者と、娘さんとその両親の親子ずれだった。
