『見えるぞ』


 便所コオロギが沿う額のてっぺん。はちみつを握り、コオロギがなめる。きゅうりで手洗い、トマトスープで拭う。真っ赤な地面で黒こげの便所コオロギが、魂散らせ花びらになる。暗闇に、消えゆく花びらが女を作る。曲線美が、ゴツゴツに潰され、丸くなる。砂となり、咽び、鼻を詰まらせる。開けても箱の中に、小さき光を見いだし、暗闇を制する。

 水が、砕け散り、光を泳ぎ、暗闇で輝く。音もなく吸い込まれ、ただ、あったと言えるのみ。