どういう訳か何なのかは今思えばよく分からないが
 
 
荷物運びブームってのがあった
 
 
幼稚園とかめばえとか言う雑誌をたまたま買ってもらうとついてくる付録
 
 
それに紙の手提げ袋がついてきたのだ
 
 
その袋を何個か集め 他の付録や自分の気に入ったもの達を袋にキチキチに詰めていく
 
 
それどうするんだ?使うんかい!?っていう様なパズル等も中にはあったが
 
 
それらを両手やわき 肩にかけて遊びに行くと称して 公園に1人で出かけるのだ
 
 
しかし その遊びは出かけるところからが遊びのスタートである 
 
 
まず荷物を抱えて歩く過程に於いて そんな自分にうっとりとするのである
 
 
それが自分だけのステータスな訳であり
 
 
荷物を抱えながら歩く辺りがちょっとできる女なのである
 
 
通りすがりのオバさんなんかに二度見されても気になんかしない
 
 
何故なら それこそが自分スタイル
 
 
ここがとにかく重要である
 
 
そんなこんなで公園に到着すると変な優越感に浸り芝生に荷物を降ろすのだ
 
 
そしてその荷物達を眺め またうっとりとし
 
 
ひたすら ぼーーっとする
 
 
自己満足を究めに究めた遊びなのである
 
 
ちょっと油断すると公園のちびっ子達に荷物を開封されかねないのだが
 
 
チッチッチッ!その荷物の中身は決して出したりしないしさせないのだ
 
 
正にパンドラの紙袋なのである
 
 
何故なら~汚れちゃうから~
 
 
一応ブランコや滑り台でも遊んでみるが
 
 
荷物が気になっておちおち遊んでなんかいられやしない
 
 
なのでまた急いで荷物をまとめ 無の境地でひたすら歩く
 
 
知~らないま~ちを~歩いてみ~た~い~
ど~こ~か遠~くへ~行~き~た~あ~い~♪
 
 
くたびれた女が 実家に帰るかの様である
 
 
この遊びの発祥は 紙袋を持った一度だけしか見かけた事のない見ず知らずのオバさんからだった
 
 
相当オバさんの華麗な荷物持ち捌きに自分の中でツボってしまったのであろう
 
 
ひたすら一人前の荷物持ちオバさんになろうとコツコツ真似し始めたのだ
 
 
勿論 オバさんのくたびれた感じもしっかり演じなければならず
 
 
4、5歳の自分では役不足な点はあるのだが
 
 
とにかく雨の日も風の日も暑い日も 来る日も来る日も
 
 
近所の友達に遊びに誘われても中身は出さないくせに荷物は持ち歩く
 
 
しかし そんなルールがあったにも関わらず 呆気なく負けに負けてしまう日が訪れようとは
  
 

ある日一度だけ魔がさしてチラッとパンドラの中身を見せてあげたのがついに災いしてしまうのだ
 
 
その時 とうとう紙袋が破けてしまったのだ
 
 
悔やんでも悔やみきれない蟻地獄へと落ちてゆく
 
 
もうこれは大変だって位の一大事である
 
 
どうしよう 荷物が運べないではないか!
 
 
やはりパンドラの袋とはいえただの紙の袋である 
 
 
付録だけに強度が極めて弱いのだ 調子に乗って持ち歩きすぎたのかもしれない
 
 
ちょっと有頂天になって出かけすぎたのかもしれない
 
 
まるで走馬灯の様に何がいけなかったのか頭が反省会を始めてしまう
 
 
そして余りのショックのデカさに ブームは終盤を迎える
 
 
たまに聞かれた事もあった 何が入ってるの?と
 
 
宝物が入っているんだよと
  
 
何の為に持って歩いてるのか と

 
今なら言える そこに道があるからさと
 
 
あのオバさん(師匠)の様になりたかったと
 
 
後悔しても遅すぎたのだ 
 
 
しかし実際は家で悔し泣きに暮れたのだった
 
 
もぉ~バカバカバカァ~と
 
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