【反応】アメリカ ベネズエラで軍事作戦 マドゥーロ大統領拘束NHK2026年1月4日午前3時09分(2026年1月4日午後8時41分更新)
アメリカがベネズエラに対して大規模な攻撃を行い、マドゥーロ大統領を拘束したことについての反応です。
国連安保理 緊急会合開催へ
ニューヨークの国連本部では、ベネズエラの隣国コロンビアの要請をうけて、現地時間の5日午前10時、日本時間の6日午前0時から安全保障理事会の緊急会合が開かれることが決まりました。
国際法の専門家 “国際法上認められず正当化できない”

国際法が専門でアメリカ軍で戦時法の上級顧問を務めた経験もあるテキサス工科大学のジェフリー・コーン教授は「マドゥーロ大統領は暴君であり同情の余地はない」とする一方で、アメリカがベネズエラで軍事作戦を実施して大統領を拘束したことについては「自国で刑事訴追されているという理由で他国の領土で軍事力を行使し、事実上の国家元首やその他の個人を拘束する権限は国際法には存在しない」と述べて、国際法上、認められず正当化できないという見方を示しました。
さらに「もしわれわれがこれを前例として他国の領土に軍事力を行使し、自国の法を強制することが許されると言うなら国際社会の安定は損なわれるだろう。例えばロシアがウクライナのゼレンスキー大統領を起訴し、拘束作戦を始めると決定したらどうなる。非常に憂慮すべき事態だ」と指摘しました。
ホワイトハウス前で抗議活動

アメリカの首都ワシントンのホワイトハウスの前では、ベネズエラへの軍事作戦に反対する人たちによる抗議活動が行われました。
抗議活動にはおよそ30人が参加し、「新たな戦争を起こすな」とか「植民地主義に反対」などと訴えていました。参加した31歳の男性は、「朝起きたら私の国が別の国の大統領を連れ去ったというニュースが飛び込んできた。ベネズエラで戦争を始めるべきではない」と話していました。
また、69歳の男性は、「議会の承認もないままにベネズエラに侵攻したがそんな風に戦争は始まるべきではない。アメリカには法の支配がある」と話していました。
米議会に通告なしか 民主党議員から批判相次ぐ
アメリカの公共放送PBSは、関係者の話として連邦議会両院の軍事委員会は政府からいかなる行動についても通告を受けていなかったと伝えています。
野党・民主党のスタンズベリー下院議員は3日、SNSに「はっきりさせておこう。これらの攻撃は違法である。大統領には議会への通告なしに宣戦布告したり大規模な軍事作戦を実施したりする権限はない。議会は直ちに大統領を抑制する行動を取らなくてはならない」と投稿しました。
また民主党のシャッツ上院議員はSNSに「アメリカには戦争を正当化するようなベネズエラにおける重大な国益は存在しない。われわれは愚かな冒険に再び足を踏み入れるべきではないと学んでいるはずだ。しかもトランプ大統領は何が起きているのかをアメリカ国民に説明すらしていない」と投稿するなど民主党の議員から今回の攻撃への批判が相次いでいます。
一方、与党・共和党のリー上院議員は「宣戦布告や軍事力行使の承認がないなかで憲法上この行動を正当化できる根拠について説明を待ちたい」とSNSに投稿しました。
その後、ルビオ国務長官から電話で説明を受けたことを明らかにし「マドゥーロ大統領はアメリカ国内での刑事訴追に向けて拘束され、軍事活動は逮捕状を執行する当局者を保護するために行われたと伝えられた。この行動は、アメリカ国民を実際の攻撃や差し迫っている攻撃から保護するための憲法第2条に基づく大統領の権限の範囲内である可能性が高い」としています。
カラカス市民は

AP通信が3日、ベネズエラの首都カラカスで撮影した映像には、営業している商業施設に人々が並んでいる様子やアメリカの攻撃に抗議する集会の様子が映し出されています。
アメリカの攻撃後の市内の様子についてカラカスに暮らす女性は、NHKの取材に対し「営業している店舗は少ない。営業している店には多少の列ができているが、大規模なものではない。マドゥーロ政権の支持者が一部で集まっているが多くはない」と話していました。
また、別の男性は、「カラカスでは人々はこれからどうなるか見守っている。路上に人の姿はほとんどない」と話していました。
在住の日本人男性 “非日常 先が見通せない状況だ”
ベネズエラの首都カラカスに住む日本人男性がNHKの電話インタビューに応じ、当時の状況などについて証言しました。
男性によりますと、現地の3日午前1時すぎごろから男性が住んでいるところにも発砲音や爆発音が聞こえてきたほか、軍関係の施設がある方角で炎があがっているのが見えたということです。
その間、男性と妻はいつでも避難できるよう準備をしたうえで、現地の友人と連絡を取ったり、日本語のニュースなどを確認したりしながら過ごしていたということです。
当時の状況について男性は「実際に攻撃を受けているのが軍関係の施設だということは方角から分かった。SNSなどの情報からもアメリカがところかまわず攻撃しているわけではないというのは感じていた」と証言しました。
また、攻撃後の3日日中のカラカスの状況については、多くの店が閉まり、通りを歩いている人もほとんどいないとして「非日常であることは間違いない。州をまたいだ移動が制限されるなど、先が見通せない状況だ」と話していました。
さらに、攻撃や大統領の拘束に対する市民の反応については「マドゥーロ大統領の拘束までがかなりスムーズに行われたことに驚きを感じているように思う。攻撃や拘束に対する市民の間の賛否は、かなり分かれていると感じます」と話していました。
中南米首脳 反発する声相次ぐ
中南米の首脳からは、アメリカによるこれまでの中南米への軍事介入の歴史を踏まえ、反発する声が相次いでいます。

このうちベネズエラと友好的な関係にあるキューバのディアスカネル大統領は、アメリカによる「テロ」だと強く非難し、「国際社会に緊急に対応するよう求める」とSNSに投稿しました。

ブラジルのルーラ大統領もSNSへの投稿で「一線を越えた容認できない行為だ。ベネズエラの主権に対する重大な侮辱であり、国際社会にとって極めて危険な前例になる」と非難しました。
ベネズエラの隣国コロンビアのペトロ大統領もSNSで「ベネズエラとラテンアメリカの主権に対する侵略を拒否する」と非難するとともにベネズエラからの難民が流入する事態に備え、国境付近に部隊の配置を進めていることを明らかにしました。

一方、トランプ大統領と関係が近いアルゼンチンのミレイ大統領は「自由は前進する。万歳」とSNSに投稿し、アメリカの行動を支持する考えを示しました。
ロシア外務省 「深刻な懸念と非難を招く」
ベネズエラと友好関係にあるロシアの外務省は3日、声明を発表し「深刻な懸念と非難を招くものだ」としてトランプ政権を非難しました。
そして「事態のエスカレーションを防ぎ、対話を通じて打開策を見いだすことが何よりも重要だ。われわれはこの点において支援する用意がある」としています。
また「ベネズエラには、外部からの破壊的な、ましてや軍事的な介入なしに、みずからの運命をみずから決定する権利が保証されなければならない」として、ベネズエラの国民との連携を表明しました。
ロシアのプーチン大統領は先月、ベネズエラのマドゥーロ大統領と電話会談を行い、マドゥーロ政権の政策への支持を確認していました。
中国外務省 「強く非難する 断固として反対」
中国の外務省は3日、談話を発表し「アメリカが強引に主権国家に対して武力を行使し、一国の大統領に手を出したことに衝撃を受けており、強く非難する」としています。
そのうえで「アメリカの覇権的な行いは国際法に重大に違反し、ベネズエラの主権を侵害して、地域の平和と安全を脅かしていて断固として反対する。アメリカが国際法と国連憲章を順守し、他国の主権と安全を侵害するのをやめるよう強く求める」としています。
中国はベネズエラと友好関係にあり、おととしのベネズエラの大統領選挙で不正があったとしてアメリカなどがマドゥーロ氏を大統領として認めないなか、習近平国家主席は就任式に特使を派遣し、去年5月には首脳会談も行いました。
ロイター通信によりますと、ベネズエラにとって中国は原油の最大の輸出国だということで、エネルギー分野での協力をはじめ経済や貿易面での関係を深めていました。
中国外務省 新たに談話発表“直ちに解放”求める
中国外務省は、新たに談話を出し「アメリカの行いは、明らかに国際法や国連憲章に違反している。中国はアメリカに対して、マドゥーロ大統領と夫人の身の安全を確保し、直ちに解放することや、政権の転覆をやめて対話と交渉を通じて問題を解決することを求める」として、改めてアメリカを非難しました。
イラン外務省 「国連憲章と国際法に対する明白な違反」
ベネズエラと友好関係にあるイランの外務省は3日、声明を発表し、「アメリカによるベネズエラへの軍事攻撃は国連憲章の基本原則と国際法の基本的なルールに対する明白な違反だ」として、アメリカを強く非難しました。
その上で「イラン外務省はアメリカの違法な侵略を直ちに止めるため、すべての国と国際機関、特に国連とその安全保障理事会に法的・道義的な責任があることを強調する」として、国際社会に対して必要な措置をとるよう求めています。
北朝鮮外務省「国際社会は抗議と糾弾の声を高めるべき」
北朝鮮外務省の報道官は4日、国営の朝鮮中央通信を通じ、アメリカがベネズエラで軍事作戦を実施して大統領を拘束したことを非難しました。
この中で「今回の事件は国際社会が長年にわたり目撃してきたアメリカのならず者で野蛮な本性を改めて確認させた」と指摘しました。
また「主権の尊重と内政不干渉、領土保全を基本目的とする国連憲章と国際法に対する乱暴な違反と断じ、強く糾弾する」と主張しました。
そのうえで「国際社会はアメリカの常習化した主権侵害行為に抗議と糾弾の声を高めるべきだ」としています。
国連 グテーレス事務総長 「国際法のルール尊重されず深く懸念」

国連のグテーレス事務総長は3日、報道官を通じて声明を出し「アメリカ軍による軍事行動にいたったベネズエラでの事態の悪化を深く憂慮する」とした上で「国連憲章を含むすべての国際法が全面的に尊重されることの重要性を引き続き強調し、国際法のルールが尊重されていないことを深く懸念している」として国際法違反の疑いを指摘しました。
そしてすべての当事者に対して人権と法の支配を尊重して対話するよう呼びかけました。
ヨーロッパ各国反応

EU=ヨーロッパ連合のコスタ大統領は3日、SNSに「大きな懸念を抱きながら状況を注視している。EUは、緊張緩和と国際法などにのっとった解決を求める」と投稿しました。

イギリスのスターマー首相はメディアの取材に対し「私は国際法を守るべきだと常に主張している」と述べ、事実関係についてトランプ大統領や同盟国と話したいという考えを示しました。
フランスのバロ外相はSNSへの投稿で、マドゥーロ大統領が国民の自由や尊厳を侵害してきたとする一方で、今回の攻撃については「国際法の基本原則である武力行使の禁止に反する」という見方を示しました。その上で「国連安保理の常任理事国として主要な責任を担う国々によってこの原則への違反が、増えていくことは世界の安全保障に深刻な影響を与える」と懸念を示しました。
オランダのスホーフ首相はSNSに「状況を注視している。この地域の安全保障は、キュラソー島などにとってきわめて重要だ」と投稿し、ベネズエラの近くにあるキュラソー島などのオランダ領の島々に必要な支援を行う考えを示しました。

一方、トランプ大統領と良好な関係を築いているイタリアのメローニ首相は、声明を発表し「全体主義体制を終結させる手段として軍事行動が適切だと考えていない」としながらも「麻薬取引を助長し促進する国家機関などによるハイブリッド攻撃に対する防衛的な行動は、正当だと考えている」として、一定の理解を示しました。
【中継】ベネズエラ国内の最新の動きは
Q.ベネズエラ国内の最新の動きを伝えてください。
A.ベネズエラの国営テレビは、マドゥーロ大統領の拘束を非難し、アメリカに対して即時解放を求める抗議集会の様子を繰り返し放送しています。またロドリゲス副大統領は、国防相などが出席した緊急の会議の中で、「ベネズエラの唯一の大統領はマドゥーロ大統領だ。ベネズエラは二度と奴隷にはならず、決して帝国の植民地には戻らない」などと述べ、国民に団結を呼びかけました。
首都カラカスやその周辺に暮らす人たちに取材しますと、一部で買い出しなどの動きもあるものの、人通りは少なく、「マドゥーロ政権の支持者が一部で集まっているが、多くはない」とも話していました。また、今後への不安を口にし、動揺が広がっているように感じます。
一方、強権的なマドゥーロ政権から逃れてブラジルといった周辺国で暮らしている人たちの中には、マドゥーロ大統領の拘束を歓迎する声や帰国への期待を口にする人もいます。絶対的な権力者が突如、拘束され、国外に連れ出されるという異例の事態を受け、今後、国内の統治がどうなるのか先行きは不透明で、まずは、トランプ政権の圧力にどう対応していくのかが焦点となります。
【国内反応・専門家は】アメリカ ベネズエラ大統領拘束NHK2026年1月4日午後5時18分(2026年1月4日午後11時23分更新)
アメリカのトランプ政権が南米ベネズエラで軍事作戦を実施してマドゥーロ大統領を拘束し、アメリカ ニューヨークに移送したことについて、さまざまな反応がだされています。
こちらの記事では、国内の反応をまとめています。
目次
2項目
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専門家「力による現状変更 国際社会にとても悪いメッセージ」
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高市首相がXに投稿“外交努力を進めていく”

トランプ大統領 ベネズエラで軍事作戦 大統領拘束

【反応】アメリカ ベネズエラ大規模攻撃 マドゥーロ大統領拘束
専門家「力による現状変更 国際社会にとても悪いメッセージ」

アメリカ政治に詳しい上智大学の前嶋和弘教授は、トランプ政権がベネズエラで軍事作戦を行い、マドゥーロ大統領を拘束したことについて「トランプ政権としては、薬物という名目だが、石油やレアアースの利権というところも頭にあり、ベネズエラの政権転覆を考えていたところだと思う」と指摘しました。
そして「力による現状変更そのもので、国際法的にどう考えても問題だ。自分が気に食わない政権ならば、力ずくで現状変更していいというのは、国際社会に対してとても悪いメッセージだと思う」とした上で、「ウクライナ戦争が大きな局面を迎えているが、ロシアを批判できない状況になる。また、中国が今後、台湾に侵攻する場合も、現状変更をやめろという正攻法の一言が言えなくなり、問題がある」と懸念を示しました。
一方で、国連の安全保障理事会の常任理事国でもあるアメリカへの国際社会の非難は限定的になるとの見通しも示し、「アメリカの言うことに従わないとこういうことになると、ベネズエラが見せしめのようになったとすると、国際社会にとってとんでもない例になっていく」としています。
さらに「日本にとってアメリカとの関係はなかなか難しいところだ。日米安保は堅持しないと日本の状況としては難しい。道理的にはアメリカがベネズエラに対して行ったことを非難しないといけないが、トランプ政権が日本に対する関与を減らすというようなことになるとマイナスだ。日本の場合は、ベネズエラへの非難と日本の安全保障をてんびんにかけないといけない状況に、トランプ政権が追い込んでいるようにもみえる」と話しています。
また、トランプ大統領が、ベネズエラの国家運営に関与すると発言していることについて、「反マドゥーロ政権を樹立できたとしても、おそらく、マドゥーロ派はまだいて、どれだけ反発するのか。その場合に地上部隊を派遣すれば、果たしてどうなるのか。2000年代の頭に見たイラク戦争の泥沼や、アフガン戦争の泥沼のように、ベネズエラの国家運営が泥沼化していく動きに危惧しなければならないかもしれない」と分析しました。
高市首相がXに投稿“外交努力を進めていく”

高市総理大臣は4日午後、旧ツイッターの「X」に「日本政府としては、邦人の安全確保を最優先としつつ、関係国と緊密に連携して対応にあたっている。これまでも一刻も早くベネズエラにおける民主主義が回復されることの重要性を訴えてきた。従来から、自由、民主主義、法の支配といった基本的価値や原則を尊重してきた。こうした一貫した立場に基づきG7=主要7か国や関係国と緊密に連携し、引き続き邦人保護に万全を期すとともにベネズエラにおける民主主義の回復と情勢の安定化に向けた外交努力を進めていく」と投稿しました。
外務省 外務報道官“日本人の安全確保に最優先に取り組む”
外務省は北村俊博外務報道官の談話を発表しました。
この中では「政府としては状況を注視しつつ日本人の安全確保に最優先に取り組み、関係国と緊密に連携して情報収集を含めた対応に努めている」としています。
その上で「わが国は従来から自由、民主主義といった基本的価値を尊重してきた。また、一貫して国際社会における国際法の原則の尊重を重視してきた。今後ともこうした一貫した立場に基づき、G7=主要7か国や関係国と緊密に連携しつつ、ベネズエラでの民主主義の回復と情勢の安定化に向けた外交努力を進めていく」としています。
また、ベネズエラに滞在するおよそ160人の日本人については、大半と連絡が取れており被害の情報もないとした上で、引き続き保護に万全を期す考えを強調しています。
自民 小野寺元防衛相「力による現状変更ととられかねない」
自民党の小野寺元防衛大臣は成田空港で記者団に対し、「日本は今まで、例えば台湾と中国の問題について『力による現状変更はあってはならない』と繰り返し言ってきた。今回のアメリカの軍事行動は力による現状変更ととられかねない状況ではないかとみており、危険なメッセージとして伝わらないか心配している」と述べました。
そのうえで「国連で議論していくということであり、同盟国としてしっかりアメリカと意見交換していくことが大切だ」と述べました。
立民 野田代表“正当性あるのか極めて疑問で遺憾”
立憲民主党の野田代表は三重県伊勢市で記者会見し「国連憲章や国際法に照らして正当性があるのかという点からすると極めて疑問で遺憾の意を表明せざるをえない。いくら何でもやり過ぎだ。おとといの高市総理大臣とアメリカのトランプ大統領の電話会談で事前の説明があったのかや、事後に説明があったのかなどを含め、政府の姿勢もただしていきたい」と述べました。
国民 玉木代表“今後の推移見定めG7と連携しながら対応必要”
国民民主党の玉木代表は三重県伊勢市で記者会見し「今後の推移を注意深く見定めG7=主要7か国ともよく連携しながら対応していく必要がある。政府としてしっかり情報収集を行うとともにアメリカとよくコミュニケーションをとってもらいたい」と述べました。