クマのエサ、ブナの実 ⒸNHK
ブナ 実りの周期変化 クマの個体数増加に影響かNHK 2025年11月13日午後6時59分
ブナ 実りの周期変化 クマの個体数増加に影響か
2025年11月13日午後6時59分
各地でクマの被害が相次いでいますが、この背景の1つとしてクマのエサとなるブナの実りの周期の変化が影響しているかもしれません。
豊作と凶作が以前より短い期間で繰り返されるようになっていることが秋田県の研究機関の調査でわかりました。ブナが豊作の年はクマの出産が増えるとされることから、周期が短くなっていることでクマの個体数が増加している可能性があるとしています。
短くなる豊作の周期
秋田県の林業研究研修センターは2002年から20年以上、県内5か所でクマの主なエサであるブナなどの実を採取してその実り具合を毎年調査しています。
それによりますと2013年を境にブナの実りの周期が変化し、2013年以前は「豊作」の周期が5年から8年に1度だったのが、2013年以降、2年から4年に1度と周期が短くなっていることがわかったということです。
特に2021年以降は1年ごとに「豊作」と「凶作」を繰り返すようになっています。
“豊作の年 冬は出産増 翌年は凶作で人里出没が増加”
調査した秋田県林業研究研修センター環境経営部の和田覚部長は、豊作の年の冬には栄養を蓄えた母グマの出産が増えるとされ、豊作の周期が短くなったことでクマの個体数が増加している可能性があるとしています。
そして、ブナは豊作の翌年は凶作になることからエサ不足で人里に出没するクマが増えると分析しています。
再来年は凶作の見通し 「長期的な対策 構築を」
その上で、秋田県内で今月上旬までに行ったブナの枝の「冬芽」の調査では、来年、秋田県は「豊作」になると予想されたことから、再来年は「凶作」になるとしています。
和田部長は「来年は豊作が期待できるが、ブナは豊作の翌年は確実に凶作になるので、凶作が見込まれる再来年に向けて長期的な対策というものを今から構築しておく必要がある」と指摘しています。
「大量出没 これからも繰り返す」
森林生態学が専門 新潟大学 箕口秀夫名誉教授
周期の変化について
「豊作と凶作の周期がだんだん短くなってきているのは、多くの森林関係者が感じていて、新潟県でも同様の傾向がみられる。いろいろな理由が考えられるが、地球温暖化などの大きなスケール、長い時間軸での変化というものが関わっている可能性があり、今後しっかり検証していく必要がある」
個体数への影響について
母グマは1年半で子育てを終えるため、2年に1度の豊作の周期は繁殖特性からも出産に都合がよい周期で「クマの個体数の増加に貢献していると考えられる」
大量出没について
「クマは広域に生息していて、大量出没という問題も広域で考える必要があるので、統一した調査方法でこれから実施していく調整を国が主導する必要がある。クマが大きな社会問題となり、さまざまな対策が取られているが、その多くが対症療法だ。大量出没というのが今年だけで終わるのかといったら、そうではなくこれからも繰り返し、さらにはその規模が大きくなる可能性がある。長期的な視点に立った抜本的な対策が必要で、例えばきちんと里山森林を管理するといったことを息長く続けていく必要がある」
秋田県内ではナラ枯れも 「里山や森林の管理を」
秋田県林業研究研修センターではブナと同様にクマのエサとなるミズナラの実り具合についても調査していますが、2017年ごろまではブナが凶作の時にはミズナラが豊作になるなど、クマのエサ資源を補完していた可能性があるとしています。
しかし、2017年以降はブナとミズナラが同じタイミングで凶作になっているほか、ミズナラの実りの全体量が減少傾向でエサ資源を補完する役割が果たされていない状況になっています。
秋田県内ではナラ枯れが発生していて、センターではミズナラの資源を維持していく取り組みを進めているということです。
箕口名誉教授は「ナラ枯れによって枯れる木が非常に多くなっていることが結実量の減少に関わっているのではないかと考えられる。特にナラ枯れの場合、どんぐりをたくさんつける太い木が枯れてしまう傾向がある。これまで森林をきちんと管理してこなかったことがナラ枯れの一因となっていると考えられ、里山や森林のしっかりとした管理を長期に続ける必要がある」と指摘しています。
