(前回までの『笑わせるお姫様』)


 

 「さぁ、立派な女王になるためにもお勉強しましょう!お姫様!。まずこの資料のポスターをご覧下さい!」

 

「かつての“民主主義” “自由” “平等”の社会では『美しさは罪』とされましたが、現在では『かわいいは正義』なのです。世界は動いているのです。人間の認識において、人間が獲得した知識には絶対的に正しいということはなく、将来的に誤りが発見され修正される可能性が常に残されているという可謬性が存在します。彼らは『美しさは罪』という思想の欺瞞を見抜き、ブスの陰謀に屈せず闘争を繰り広げております。お姫様にこの本を読んでさしあげて」

「『わが闘争』…!?」

「正義とは『かわいい』ことである」

「正義とはかわいい女子の利益以外の何者でもない」

「これまでの正義は圧倒的多数のブス同士の取り決めに、かわいい女子が不本意ながら従っていたに過ぎない」

「ブスに人権ある方がおかしい」

「かわいい帝国を取り戻す」

「ブスは寄生虫」

「世界を腐敗させている最大の理由はブスの脅威」

「ブスはガス室へ」

「我々臣民のすべての道徳の根源は、かわいい女子のために身命を捧げることであり、それが我等臣民の務めであります」

「かわいい国へ」

「ブスのいうことなど聞く必要ない。こんな文句言いそうなテロリストみたいなブスは共謀罪で見せしめに死刑にして黙らせないといけない」

「かわいい女子に主権を」

「この本を読めば、ガビッチ閣下が演説でおっしゃられた『勝利それは値する者の手に!』という意味がより理解できますわね。時代はすでにブスにも権利が認められる時代ではないのです。分をわきまえろというのと同じで、ブスにはブスにふさわしい範囲でしか自由を認めるべきではないのです。この差は先天的なものなので永遠であることは明らかです。ブス共和国が我らの帝国に征服されたのは当然の帰結と言えましょう」

 

「そういう訳ですので、お姫様もプリキュアのようにかわいい私の顔に取り替えて下さい」

(つづく)