はやくおかえりなさい 明るいうちに
※少しでも
こわい話が苦手な方はパスして下さいね
すこし昔のこと
九州地方の 田舎に
大きな川があり
その川は
幾つもの 支流に分かれ
あちらこちらへ
流れていました
そのうちの
一つの川で
村の人たちは
川で洗濯したり
行水したり
お茶碗を灰汁で
洗ったり
アユやハやを
採ったり
それはもう
村の人たちに
なくてはならない
川でした
夏になると
子供たちは
お年寄りの監視つきで
川へ 水遊びに
そこには
小さなせきがあり
川は 水もすんでおり
砂底や
魚達が 泳ぐのも
はっきりみえます
こどもの ひざたけぐらいの
水かさ
小学生ぐらいの
子供達が
はしゃいで
もぐったり
追いかけっこしたり
その中に
ふたりの女の子がいました
小さい方の女の子が
年上の女の子に
待って 待ってと
一生懸命
水のなかを歩きながら
追いかけてゆきます
年上の女の子は
面白かったのか
先に進んでいましたが
かわいそうになって
立ち止まって
ふりかえりました
年下の女の子が
手を伸ばしたら
年上の女の子に
もう少しで
届くところに来ました
けれど
年下の女の子は
急にじっとして
いっこうに
動きません
そうして
何があったのか
年上の女の子が
口を開こうとしたら
年下の女の子が
水面から川底をみて
“だれかが かたほうの
あしを つかんでいるの”
えっ!
年上の女の子は
驚いて 川底を見回しました
だれもいません
砂があるだけ
藻も 生えていない
砂 砂
周りにも 他に人はいません
だれもいない
だれも
かくれるところもない
ふたりとも
言葉もなく
水面をみわたしたまま
ふみだせないまま
まひるの 水面は
すきとおったまま
ゆれています
いつものまま
だれかのはしゃぐ
遠い声に
はっと われにかえり
あわてて 手を引いて
年上の女の子は
小さな女の子を 引き寄せると
ふたりで
必死に岸へ
大人のところへ
向かいました
何とか たどり着いて
ぺたりと
座り込んでしまいました
数年ののち
1人の男の子が
せきのはんたいがわで
遊んでいるうちに
つれの子供たちから
見えなくなり
川底の岩の間に
足をはさまれたようで
溺れてしまいました
女の子たちは
たぶん
あの時の なにかのしわざに
ちがいない
どんなに なれ親しんだ
すきとおった川でも
太陽のしたでも
眼には見えない
力がおよぶことを
はっきり 知ったのでした
その地方には
小さなこどもは
かならず
水天宮さまの
木製の ひょうたんがたの
お守りを つけておく
ならわしが あったようです
こうしの 向こうには
ふしぎな 出来事がたくさん
おやすみなさい
やさしい だれかがかならず
見守って いますから
安心して
ゆっくり
眼を閉じてください
どんと
はらい
Q小さな女の子はだあれ
暑い夜に ひゃっとを
お届けしました
いつも ありがとうございます‼️
まだまだ 暴走しますから
ふふん と鼻で
笑ってください
かしこ