息子が 4月から通うことになる大学の、

次の受験生向けのオープンキャンパスが

開催された。

 

息子は、一度もキャンパスにいったことが

無い。

 

入学する前に、

一度は行ってみないと。

自閉症スペクトラム障害のある人は

一度は行ってみないと。

 

いきなりの本番はきつい。

 

思い切って

大学に電話してみた。

 

4月から通うことになっているのですが

オープンキャンパスに参加していいでしょうか。

むにゃむにゃ、と事情を話すと

にこやかにOKをもらった。

 

PCから予約してください

教員には連絡しておきますから

と、親切な対応をいただいた。

 

息子と私は、ほっとした。

 

 

オープンキャンパス、

久しぶりのオープンキャンパス、

もう通うことが決定しているけど

ちょっとわくわくするオープンキャンパス。

 

息子は、工学部の化学系。

 

果たして、

 

講堂には大勢の参加者がいたけれど

理学部、工学部の化学系の参加者は

6人。

 

息子を入れて、6人!

 

体験実験をさせてもらうので

実験室に入室したら

20人近い教員と数人のお手伝いの大学生と

6人の参加者。

 

息子は、実験出来てものすごくうれしそう。

一緒に実験していた

現役高校生の男の子

すごく、まじめそうな子だった。

 

お手伝いの大学生も、真面目そうな

落ち着いた感じの子たちばかり。

 

先生方は、

リラックスした感じで、

実験の事や、展示しているパネルの事、

ご自分の研究内容など

息子に話をしてくださっていた。

 

私は、

息子が実験している姿や、

先生と話をしている姿を

教室の壁際に立って

見ていた。

 

 

ふいに

 

ここにいる大人たちは

みんな

化学が大好きで

みんな勉強が大好きな人たちばかりなんだ

 

と思った。

 

私の日常では、

そんな大人が

こんなにたくさん、集っている風景を

見たことが無い。

 

化学の事を

まるで世間話するみたいに

楽しそうに談笑しているような。

 

息子は、

化学の教科で受験したけれど

実際のところ

高校時代に化学の授業は受けていない。

 

教科書の基礎を理解して問題を解けるように

と、塾の映像授業を見ながら

必死で勉強した。

 

英語も数学も

全日の高校で受ける授業数より

少ない授業数で

ほとんど自学自習のような形で

受験勉強を進めてきた。

 

化学の勉強を

映像授業で始めた去年の9月、

 

「化学ってすごくおもしろい

 世の中の事が

 見える化されるんだよ。

 すごく楽しい、高校で授業うけたかった」

 

と言って、興奮していた。

 

大学で勉強するのに

充分な知識があるかどうか

不安だけれど

 

勉強への意欲と

学びへの喜びは

とても大きい。

 

勉強がすきな大人が

たくさんいる、大学と言う場が

息子の

居場所になるといい。

 

勉強が好きな人達が集っている

教室の風景を見て

 

息子は

やっと、ここにたどりつくことができた

 

と思ったら

ふいに涙が出てきた。