黒い絵 その1 | フライドチキンと海のおと。

黒い絵 その1

Kさんはかつて不動産関係の仕事に就いていた。
今は全然別の仕事に就いていて、
それは元々やりたかった仕事ではないそうだが、
それでも忙しく充実した日々を送っている。


不動産関係の会社に就職するのは、
かつて彼女の夢だった。
しかし結果としてこの話を聞いた数ヵ月後、
彼女は会社を後にすることとなる。
その話を聞いたのがきっかけで不動産関係から足を洗ったわけではない。
理想と現実のギャップに苦しんだ、
とKさんは言っている。
そのギャップ部分には少なからず、
今から書く話が絡んでいることだろう。





Kさんが働いていたエリアの、
不動産業者間では比較的有名な話らしい。
Kさんも、


「あくまでわたしが担当したお客様の話ではないです」


と前置きして話してくれた。






仮にWさんとしよう。


Wさん一家は仲介業社の手引きで、
ある一戸建て中古物件を手に入れた。
築年数はいっていたが、
リフォームされていて内装は問題なかった。
すぐ近くに幼稚園も小学校も中学校もあり、
大型スーパーにもショッピングモールにも近かった。
都心部から離れていたが通勤に困るというほどでもない。
四歳になる一人娘・T実ちゃんのことも考えて、
多少田舎なのは緑が多いということで、
子育てにもいい環境に違いないと前向きに捉えた。



それから数年間、何の問題もなかった。
異変はT実ちゃんが幼稚園に入った頃にはじまった。
<つづく>