ひょうすべ その3
猛烈なのどの渇きでGさんは目覚めた。
半身を起こし、周りを見ると親戚一同が雑魚寝している。
淵に面した大きな窓からは月光が差し込んでいる。
深夜。時計の針は二時半を差していた。
きっきっ……きっきっ……きっきっ……
という、規則正しいリズムで外廊下の床板が鳴った。
その音はだんだん部屋に近づいてくる。
少し下がっては、また進み、進んでは下がり……。
何かが廊下を歩いている。
変なリズムで。
Gさんはあわてて横になった。
そして目を薄く開け、横目で様子を伺った。
廊下と部屋を隔てる襖がからり、と開けられた。
外には、壁があった。
いや。
外にいたものがあまりに大きくて、
その体がGさんには壁に見えたのだ。
それはぐっとかがんで、部屋に入ってきた。
頭の高さは、鴨居をゆうに超えている。
そう。2メートル以上はある。
Gさんは自分の身に起こっていることが信じられなかった。
これは夢だ、夢に違いないと思いつつ、
足が震えださないようにしっかりと力をいれた。
顔は逆光でよくわからなかったが、口元だけは少し見えた。
それは、歯を剥き出して嗤っていた。
(あ。わらってる)
そう認識した瞬間、両足首が強く掴まれた。
<つづく>