イエスタデイ その10 | フライドチキンと海のおと。

イエスタデイ その10

一日迷い、結局僕は返事を書くのをやめた。
マイが僕の返事を求めているのかどうかも、
あまり考えないようにした。
それから何週間かたった頃にまた手紙が来たが、
僕は返事を書かなかった。

そしてそれがマイから来た最後の手紙だった。



別れてからも友達でいられるパターンの恋もある。
実際僕にも何度かあった。
マイとも、ひょっとしたら友達でいられるかもと思っていた。


しかし違った。
僕とマイが二年かけてはぐくんだ恋は、
一度離ればなれになったら二度と会えない性質のものだったようだ。






そして僕は知っていた。
僕達が望むべき場所は“昨日”ではなく、
“明日”でなければならないということを。
それに気付いていながら、
何かを雄弁に語るマイの目から視線をそらしていた。
そんな自分が愚かだったとは思っても、
過去のことを悔やんではいない。
なぜなら僕には望むべき明日があるし、
守るべき大切なものを持っているから。
あの時のマイのように。



マイが弾くギターをテレビで聴くことはまだできないが、
その熱い音色は今でもくっきりと思い出せる。
たとえどんな場所で弾いていたとしても、
マイのギターは誰かの胸の扉を強くノックしているはずだ。
そう、たぶん今この瞬間にも。





それから、マイ。
思ったとおり、やっぱりダウンタウンは天下を取ったよ。