Stay free my misery.
正直、開演前はかなり気持ちが落ち着いていた。
X-JAPANに熱くなっていたのは学生時代である。
実に二十年前だ。
二十年間で数多の音楽を聴いた。耳も肥えた。
「さあ、心技体ともに充実したX-JAPAN。どんな音を聴かせてくれるのか?」
みたいな感じで、ちょっとハスに構えていたのだ。
そして開演予定時間から約五十分が過ぎ(これもいつものことである)、
SEが流れた。
途端にアリーナ、スタンドの全員が立ち上がる。
「うおおおおおおっ!」
「ヨシキぃぃぃぃぃ!」
「トシぃぃぃぃぃぃ!」
「エックスぅぅぅぅ!」
絶叫とも怒号ともつかない大音声がスタジアムをすっぽり包んだ。
それは津波のように寄せては返し、ステージにぶつかって砕けた。
あれ? 俺、いつの間に立ち上がったんだろ?
僕は周囲のオーディエンス同様に立ち上がり、
両腕を大きくクロスして「X」の文字を作っていた。
もし客観的に見たら(もはや客観的に見ることなどできなくなっていたけど)、
それは凄まじく異様な光景だったに違いない。
そこいら辺にいる大人五万人くらいが全員、
両腕をクロスしてステージに向かい絶叫しているのだ。
「ヨシキぃぃぃぃぃ!」
を
「教祖様ぁぁぁぁ!」
に変えたらそのまんま宗教である。
でもそんなもんどうでもいい。
宗教、上等。教祖様、最高。
いやあ、叫んだね。ええもう叫びましたとも。
二曲目「Rusty Nail」の荘厳なイントロが流れた瞬間、
腰から下がしゅわわわわ、と痺れた。
齢三十七にして失禁したのでは!? と一瞬びびったが、
ただトリハダが総出で立っただけだった。
曲が終わり、ボーカルのToshiが、
『……ぅおまえらっっ!(お前ら)』
と客席に向かいシャウトした。
なんという声量。
なんというハイトーン。
間違いない。
Toshiは、ボーカリストになるために生まれた人だ。
『ぅおまえらっっ!気合いれろおェェェェェ!!』
ウオオオン。(客席の返事)
『お前らの声っ!聞ぃかせてくれおェェェェェ!!』
ウオオオン。(客席の返事)
『聞ぃこえねえぞおェェェェェェェェ!!』
ウオオオン。(客席の返事)
……っていうか、
普段僕のブログを読んでくれている皆様、すみません。
これ、好きな人じゃないとつまんないですよね?
でも書かずにおれなかったんです。
オーロラビジョンにでかでかと、
今は亡きhideの映像が流れたんです。
だってまだYOSHIKIは、
hideが脱退したと思ってないからね。認めてないからね。
ええ、叫びましたとも。
ノドも裂けよ、と僕は叫んだ。
「ひぃぃぃぃでぇぇぇ~~っ!」
……あら。なんだこの涙は。
二十年間で数多の音楽を聴いたんだ。耳も肥えたんだ。
なのに。
なんでこんなに感動してんだ?
っていうか、いいじゃないか。こんな三十七がいてもさ。
僕の前にいたでっぷりしたおじさんは、
一曲目からアンコールまでずっと泣いていた。
熱狂的な声を上げなかったし、
踊ったりもしなかった。
でも、ただひたすら曲を聴き、涙を流していた。
どんな思いでステージを見てたんだろうな。
それを見て僕もまた泣いてしまった。
……で、今これを書きながら、
ウィキでついhideのことを調べてしまい、泣いた。
<つづく>