新年に当たり、宮内庁は天皇、皇后両陛下が平成24年に詠まれたお歌のうち、計8首を発表した。両陛下とも、東日本大震災の被災者、被災地復興へ思いを寄せたお歌や、11月の沖縄県訪問のお歌を詠まれた。
陛下は、人々が弾を避けてアダンの木に隠れたという沖縄戦を思い起こして歌にしたほか、5月に訪問した英国で、昭和28年にエリザベス女王の戴冠(たいかん)式に参列した思い出を詠まれた。
皇后さまは、平成23年11月、秋篠宮ご夫妻の長男、悠仁さまが5歳のときの儀式で碁盤に立たれた姿も詠まれた(原文のまま、ルビも)。
【天皇陛下】(5首)
《心臓手術のため入院》
手術せし我が身を案じ記帳せるあまたの人の心うれしき
《仙台市仮設住宅を見舞ふ》
禍(まが)受けて仮設住居に住む人の冬の厳しさいかにとぞ思ふ
《即位六十年に当たり英国の君に招かれて》
若き日に外国(とつくに)の人らと交はりし戴冠式をなつかしみ思ふ
《沖縄県訪問》
弾を避けあだんの陰にかくれしとふ戦(いくさ)の日々思ひ島の道行く
《明治天皇崩御百年に当たり》
様々の新しきこと始まりし明治の世しのび陵(みささぎ)に詣づ
【皇后さま】(3首)
《復興》
今ひとたび立ちあがりゆく村むらよ失(う)せたるものの面影の上(へ)に
《着袴の儀》
幼な児は何おもふらむ目見(まみ)澄みて盤上(ばんじやう)に立ち姿を正す
《旅先にて》
工場の門(かど)の柱も対(つい)をなすシーサーを置きてここは沖縄(ウチナー)