関ジャニ∞・横山裕「僕らの原点は吉本」 初主演映画「エイトレンジャー」
人気アイドルグループ、関ジャニ∞の初主演映画「エイトレンジャー」(堤幸彦監督)が公開中だ。荒廃した近未来の都市を舞台に、街を守るヒーローとして戦う7人を描く。今作の基となったライブ企画「戦隊パロディー」の発案者である関ジャニ∞の横山裕が、大好きなナニワを通して、作品やグループ、地元愛について語った。(橋本奈実)
■新喜劇にかぶりつきの子供時代
多忙なスケジュールの中、自ら希望して、地元・大阪へPRにやってきた。横山は「僕はやりたいと言うだけやから楽なんです」と照れつつ、「僕らメンバー全員、関西出身。関西には特別な思いがある。純粋に地元のみなさんに見ていただきたいから」と話す。
大阪府出身。土曜日の昼に学校から自宅に帰ると、テレビをつけて吉本新喜劇を見る。それが幼い頃の「定番」の過ごし方だったという。
「作ったラーメンをそのまま鍋から食いながら、新喜劇を見ていた。汁だけになったら、そこにご飯を入れて食いつつ、やっぱり見る(笑)」
それくらい画面から、片時も目を離さなかった、とテンポ良く笑いを交えて説明。トークのエンジンはフルスロットルだ。「うちのメンバーみんな見てた、って言いますもんね。僕らの中に、大阪の笑いのDNAは絶対にあると思う」
自分を含め、ナニワで育った人は、ボケとツッコミの間合いが自然と感覚で分かるという。一般人にも“オモロイ人”が多いといわれるのは、「笑いの経験値が高いから」と考えてる。
「だって、中でも飛び抜けてオモロイ関西人が、全国区のテレビ番組に出ているわけでしょ。僕らが子供の頃から、そんなみなさんを見て育っているのは、すごく大きいですよね」
■「赤がいい」「なんで緑が2人もおんねん」…
“笑いのDNA”は、初主演映画にもつながった。今作のキャラクターは、関ジャニ∞が7年前からコンサートで上演してきた戦隊パロディーが基になった。発案したのは横山。平成13年、お笑いコンビ、ダウンタウンがテレビ番組内で演じたコント「世紀末戦隊ゴレンジャイ」からヒントを得た。
「大好きでめっちゃ見てたんですよ。僕たちも戦隊ものをやりたいなと」
各自の色は、自分たちで深く考えずに決めてしまったという。「もっと、よく考えて決めたらよかったですわ…」
彼の記憶によると、最初に口火を切ったのは渋谷すばる。「赤がいい、と。僕、赤やりたかったんですけど、一番初めに言われちゃったから、言うに言われへんかったのを覚えている」と笑う。続いて安田章大が青、錦戸亮は「何でもええ」と言ったという。大倉忠義は緑。丸山隆平はオレンジ。自身はエメラルドグリーンを選んだ。
「村上(信五)はそこにはいなかったが、紫でいいんちゃうってノリになって(笑)。でも、なんで緑が2人おんねん。いや、俺は緑ちゃうねん、エメラルドグリーンや、ってやりとりをネタにしていた」
しかし、同じネタを7年間、やり続けるのは無理があった。自分から「俺、黒やるわ」とカラーを変更したという。今作、ブラックは戦隊のリーダー役。「黒で真ん中を取ったんって奇跡やと思てます。普通、赤がセンターでしょ。だから赤やりたかったんですわ」と笑わせた。
■カッコええ…マスクで顔隠してもわかる舘ひろし
《2035年。荒廃した近未来都市は、街の平和と安全を守るため自警団「ヒーロー協会」を設立した。ヤミ金の取立てに追われる横峯誠(横山裕)は協会からスカウトされる。他のメンバー6人は心に傷を抱えた者ばかりでまとまらない。現状を打破すべく、みんなで伝説のヒーロー、キャプテン・シルバー(舘ひろし)に会いに行くが…》
監督はヒットメーカー、堤幸彦氏。共演者は、ベッキー、蓮佛美沙子、竹中直人、田山涼成、石橋蓮司、東山紀之、舘ひろしら豪華メンバーぞろい。「どんどんスケールが大きくなっていくことにビビリました」
特に、伝説のヒーロー、キャプテン・シルバー役の舘がシルバー色のマスクとスーツに身を包む姿に魅せられた。「ホント、何をしていても格好いい。撮影の合間、あのスーツ姿で飯食っていて成立するのって舘さんくらいですよ」。抜群のルックスを封印しても、にじむ個性に舌を巻いた。
「ほぼマスクで顔を隠しているんですけど、舘さんって分かる。すごいんですわ、ほんまに。しかし、舘さんクラスの役者さんの顔を隠しちゃうなんて、贅沢(ぜいたく)な映画ですよね」
■現場で突然“味付け”する堤監督
ヒーローたちは完全無欠ではない。個々の心傷も描かれる。「そこがリアルで面白い。だってヒーローはホンマに大変ですもんね、実際は」と笑う。
演じる上で意識したのは「普通」であること。他のメンバーの役柄が個性的であるため、自身は物語の軸がブレないよう心掛けたが…。芝居相手は、普段仲のいいメンバー。楽屋にいるような楽しいテンションで話す芝居を見ているうち、うらやましくなったとか。
「ああ、僕もなんか面白いことやりたいな、とか思って。何度か、みんなのテンションに持っていかれそうになりました(笑)」
メンバーの器用さもあらためて分かった。堤監督は現場で突然、セリフや役柄に“味付け”をするが、突然の“フリ”にも瞬時に対応し、楽しんでいた。
「僕らはその方が刺激と緊張感があって楽しい。うちの事務所の人はみんな、社長からものすごいムチャなことをよく言われるので。鍛えられているところはあるかも」と笑う。
彼は舞台の本番5分前に、突然、追加のセリフを渡されたことがあるとか。そんな彼は今、撮影直前まで雑談をして笑わせ、本番ですぐに役柄の気持ちに切り替えることができる。
「お笑い芸人さんが器用なのって、そういうことやと思う。僕らもこのメンバーと一緒やから、あうんの呼吸、意思の疎通がすごく取れて、やりやすかった」
堤監督からも、メンバーが「関西育ち」で「関西弁」であることがこの作品に生かされた、と“ナニワDNA”に対して、お墨付きをもらった。
「僕らは関西生まれやから、今の人間性になったんやし。堤監督も撮りながら関西弁だから許されることってあるねと言うてましたね。だって、『あほやる』と『ばかやる』って、全く違いますやん」
■メンバー4人に観客10人!?
今作の背景には地域の格差や環境汚染、借金苦、ネット依存症など現代の社会問題が潜む。そこから立ち上がるヒーローたちに感じたことがある。「やる気があったらできる。誰にもチャンスはあり、変われるんや。僕らもそうやった」
平成14年結成。当時、行っていた大阪松竹座での舞台は空席が目立った。「これはヤバイなと思ったことは何度かあります。全員で話し合った。で、まず目の前の仕事を一生懸命やろうと」。わずかな観客が座る3階の客席に、メンバーが登場して盛り上げた。
「メンバー4人に観客10人、その割合ったら(笑)。でも、数やない。どうすれば、目の前のお客さんに楽しんでもらえるかを、みんなで必死で考えた」。そうして生まれたのが、この映画の基となった戦隊パロディーだった。
「他と同じことやったら、勝たれへん。関西出身の僕らの強みは、お笑いが好きなこと。ライブは歌だけって、ルールはないから」。着実にファンを増やし、今ではドームツアーをするまでになった。
観客の笑顔で、すべての苦労が吹き飛ぶという。2年前、ライブの開演前に母の訃報を聞いたが、ステージを務め上げた。「あのとき、すぐ帰るという選択肢は僕にはなかったです。仕事をやり遂げて戻る方が、親も喜ぶ。やっぱり、男は仕事やってナンボやと思っているから」
■「こいつらアホやな」と思われたら成功
31歳。最近、東野圭吾らの小説を読むようになった。「昔は読書に苦手意識があったけど、読み出したら止まらなくなって。小説の言葉選びがきれいだと思う年齢になってきたってことでしょうね」と笑顔。
今年は、関ジャニ∞にとって節目の8周年。何度も「ええメンバーに恵まれた」と感謝の言葉を口にした。グループ内の仲良さには定評がある。楽屋では、いつもみんなで他愛のない会話をして楽しむ。「黙っているヤツがいたら疲れてるんやろうな、と放っておく。その辺の空気感も含め、仲いいんやと思う」
メンバーとやりたいことは無限にある。野外ライブ、ゴールデンタイムでメンバー全員一緒にドラマ出演など…。「みんなでワイワイするような物語をね。恋愛モノ? いいっすわ。そんなんオモロないし、誰も得しませんやん(笑)」
いまは、関ジャニ∞の節目である8周年の今年、作った初主演映画を多くの人に見てもらうこと。「映画を見て、コイツらアホやなと思われたら、成功。アホでも一生懸命やってるコイツらやるなと思われたら最高」と話す。
自分たちは、大阪の街に、人々に育てられたと考えている。「僕らを育ててくれた大阪のお客さんに、少しでも成長した姿を見てほしい」。永遠に、ナニワの魂を持ち続ける。
関ジャニ∞初主演映画「エイトレンジャー」の舞台挨拶がこのほど、北区のTOHOシネマズ梅田で行われた。7色カラーの「エイトスーツ」で登場したメンバーは決めポーズも披露、満席となった約750人の観客を盛り上げた。
横山裕は「大阪で生まれたエイトレンジャーが、大阪に帰ってきました! いまロンドン五輪開催中ですが、僕らはこの映画で日本の金メダルを獲りたい」と挨拶。錦戸亮は「僕自身が映画を観に来ていた場所で、舞台挨拶ができてうれしい」と話していた。