KEN5がバスに揺られていた頃、TETSU6は地下鉄東西線に揺られていた。
窓に映る自分の顔を見ながら、
「今日も顔色悪いな・・・。」
とつぶやく。この1ヶ月、まともに寝れた日は数えるほどだった。

九段下の駅につくと、すぐさまトイレに駆け込んだ。
「う、うえええええっ。」
ろくに飯も食べていないから、出てくるのは黄色くて甘酸っぱい胃液だけだ。
とめどなく嘔吐感が押し寄せた。

こんな時、決まって俺は右手をにぎり、親指を太ももに叩き付けてリズムを刻んだ。
頭の中には重低音が鳴り響き、人気絶頂にあったあの頃の映像が
鮮明に頭の中に蘇る。

そうすることで気持ちを落ち着けるのだ。
でも、その映像はいつも同じところで終わる。

――――「北九州に転勤する。」

その先がどうしても見えない。
俺は、この5年間、ずっとその先を見ようとしてきた。
でも駄目だった。
当然だ。tokyo456headは解散こそしていないものの、無期限活動停止を
発表して、世間からもその存在は完全に忘れ去られていた。

失われた5年――――

俺はこの5年間の人生をそう呼んでいた。

「ちくしょう・・・!」

ドンッ!!

拳をトイレの扉に叩き付けた。赤い鮮血が白いキャンパスをつたい、流れる。

コンコンッ

そのとき、外から誰かがノックした。

続く

-TETSU6-