スタンリー・キューブリック監督の映像スタイル | It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

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スキー大好き、ゴルフ、読書、映画、演劇、音楽、絵画、旅行と他の遊びも大好き、元々仕事程々だったが、もっとスキーが真剣にやりたくて、会社辞めちまった爺の大冒険?


映画を語るのは難しい。何故なら、映画は小説の様に文章で構成されている訳ではなく、効果音と音楽付きの映像の集合体だからだ。

自戒も込めてなのだが、映画の批評や感想は筋やテーマを論じているものが多い。

しかし、本当なら映像表現(含む音響効果)をもっと批評しなければならない。映画はむしろ小説よりも、絵画や音楽や写真に近いものだ。

スタンリー・キューブリック監督は、映画「2001年宇宙の旅」(1968年)について、雑誌プレイボーイ誌から受けたインタビュにこう答えている。

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この映画で私が伝えたいのは、言葉で表現出来るメッセージではない。「2001年―」は言葉に寄らない体験なんだ。

2時間19分の映画の中で、セリフの部分は40分もない。私が創造しようとしたのは視覚的体験、言葉による分類・整理を無視して、感情的で哲学的内容を直接潜在意識に訴える映画だ。

私はこの映画が観る者の意識の内側に達する、強烈な主体的体験となる様に意図した。ちょうど音楽の様に。

ベートーヴェンの交響曲を言葉で説明すれば、概念と理解との間に人工的壁が出来てしまい、それが交響曲の活力を奪うことになる。

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実際これは、「2001年宇宙の旅」に限ったことではないだろう。本来全ての映画はそうなのだ。映画は論文ではないし小説ではない。増してプロパガンダでもない。

もし、文章で書き表すことの出来るメッセージが作者が言いたいことならば、文章を書いて発表した方が早いし、作者はそうすべきだろう。

そうでない何物かを創りたいが為に、クリエーターは、絵を描いたり、彫刻を彫ったり、音楽を作ったりするのではないのか? 映画もまたその例外ではあるまい。

キューブリックの映像スタイルで特徴的だと良く言われるものに、炎、顔のアップ、仮面の映像や、フィルム・ノワールに影響を受けたと思われる夜の限られた照明の中での暴力シーン、手持ちカメラによる格闘シーン等々があるが、しかし、何と言っても一番キューブリックらしいのは、遠近法によるシンメトリカルな構図と、その構図を保ったままの前後の移動カメラ・ワークであろう。

今回、YouTubeで、「One Point Perspective」と名付けられた、キューブリック監督の映像スタイルを集めた動画を見付けたのでここに掲載する。

1分くらいの短い動画なので、是非ご覧戴きたい。

この独特の構図とカメラ・ワークは、音響効果も相俟って、何か得体の知れないものが待ち受けている様な、人を不安にさせる効果がある様に思う。


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【スタンリー・キューブリック監督作品リスト】

①恐怖と欲望(1953年3月米国公開/日本未公開)
②非情の罠(1955年9月/1960年9月)
③現金(げんなま)に体を張れ(1956年5月/1957年12月)
④突撃(1957年12月/1958年2月)
⑤スパルタカス(1960年10月/同年12月)
⑥ロリータ(1962年6月/同年9月)
博士の異常な愛情 又は私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛する様になったか(1964年1月/同年10月)
2001年宇宙の旅(1968年4月/同年同月)
時計じかけのオレンジ(1971年12月/1972年4月)
バリー・リンドン(1975年12月/1976年7月)
シャイニング(1980年5月/同年12月)
フルメタル・ジャケット(1987年6月/1988年3月)
アイズ ワイド シャット(1999年7月/同年同月)

【参考文献】

キネ旬ムック フィルムメーカーズ⑧スタンリー・キューブリック [責任編集]巽孝之





No.7431 Day 2622