「幸福とは何か?」
この問いにぱっと答えられる人はあまりいないと思います。
「何をしているときが幸福ですか?」と聞かれたらいくつか答えられるでしょう。しかし、幸福ってどういう状態のことをいうんでしょうか?
私も幸福研究の本はいくつか読んできたのですが、「幸福とは何か?」を明確に定義した書籍はほぼなかったように記憶しています。
たいてい幸福感をたくさん感じている人はこういう人生を送っているという調査があり、よってそのような活動を増やしていこう…という内容の書籍が多い印象でした。
しかし、今回手に取った書籍は次のように明快に幸福を定義していました。
「 幸福とは快楽とやりがいが持続することである。」
『幸せな選択、不幸な選択ー行動科学で最高の人生をデザインする』
ポール・ドーラン著
(早川書房)
やりがいはなんとなくわかります。
快楽というのは文字どおりの気持ち良さ、それに加えて楽しさも含んだ概念と捉えました。やりがいと楽しさって感じでしょうか。それらが持続すること。
特に以下二つの点が今後の行動選択に有意義な視点を与えてくれました。
ひとつめは、快楽とやりがいのバランスをとりなさいってこと。
『 最終的に重要なのはあなたが何らかの感情を抱く頻度とその感情の強さなのだ。自分にとって最適な快楽とやりがいのバランスが取れているとき、あなたは最も幸福だと言える。それぞれの割合はいつも同じとはかぎらないし、おそらく私の生活におけるバランスとも違っているだろう。そのうえ、同じ人間でも一日のさまざまな時間や、人生のさまざまな時期によって、快楽とやりがいの割合が違ってくる。
幸福は人それぞれだと言いつつ、一般化して言えることもある。生活の中にやりがいよりも快楽のほうがかなり多ければ、もう少しやりがいのあることを増やしたほうがいい。快楽よりもやりがいのほうがかなり多ければ、楽しいことに関わる時間を増やせばいい。この説は限界収穫逓減の法則に基づいている。経済学者には非常になじみのある概念だ。』
まず、日々のさまざまな活動を思い返して快楽とやりがいどちらを多く感じているか考える。
そして、自分が快楽型のライフスタイルをおくっているならやりがいのある活動を増やし、やりがい型なら快楽のある活動を増やしてみる。
私はどちらかといえばやりがいを重視している感じがしたので、快楽も増やしてみようと思いました。
限界収穫逓減の法則を調べてみると…
一定の土地からの収穫量は、資本・労働の投入量の増大に応じてある点までは増加するが、その点を超えるとしだいに減少するという法則、とありました(これが一番わかりやすかった説明)。
要はエネルギーの投入量を増やしてもある点を過ぎると効果が減少してくるということ。
私の場合、やりがいある活動にエネルギーを投入しても幸福感増加に結びつかなくる、ということか…
よって、快楽にもエネルギーを使ってバランスをとってみては?という提案。
もうひとつは、快楽とやりがいを持続させるってことです。
快楽にしてもやりがいにしてもやりすぎることによって、それらから得られる幸福感が持続できなくなることがあります。
たとえば、食べることから快楽を得ているからといって、ずっと食べ過ぎを続けていると体重が増え病気になる可能性が高くなり、食べる楽しみを長く感じることができなくなるかもしれません。食べる楽しみを持続するためには健康のことも頭にいれなくてはいけません。
そのほうが美味しいものを長期間にわたって食べることができます。長生きすれば一生で食べた美味しいものの総量も増えるでしょう。やりがいも同じです。
いま感じている快楽とやりがいを分析し、それらを生涯にわたって感じるにはどうしたらよいか?それを考えるのです。
楽しい時間を長く感じるためにひとつ興味深い示唆もありました。
子どものころは時間がゆっくり感じられたのに、三十路過ぎたら一年があっという間…と感じたことがある人は多いと思います。
なぜなのか?
『 子どものころは時間がゆっくり流れているように感じられるが、その理由のひとつは子どもたちがつねに新しい経験をしているからだとされる。実際に、10歳の子どもは1分を2分以上に感じている。まるで、私たちの脳がいま起きている出来事の数に基づいて時間を推定しているかのようだ。そのため、出来事が増えれば増えるほど、より長い時間が過ぎたように感じれられる。
6枚のスライドを1枚につき30秒間みる場合と、30枚のスライドを1枚につき6秒間見る場合では、トータル時間はまったく同じなのに、30枚のスライドを見たときのほうが時間が長く感じるという。』
新しい経験を取り入れることで時間をゆっくりと感じることができる。
快楽にしてもやりがいにしても新しい経験をもたらす活動に挑戦してみる。
これも幸福感を長く味わうのに役立つアドバイスだと思います。
もちろん、快楽とやりがいのどちらかに偏っている人ならそのバランスを変えることが新しい経験につながり、時間を長く感じることができるでしょう。新しい経験には新しい場所や新しい人との出会いもあるでしょう。それら新しい環境が幸福感の持続に一役かってくれるでしょう。
快楽とやりがいのバランスをとる
快楽とやりがいを持続させる方法を考える。
より楽しくよりやりがいある人生を送りたいですね。
最後までお付き合いありがとうございます。
