前回読んだ書籍の影響からビジネス、失敗という言葉が気になっていました。
たまたま別の本を探すために入った書店で見つけたのが今回読んだ本です。
ビジネスは本質的に失敗する運命にある…
という序盤の一文が印象に残りました。
「経営の失敗学」
菅野寛著
日本経済新聞出版社
まず、ビジネスは失敗の山であるという例としてアップルとUNIQLOの事例が紹介されていました。
ざっとアップルの失敗を並べてみると…
1993年「ニュートン(PDA)」
1996年「ピピン(ゲーム機)」
2000年「キューブ(マックの派生品)」
2005年「ROKR(携帯電話)」
iPhoneの前にも携帯電話を出してたんですね。しかもゲーム機も出していたとは…いずれも失敗。アップルのようなヒットを連発しているイメージのある企業でもたくさん失敗しています。UNIQLOも同様でご存知の『一勝九敗』柳井正著(新潮文庫)です。
もちろん一時的に成功する事業もあるのですが、長期的にビジネスを成功させることのいかに難しいことか…
『 ビジネスに取り組むときに最も難しいのが、「持続的に」という条件を満たすことです。かつては大成功したビジネスであっても、一〇年、二〇年という長いスパンで見ていくと、長続きしている例はほとんどありません。』
ではなぜそうなってしまうのか??
『 ここまで、ビジネスは以下に失敗が多いかという「現象」を見てきましたが、その「原因」はどこにあるのでしょうか。
ビジネスにはそもそも、失敗しやすい構造的要因があると、私は考えています。一般論になりますが、ビジネスには二つのジレンマが存在します。
同質化による失敗:他社と同じことを、あるいは、今までの自社と同じことをやっていては成功しない
異質化による失敗:他社と違うこと、あるいは、今までの自社と違うことをやれば成功しない
要するに、同質化しても失敗しがちであり、異質化しても失敗しがちであるということです。すなわち、ビジネスではどちらに転んでも失敗すべく運命づけられてるいるのです。ビジネスとは、この二つのジレンマの間を揺れ動きながら出口を探っていく行為と呼んでもいいかもしれません。』
『 たとえ同質化、異質化、どちらに転んでも本質的に失敗するのがビジネスであったとしても、その中で、なんとか成功する例外的な出口を見つけて実行するのが、ビジネスの命題です。
すなわち他社と同じことをやっていても泥沼の利益低減競争に陥らない出口、あるいは他社と違うこと、慣れないことにチャレンジし続けても企業としては失敗しない出口をなんとかして見つけるのです。』
言うは易く行うは難し…
先日とある家具屋さん(量販店ではない)に買い物に行ってきました。
そこで家具について店員さんの話を聞いていたところこんな話をしていました。
A社がAというデザインの商品をつくって販売したところとても人気が出たそうです。
すると、Aと似たデザインで明るい材質に変えてつくったA+という商品をB社が販売し始め、これも人気化したそうです。
デザインをパクられたA社はAをA+と同じ明るい材質でつくって販売したところ、これまたよく売れてるそうです。
おそらくこれらの商品を真似たものが別の会社からも販売されるようになると思います。
やはり、売れる!儲かる!となるとあっという間に他社に模倣されて供給過剰になり儲からなくなる。
かといって、売れるかどうかわからない商品をつくるのはリスクが高い。
そもそも売れない!儲からない!と思われているからこそ誰もやらないわけで、他社と違うことをやってもそこに市場がない可能性のほうが高いのでしょう。
やはりビジネスで継続して儲けるのは簡単なことではありません。
では、厳しいビジネスの世界で成功するにはどうすればいいのか??
著者いわく…
『「こうすれば必ず成功する」という成功の十分条件(すなわち“必勝法”)は存在しない』
しかし、成功している企業は以下の三つの条件がすべてそろっているそうです。
『 ①負けない戦略 × ②他社を凌駕する努力 × ③時の運 = 結果としての成功 』
この三つがそろっても必ず成功する保証があるわけではありません。しかし、この三つのうち一つでも欠けていると高確率で失敗するのだとか。
これら条件の中で、経営者がコントロールできるのは、①と②。よって、成功を目指す経営者ができることは、「負けない戦略」を練り徹底的に「努力」する。あとは運頼み!
『 繰り返しになりますが、「絶対に勝てる戦略」すなわち「成功の十分条件」はありません。しかし、ながら、「これをやったらほぼ確実に失敗する」、すなわち「これをやってはいけない」という「DON' T」は存在します。
別の言い方で言い換えると、「踏んではいけない地雷」は存在すると私は思っています。そして、成功の十分条件は存在しないにせよ、地雷を踏まないことが、少なくとも「成功の必要条件」となると考えることができます。』
では、ビジネスの「これをやってはいけない」とはどのようなものかというと…
考えるアプローチ、頭の使い方の失敗
◯教科書の理論を何も考えずにそのまま使ってしまう
◯意思決定の質とスピードのバランスを欠いている
◯そもそもの出発点としての論点がずれている
ビジネスの立案段階での失敗
◯そもそも戦略の筋が通っていない
◯顧客が求めている価値を提供していない
◯定性的なロジックの詰めだけで満足して、定量的な数字の詰めが甘い
◯不確実性やリスクに十分対処していない
◯地雷排除をやり過ぎた結果、戦略が「尖っていない」
実行段階での失敗
◯実行の徹底度が足りない
◯実行者の意識や行動を変えていない
大まかに分けると「考えてない」「やってない」という感じですね。
著者も指摘していますが、これらは当然なされるべき「当たり前のこと」。しかし、これができてない企業がほんとに多いそうです。
『 多くの企業の多くのビジネスを見てきた私の経験上、この「当たり前のこと」が驚くほどできていません。「そんな当たり前のことができていないなんて!」と思うことが、本当に多いのです。そして、その当たり前のことを徹底して行うだけでも、相対的に優位に立てるチャンスが出てきます。』
このあとの章から「失敗パターン」の詳述になるのですが、それについては次回に続く…
ここまで見てきて印象に残ったのは…
ビジネスは失敗する運命にある
ビジネスにおける「運」の影響力
当たり前のことを当たり前にできることの重要性
って感じです。
特に、コンサルタントとしてたくさんのビジネスに携わってきた著者が、「運」の影響力を認めているところが響きました。
本屋さんに並んでる企業の「成功本」を読んでいると、その企業が勝ち残ってこれたのはあたかも必然だったかのように書かれていることが多いです。
私が知りうる限りでは、たまたま運が良かったから成功できました!と強調している本は思い浮かびません(読者もそんな内容期待してないし(笑))。こうこうこういうふうにやって成功しました!というのが普通です。
しかし、「運」の良し悪しも見過ごせない。
成功企業の三大条件に挙げられるくらいですから。
そう考えると、企業の将来性を分析する際にも、大きな(大きな!)不確実性が存在するという認識を持たなければならないのではないでしょうか?
しっかりとした戦略を持ち、他社よりも努力している企業が不運のために失敗する可能性もあるのですから。
それだけビジネスの将来性を見通すのは難しい…
もちろん超・長期的に成功している老舗企業はそういった運・不運という不確実性をも乗り越えてきた実績があるともいえますが…
「失敗パターン」については次回に続く…
『 経営とはいかに当たり前のことをいかにしっかりとやるかである 』
柳井正(ファーストリティリング代表取締役兼会長)
最後までお付き合いありがとうございます。
