本日の夜の部が千秋楽であった、ベニバラ兎団の「ワタシ、シノブカイ」の公演を池袋で見てきました。

一日おきに3回見ましたが、それぞれ違ったことを考えました。



時が過ぎるのを見守るがごとくお花も変わってしまいましたが





舞台はこんな感じでシンプルそのものでした。内容で勝負しますという意気込みの表れかもしれません。



あらすじなどはこんな感じでした。

ベニバラ兎団 プロデュースシアター 8th STAGE『 ワタシ、シノブカイ。』

●トリプル主演
秋山ゆずき / 谷 茜子〈ベニバラ兎団〉/ 平岡梨菜〈ベニバラ兎団〉

●シングルキャスト
・飯田南織 〈ベニバラ兎団〉・日比博朋 〈ベニバラ兎団〉・瀬鳴 渓人・諸喜田 智也・古屋 義邦・河豚山田 トン吉・清水 那奈子・新川 悠帆・比嘉 ニッコ・日向 なつき・馳川 てるや

●Wキャスト
《百合》北原 知奈・富永 優美・鷲津 太郎
《菊》岡田 彩希 (T-Riot)・永澤 まい・田中 護


『 え、死んだ覚えないんですけど・・・。』

自殺でこの世を去った 陽菜 (秋山 ゆずき) の死は、
天界の入り口「イワトの門」にて人違いだった事が判明する。
これ見よがしに霊界の案内人達を脅し掴み取った奇蹟の生還劇!?
ワタシ、イキカエル!と意気込みたい所だったが、
自殺者がイワトの門まで辿り着けるのは他の死者より最も遅く死後365日後。
戻りたくても既に陽菜の身体は存在しない・・・。
てな事でなんだかんだと代わりのボディーで舞い戻ることにッ。
つまりこれは生還劇ではなく帰還劇!?
許された時間は人間界で言うところの60分のみ!
「ワタシ、シュパーーーーーーーッ!」
陽菜の死からちょうど一年。
舞い降りた先は母校の中学校。
そこでは親友の 真美 (谷 茜子) と、珠奈 (平岡 梨菜) が中心になり、
陽菜の「シノブカイ(偲ぶ会)」が行われていたのだった・・・。

クライマックスにおとずれる身も凍る結末。
これは想像以上にホラーなのかもしれない。



今回はネタバレも関係ないので、衝撃の最後の結末だけでもお伝えします。

主人公の陽菜の自殺は間違いでしたが、もともと死と関係ない方が選ばれたのではなく、

親友の真美の嫉妬に(真美も陽菜同様に慎之介が好きだったが親友同士ということで告白すらしていなかった)あい、殺されてしまいます。その現場を見た親友の珠奈が必死で止めに入るのですが、もののはずみで真美を刺してしまい二人とも帰らぬ人に。事故であったとはいえ親友を死なせてしまった珠奈も後追い自殺をし、親友三人の同窓会は天界で思わぬ形で行われるというオチでした。

これが本当ならば親友の男たちである慎之介や時男は再起不能になってしまうので、そこはお芝居ということで。特に慎之介は恋人の陽菜が自殺をしたというだけで立ち直れていないので。

また、この偲ぶ会の教室を貸した現中学校の教師の相沢先生も責任を感じて自殺するという、もう地獄絵図みたいな結末でしたが、その凄惨な現場を少しでも和ませてくれたのが太郎でした。


親友とは?生と死とは?運命と宿命は違うのか?など様々な問いかけを投げかけてくれた舞台でしたが、難しいことは頭の悪い私にはわかりませんが、一つ確実に言えることは

自殺は何も解決しない。人は死にたいと思うことは度々あるが、それでも生きよ!ということです。死んで花実が咲くものではないし、残された者の哀しみは測りしれません。

また親友同士とはいえ男女の間の考えの違いは深い闇のようです。


でもこんな凄惨な結末で終わりながら暗澹とした気持ちにならなかったのは、脇を固める役者陣が例えば太郎などが笑いを誘う演技を同時進行させたりしたのが大きいと思います。


結局三回見ることになりましたが、毎回違うことに気付かされ評判も回を追うごとに口こみで広がり、最終日は臨時席が出るほどの好評ぶりでした。

今回はこんなお芝居に出会えて良かったと思います。

それにしても、自分とは全く違う役どころを演じきった秋山ゆずきさんは見事でした。はじめは手探りだった陽菜役を最後は自分のものとしていました。

真美役の谷茜子さんは劇団所属ということで安定していました。上手い表現の仕方が出来ないのですが、目でいろいろな表情を出していたように思います。

珠奈役の平岡梨菜さんは劇団所属なので安定していましたが、まだ高校一年生ということで驚きました。見事に24歳を演じきっていました。将来が恐ろしい役者さんです。


細かいことですが、時男役で公演を全て取り仕切った日比博朋さんが、公演が終わる度に出口で観客の皆さんに「ご来場ありがとうございました」と挨拶していたことは驚きました。

最後になりますが、ギター等の生演奏が良かったですね。


存在が笑えたのが、天界にも下界同様に自分の保身しか考えないようなツクモみたいな人がいるんですね。彼は間違いなく秘書のタマヨリがいなければ仕事にならないでしょうし。天界って聖人君子みたいな人ばかりがいるのかと思ったら意外と人間界くさくて笑えました。


時が経ったらまた再演して欲しいお話しです。驚きの顛末が待っていますが、暗澹たる気持ちでなく何か吹っ切れたようなすがすがしい気分で帰れるという。


でもね、鎌倉がキャバクラはないわ(^▽^;)