『孤城闭』の上巻を読み終わりました

この小説、『三体』よりも軽い感じで読めると思ったので先に手を付けたのですが

予想外に史実に沿っていて、読み手に要求される知識レベルが高い

仁宗治世下の有名な政治家・文化人、そして詩がワサワサ出てくる

 

 

范仲淹・富弼・欧陽脩・蘇洵くらいまでなら分かる

 

范仲淹は仁宗時代のドラマなら出てくるし、欧陽脩は漢詩の授業で出てきた(遠い記憶タラー

富弼・蘇洵もどこかで聞いたことある(レベル)

 

でも、呂夷簡・韓琦・司馬光・夏竦・曾鞏・胡瑗・邵雍・周敦頤・梅堯臣・石介・文彦博・・・

本国では常識レベルなのかもしれないけど、私は知らんよーえーん

 

ということで、『三体』なみにwiki・ググル先生にお世話になって、読み進めておりますあせる

登場人物いっぱい、これらの人々の役職もころころ変わる・・・

そして役職の説明もなく、知ってないとどんな仕事か???な状態

宋代の官僚機構まで調べましたよー

 

で、こちらが改革派でこちらは反改革派で、な感じでメモしながら読まないと、混乱するのよもやもや

色々調べていったら、『宋史紀事本末』の「郭后之廃」という章を発見

これでかなり仁宗時代初期の政変の流れが理解できて、スラスラ読めるようになった

 

ということで、『孤城闭』は予想外に硬いお話です

半分くらい、真面目な政治のお話

(仁宗エロジジイ話では決してありませんよーアセアセ

で、史実を元に、自然なストーリーにするためフィクションが挟まれている感じ

このフィクション部分が、福康公主や秋和などの恋話だったり、張貴妃の振る舞いだったりするのだと思う

 

 

てな感じなので、梁怀吉が主人公だと思ったけど、彼はストーリーテラーで、主人公は仁宗皇帝かなぁやっぱり

↑ドラマの梁怀吉

ドラマの主人公が仁宗なのも納得です

 

梁怀吉が仁宗の長女・福康公主付きの宦官なので、福康公主生母の苗淑仪や曹皇后との関わりの方が多いのですが、仁宗皇帝が公主と会う時などその場にいつもいるので、自然と仁宗の話は耳に入ってくる立場

 

で、「琅琊榜」の蒙大統領の如く、よく事情が飲み込めない人が質問してくれて説明してくれる、読者に優しい部分も

本国であまり有名ではない詩の解説とか、ね

でも有名な詩の解説はないので、気になったら調べるかそのままスルーあせる

 

 

梁怀吉は福康公主に「梁哥哥」なんて呼ばれちゃって、公主のお勉強手伝ったり、慰めてあげたりしているうちに、公主が主以上の存在にドキドキ

↑ドラマの福康公主

でも、公主はもちろん梁怀吉を恋愛対象としては見てない

 

公主の初恋は冯京ラブラブ

この冯京、状元で容姿端麗、今をときめくアイドル官僚

冯京も出席する、その年の科挙合格者の任官式(?)みたいな儀式に皇后以下妃嬪やその侍女たちも臨席するんだけど、みんなこの冯京見てキャーキャー言ってるの

 

そんな冯京を公主も興味津々で身を乗り出して見ていたら扇を落としちゃって、冯京に拾ってもらい、一目惚れドキドキ

だけど地方任官を経て中央に戻ってきた冯京は妻帯者になっていて、公主の初恋The ENDえーん

 

 

この傷心の公主を慰めたのは、曹皇后の甥の曹评

曹评は幼い頃は一緒に遊んでいた仲で、多分曹评は公主のこと好きハート

で、曹评は容姿端麗、武芸にも学問にも秀で、名門貴族出身の高貴な雰囲気をまとっている好青年

 

次第に公主も惹かれていき、二人は密会してイチャコラするんだけど、仁宗に見つかり・・・

公主は仁宗の母親の弟の息子(李玮)と婚約中なので、仁宗の逆鱗に触れ、大騒ぎに!!!

 

結局曹评に「我很喜欢公主,但是,我更爱我的家人。」(公主のことは好きですが、それ以上に家族が大切です)と言われ、二人は引き離されるの

上巻はここまでパー

 

 

仁宗が公主に皇室の人間としての心得を語っているんだけど、この言葉が重い

「我们越喜欢一个人,就越不能让别人看出我们喜欢他。将对他的喜爱形之于色,就等于把他置于风口浪尖上,终将害了他。」

(誰かを好きになればなるほど、それを他人に悟られてはいけない。その人への好意を知られてしまうと、その人を危険な立場に置くことになり、最終的には傷つけることとなる←こんな感じ意訳)

だから曹评との仲は上手くいかなかったのだ、と

この言葉、仁宗は2回公主に言っていて、自分自身にも言い聞かせている感じ

皇室の孤独感が伝わってきます

 

 

前回ちらっと書いた秋和に仁宗が触手を伸ばしている件(苦笑)ですが、いつの間にか「董娘子」と呼ばれており、皇帝のお手がついておりましたビックリマーク

梁怀吉も知らず、皇后が「董娘子」と秋和のことを呼び、あー妃になったのね、と梁怀吉と同時に読者も知る

 

皇帝の自殺騒動を咄嗟に止めた秋和の傷の具合を訪ねた梁怀吉に、「这,是折断的翅膀,好不了了。怀吉,我被困在这里,再也飞不出去了。」(折れた翼は良くならない。怀吉、私はここに閉じ込められて、もう飛びたつことができない)って言うの

 

この秋和、もともとは宋代を代表する有名画家の崔白と結婚の約束をしていたのだけど、皇帝の髪結係になっちゃって、崔白との結婚を諦めた経緯ありでハートブレイク

悲しいですねー、秋和は出宮することを切に望んでいたので・・・

 

 

皇帝の自殺未遂ですが、寵妃の张貴妃が亡くなった&実の息子もいないのに立太子せよと周りからの圧も相当&皇后への誤解などで、病に倒れた仁宗が破れかぶれ的に剣を手にして、秋和が止めたのね

 

张貴妃ですが、史実的には仁宗が最も寵愛した妃のようなんだけど、この小説の张貴妃はキャンキャンうるさい子犬的な、思慮が足りない人として描かれているダウン

聡明な曹皇后に挑むんだけど、皇后に敵うわけなく・・・

小賢しい権謀術数を用いて、虚勢を張り、仁宗を独占しようと目論む、あるあるな側室

多分ドラマでは(原作のままだったら)ウザいキャラだと思う

 

 

曹皇后にも梁怀吉的存在の宦官(张茂则)がいて、この二人の関係性=公主と梁怀吉みたいな感じ

↑ドラマの张茂则

张茂则は宮中から追い出されるんだけど、それは全て皇后のため

そのことは皇后も分かっているんだけど、もちろん皇后は微塵も感じさせない

でも张茂则が宮中から出ていくその日、皇后の部屋には二人の間の何かの思い出である梅の花「素心」がいっぱい飾られていて、皇后の悲しみがひしひしと伝わってくる

 

 

『孤城闭』、官僚たちの足の引っ張り合い的な駆け引きの話が多いですが、それぞれの人物が魅力的で人間くさくて、読んでいてとても面白いし興味深いです!

そして、静かな雰囲気に包まれた、しっとりと落ち着いた大人の小説って感じですニコニコ