[福島日報ダイジェスト] 裁判官、異例の判決理由読み上げ 涙の判決文① 原発避難者自殺訴訟
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[福島日報ダイジェスト] 裁判官、異例の判決理由読み上げ 涙の判決文① 原発避難者自殺訴訟
福島県のフクシマン・マサです。
東京電力福島第1原発事故による川俣町山木屋地区からの避難者自殺訴訟で、
渡辺はま子さんが、山木屋に一時帰宅した時、焼身自殺したのは原発事故が原因として、
福島地裁が約4900万円の損害賠償を命じました。
その時裁判官が読み上げた、判決理由が福島民友新聞に載っていたのですが、読んでいて涙が出てきました。
通常、判決言い渡しは主文のみで、裁判官が判決理由まで述べるのは異例のことだと言います。
この判決を受け、東電は、昨日、控訴を断念
原発事故による自殺で東電に賠償請求した判決として、初の判決が確定することになりました。
一人でも多くの方に読んでいただきたいと思った判決理由なので、2回に分けてその一部書き起こしをお送りさせていただきます。
よかったら読んでみてください。
判決の要旨は次の通り。
「訴訟の概要」
川俣町山木屋に住んでいた渡辺はま子さん=当時(58)が自殺(自死)したのは、東京電力福島第1原発事故後の避難生活が原因。
東電に対し、遺族らが計約9100万円の損害賠償を求める。
「判決文要旨」
(前略)
ウ、はま子さんが山木屋での生活ができなくなったことによるストレス
はま子さんは、山木屋地区に生まれ、本件事故で避難するまで約58年にわたり山木屋地区で生活してきた。
そして、はま子さんは、山木屋地区で生まれ育った原告で夫の幹夫さんと結婚し、
山木屋地区で3人の子どもを産んで育て上げ、
2000年には自宅を新築し、そこで家族の共同生活をなしていた。
子どもたちも人生の大半を山木屋地区や自宅で過ごしていた。
はま子さんは、自宅で近隣住民らを招いてカラオケ大会を開いたり、野菜を融通し合うなどしていた。
はま子さんにとって山木屋地区や自宅は、
生まれ育った場や生活の場としての意味だけではなく、
家族としての共同体をつくり上げ、
家族の基盤をつくり、
はま子さん自身が最も平穏に生活をすることができる場所であり、
密接な地域社会とのつながりを形成する場所でもあったということができる。
本件事故により、山木屋地区の空間放射線量率は平時の数十倍に上り、その影響が長期間続くことが懸念された。
そのため、政府は、山木屋地区の農地への作付けを制限するなどの対策を取り、
山木屋地区を計画的避難区域として設定した。
これにより、住民は区域外への避難を余儀なくされ、
避難指示が解除されるまで、事実上、区域内にあった家屋などの不動産を使用、収益、処分すること、
そこで生活をし、仕事をすることなども不可能、または困難となった。
幹夫さんとはま子さんは、本件事故により山木屋地区が計画的避難区域として設定されたことにより、
それまで同居していた原告の実子とも別居を余儀なくされた。
これらの事情などの通り、山木屋地区への帰還の見通しが持てない状況にあったことに照らすと、
はま子さんは、本件事故により山木屋地区が計画的避難区域に設定されたことによって、
山木屋や自宅で生活し続けることができなくなり、
家族形成の基盤であり、また地域住民とのつながりの場としての自宅、
自宅での家族の共同生活、
地域住民とのつながりなど、
生活の基盤ともいうべきもの全てを相当期間にわたって失ったと認められる。
はま子さんが生活の基盤ともいうべきもの全てを相当期間にわたって失ったことは、
財産そのものを喪失したものではないが、
家族や地域住民とのつながりをも失ったという点で大きな喪失感をもたらすものであり、
ストレス強度評価における
「多額の財産を損失した、または突然大きな支出があった」(強度Ⅲ)
「家族が増えた、または減った子どもが独立して家を離れた)」(強度I)
場合と同等か、それ以上のストレスを与えたものであり、そのストレスは非常に強いものであったと認められる。
エ、はま子さんが山木屋での仕事を失ったことによるストレス
はま子さんは、原告の幹夫さんと同じ養鶏場で働いていたが、
本件事故により山木屋地区が計画的避難区域に設定されたために養鶏場は閉鎖を強いられ、
はま子さんと幹夫さんは仕事を失った。
はま子さんは、自己の意思にも自己の責任にも基づかずに、
全く予期せずに仕事を失ったという点で、
ストレス強度評価における
「退職を強要された」(強度Ⅲ)
と同等か、それ以上の強いストレスを受けたと認めることが相当である。
オ、山木屋地区への帰還の見通しが持てないことによるストレス
山木屋地区が計画的避難区域に設定されるに際し、帰還時期については明言しなかった。
放射性物質のセシウム137の半減期は約30年に及び、
山木屋地区の住民は、避難後にいつ帰還できるかの見通しは持てない状況にあったと認められる。
このような状況で避難を強いられた者が抱くストレスは、
ストレス強度評価にいう
「天災や火災などにあった、または犯罪に巻き込まれた」(強度Ⅲ)
ことによるストレスと同程度か、それ以上のストレスといえ、
はま子さんは強いストレスを受けたものと認めることが相当である。
力、住宅ローンの支払いが残っていることによるストレス
はま子さんは、本件事故後、山木屋にある自宅の住宅ローンの支払いを心配する発言を繰り返していた。
本件事故により、原告の幹夫さんとはま子さんは失職し、
計画的避難区域の設定解除の見通しが持てなかったことに照らすと、
はま子さんが住宅ローンの支払いについて、見通しを持てなかったことは無理もない。
住宅ローンの支払いができないことで自宅を失うかもしれないという不安が、
はま子さんに与えたストレスは、ストレス強度評価でいう
「借金返済の遅れ、困難があった」(強度1)
ことによるストレスに近いものと認められる。
キ、避難先の住環境の違いによるストレス
はま子さんが避難前に居住していた山木屋地区は、極めて小規模の集落であり、
最も近い隣家までも相当の距離があり、
隣人の息づかいを全く意識せずに生活できる住環境であった。
これに対して、避難先の福島市内のアパートは、
隣人と壁1枚を隔てて接する集合住宅であり、
このような住環境の激変は、はま子さんにとって相当のストレスになったと認められる。
(②につづく・・・)
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