たくさんの人の意識が介護を楽にしてくれる
多くの人を介護の土俵に上げよう
近所の人 ボランティアさん 介護保険のさまざまなサービス
そしてなにより 一番の理解者が介護される人であってほしいのだ
義母の介護が始まって三年目のこと
私の言うことを聞いてくれないので 思わず
「私 おばあちゃんの世話 やんなっちゃた」と言ったことがある
するとすかさず義母は
「あんた あたしだったら三日で逃げ出すよ」と言ったのだ
さすが人生の先輩
その切り返しの見事さに 拍子抜けしてしまった
口うるさい母親の介護をしていた娘さんがいた
体が不自由になった分 娘のすること言うことが気に入らない
一生懸命介護する娘さんに
「あんたはまったくノロマで気がきかないんだから」
といつもの口ぶりで罵る
介護者だって 心が元気な時もあれば
暗く落ち込んでいる時もある
その日の娘さんの心は憂鬱だった
母親の言葉に何かが切れた
「お母さん いいかげんに死んでよ」と言ってしまったのだ
だが 母親は顔色ひとつ変えず
「あんたが死んでも あたしゃ死なないよ」と
ケロリと言い返したそうだ
その日以来 娘さんは気持ちを抑えず
言いたいことを言うことにしたら 気持ちが楽になって
憂鬱状態から抜け出せたという
「はたから見ると すさまじい親子喧嘩に見えるでしょうね
でもこれが私たちのコミュニケーションなんです
ケンカのおかげで うちの母親 少しもボケませんね」と
笑って話してくれた
私はこの話を聞いて
介護者の気持ちをぶつける相手は
介護される人でいいと思った......
つづく
< 羽成幸子 >
