5月5日の深夜に、唐十郎さんが4日に亡くなられたと一報を受け、眠気が一瞬にして覚めました。5月4日というのは同じアングラの旗手でライバルと言われていた、寺山修司さんと同じ日です。偶然とは言い切れない、唐さんのすごみを感じます。

出会いは、1974年「幻のセールスマン」でしたね。セールスマンを渥美清さんが。その恋人やきとり屋のかっちゃんを私が演じ、2人でオートバイに乗って、赤いマフラーをたなびかせたシーンは忘れられません。演出は髙橋康夫さん。当時はテレビドラマをかかないといわれていた、唐さんでしたが、髙橋さんとの信頼関係により実現したテレビドラマとして話題をよびました。余談ですが、これがきっかけで、髙橋と結婚しました。そのご縁で、1988年に私の主演舞台「唐版おさん茂兵衛 逢魔が恋暦」を書き下ろしていただきました。唐さんも出演しましたよ。続いて、2006年にはシアター1010のこけら落としに、唐さんの名作「『秘密の花園』をやってほしい。三田さんなら絶対できる」と、押し切られたことがわすれられません。膨大なセリフと、出ずっぱりの2役で、7キロも痩せました。私にも唐さんに共通する、アングラ精神があったんですね。ちなみに唐さんは毎日のように劇場に来ておられましたよ。心配だったのかしら爆  笑こんなメッセージが残っていました。お付き合いは長く続き、花園神社での公演をたくさんみせてもらいました。公私ともにいろいろありがとうございました。紅テントの中で、丁度居合わせたプロのカメラマン眞下(ましも)伸友さんに撮ってもらった、とびっきりのツーショットです。唐さん、お疲れ様。今、テントでは、大鶴美仁音ちゃんが、唐さんの「泥人魚」で奮闘中です。最後まで見守ってあげてくださいね。

三田佳子