四代目・坂田藤十郎さんのご訃報に、寂しい思いで一杯です。

演劇評論の重鎮の皆さんが開く交流会で、よくご一緒しました。

いつも終演後に駆け付けてきて、乾杯もそこそこに、芝居の四方山話を楽しく致しましたね。若手の成長から噂話まで。お食事もよく召し上がって。

藤十郎さんと言えば「曾根崎心中」のお初が忘れられません。はんなりと色気たっぷりのお初が目に焼き付いています。私も1991年、坂東八十助さん(亡くなられた三津五郎さん)と、「曾根崎心中より お初・徳兵衛 浪花の恋唄」を上演しました。

曾根崎心中の名場面を取り入れた贅沢な舞台でした。若き、藤山直美さんも出演していましたね。

1962年、東映では珍しい女性映画の大作として制作された「山麓(丹羽文雄原作/瀬川昌治監督)」。お母さんが山田五十鈴さん、長女が淡島千景さん、次女が扇千景さん。三女が岩崎加根子さん、お父さんは笠智衆さんと豪華な先輩たちに囲まれての末っ子のヒロインが私でした。

当時は、既に藤十郎さん(当時は2代目扇雀さん)とご結婚されていましたが、まさか先々、大臣や参院議長を歴任する大物政治家になられるとは想像すらできませんでした。

でも撮影の合間に、健康管理のことなどアドバイスを頂きながら、可愛がってくださいました。

ご子息の3代目中村扇雀さんとは、2003年明治座で上演した「日本橋物語」でご一緒頂きました。

こんな風に、ご家族ともご縁を頂いていましたのに・・・・。

心よりご冥福をお祈りいたします。