死にたい。

逃げたい。

遠くへ行きたい。

人のいない所へ行きたい。

時計もカレンダーもないところで空の移ろいを眺めて何日も過ごしたい。

もう嫌だ…と呟きながら真夜中の天井を見つめている。




言い訳をしたいわけじゃないし、慰めが欲しいわけでもないし、君に本音を言う気もないし、何かが変わるわけでもない。

全部わかりきってることだから黙ってる。


あの子は会うたびにあの頃の話を何度もしてくる。
もう忘れ始めた話。
思い出しても楽しめなくなった話。

あの子の話す今の話は諦めと疲れに満ちている。
だから何度でも活力に溢れて、見るもの全てが輝いていたあの頃の話をしたがるのかもしれない。

僕はもう疲れてしまった。
相槌を打つのも、灰色の日々を思い出すのも、疲れてしまった。

こうやって、人は立ち止まるんだろうか。




輝かしいものがとても高い所からこちらを見ている。

覗いているのか、それとも、見下しているのか。

僕は横たわって腕をあげる。
頬が震えて眉根に皺が寄る。

あと1秒もしないで、涙が出るんだろう。




諦観の先にある希望を信じよう。
どこまでも続く深淵のその先にある光を探そう。

僕は止まらないんだ。
例え落ちていくように見えても、これは進んでいるということなんだ。